orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT人材不足「19年危機」 なのは当然だと思う理由

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IT人材不足

IT業界は人材不足なんだそうです。

www.nikkei.com

経済産業省が16年にまとめたIT関連企業を対象にした調査によると、国内では15年時点でIT人材が約17万人不足しているという。19年には、IT産業への入職者が退職者を下回る逆転現象が発生する見込みで、30年には人材不足が約59万人にまで増える見通しだ。

 IT業界の各社は、仕事がたくさんあって人手が足りない!ってほど儲かっているようには見えないのですが、人手が足りないのは確定しているようですしこれからますますひどくなってくるらしいです。IT業界の私からすると食いっぱぐれることがなくなって、価値も上がってそんなに悪い話でもないのですが。

 

IT業界あるある

これなら人手不足に陥るのも仕方ないよなあ、と思わせるIT業界あるあるを語ってみます。

 

見渡すと男性ばかり

私、この時点で人材不足の理由の大半を説明できていると思うんですよね。なんでこんなに男性偏重なんですかねこの業界。SIerは本当に男性ばかりです。年齢が上になれば上になるほどその傾向は強いです。女性は途中で引退して家庭に入られたりするからですかね。それにしても男性ばかり。

中途採用で募集をかけても応募者は男性ばかり。外部セミナーに言っても男性ばかり。お客さまのIT部門と話をしても男性ばかり。

IT業界の仕事は、別に女性でもできると思います。昔はサーバーなど重いものを運ぶ仕事もありましたが、クラウドが普及して女性でも全然扱えるようになっています。なのに男性ばかり。

男性ばかりの職場、という状況が災いして男性しか入れなくしているのは、まるで吉野家のようです。こうなるとです。人類の半分は女性です。人材難の理由の一つは、この男性しか入ってこない業界の体質にあると思います。一部WEBデザイナー系やデジタル広告、WEBサービスで女性が利用する系統のもの(クックパッドなど)では女性を見かけますが、IT業界で言えばマイノリティーです。もっと女性を活用する必要があります。

 

ブラック業界だと思われていて不人気になった

これは、そうなんだろうな・・。

2000年のころの理系の新卒就職人気企業ランキングです。

  1. ソニー
  2. 日本電信電話
  3. 本田技研工業
  4. NTT移動通信
  5. トヨタ自動車
  6. NTTデータ
  7. 日本電気
  8. 松下電器産業
  9. 日本IBM
  10. サントリー

2017年はこうなってます。

  1. ソニー
  2. 味の素
  3. 資生堂
  4. 明治グループ
  5. サントリー
  6. トヨタ自動車
  7. JR東日本
  8. カゴメ
  9. アサヒビール
  10. JR東海

というわけで、IT業界やその周辺はさっぱり人気なくなっちゃいましたね。で、システムエンジニア35歳説とかいう虚言が一時期流行ったせいで、人材不足に陥った挙句に、人気もなくなっているという二重苦なのですね。

実態については会社によりけりです。上場している会社は最近はコンプライアンスがうるさいので、法律違反になるほどのブラック労働はさせられなくなっていると思います。また、今の50代や60代の人にきくと、「オレの若い時は一週間くらい会社に泊まり込みで床で寝てたけどなHAHAHA」っていう鉄人エンジニアがいたりするので、その人たちからすると、今はものすごいホワイトだって言いますけどね。

ブラック状態になった職場については、映画や小説にもなってるくらいで社会的にマイナスイメージついちゃったなあIT業界。

逃げ恥でも、星野源さんはエンジニアで仕様変更のたびにデスマーチになった描写があったなあ・・。そんな職場ばかりじゃないんだけどなあ。

 

顧客常駐業務が多く会社への忠誠心が低い

顧客仕事が多いのは業界の悪い体質だと思います。人の会社に長居したくありません。私は運良く足を洗いましたが、インターネットを生かして常駐業務がどんどんなくなるといいなと思います。

自分の会社に帰ることがなかったり、自分の社員との交流が著しく低いので、この業界をイヤになる人も随分多いと思います。この辺りの原因で男性だけが残っていったのかもしれませんが。

 

 他の会社でも使えるスキルが学べる、だから転職が多い

この業界、せっかく戦力になったと思ったら、退職というケースも多いです。人の職場はよく見えるんでしょうね。転職の多い会社がいい会社になれるわけがなく、IT業界の会社は定着率が他の業界より悪いです。なので、雇う方もずっと働いてくれるかは懐疑的なので、いい雰囲気を作るのが難しい側面があります。

 

流行りの仕事が数年ごとに生まれるので、勉強しないと仕事がなくなる

AIとかIoTとかクラウドとかロボディクスとか、そんな仕事がバブルのように生まれるのですが、一方で流行りが終わる技術もあります。ずっと活躍し続けようとするとなかなか厳しい業界ではあると思います。

そして厳しくて脱落していくというのに、「人手不足」のIT業界。ほんと何やってんでしょうね。当然の帰結だと思います。

 

まとめ

思うに、なんでもかんでもITでやろうとすることは避けた方がいい時期にきていると思います。流通業界は現実に、流通量が増えすぎて捌ききれなくなってきています。昨日、引っ越し業界が3月の引っ越しを断っているニュースを聞きました。

trafficnews.jp

そのうち、同じようにIT難民が出ますよ。大事なシステムに注力するようにしないと、エンジニアが回りません。あと、人手のいらないクラウドをもっと推進するとか。

このような状況をふまえると、成長一辺倒のビジョンも危険ですね。人が足らずに仕事がまわらなくなるのは恐怖です。身相応を考えて運営しなければいけないと思います。 

 

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