orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

SIerの世界で技術者として埋もれないために

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今日の課題

はてなブログで面白い記事が上がっていたので、私も同業者としてコメントを書きます。

 

blog.tinect.jp

昔所属していたSI会社で、「職場に居場所がないおじさん」の救済プロジェクトに関わったことがあります。
いや、実際にそういうプロジェクト名だった訳ではなくて、確か
「キャリア再考プロジェクト」とか「スキルリデザインプロジェクト」とか、なんかそんなかっこいい名前だったような気がするんですが、

 

そういえば、キリンが過去最高益の状況であるのに、45歳以上の社員に早期退職を実施することがスクープされた記事が先週出たのでした。

 

diamond.jp

キリンホールディングスが、45歳以上の社員を対象に早期退職を実施することがダイヤモンド編集部の調べでわかった。2018年度決算で過去最高益をたたき出したにもかかわらず、人員整理に手をつける理由とは。近年、日本企業で増加している「先行実施」型の早期退職の実態に迫る。

 

年齢が高いのにスキルがない。なのに給料だけ高い。それなら一時金を支払ってでも会社から出ていってもらって、若い人に投資した方がいい。そりゃそうかもしれませんが、世知辛い世の中ですね。しかも45歳以上の早期退職ブームがある一定の批判を受けたあとに、しかも過去最高益の状況で強行しちゃうキリンのメンタルの強さはすごいなと思いますがまあ本題はそこではありません。

仕事を一生懸命取り組んでいる人がスキル不足に陥るワナについて考えます。

 

考察

昔の話をします。昔と言っても20年前くらいです。

IT業界の人口は今よりもっとずっと少なかったと思います。

でも仕事はどんどん増えたから、何しろ人頭だけ揃えればよかった。

ベンダーは、仕事を工数で見積るものだから、人数をかき集めることが仕事として成立しました。ベンダーの社員で仕事が回らないので協力会社を見つけては技術者を募集しプロジェクト単位で人をかき集めることがSIの仕事とされました。

今、SIerのそんな仕事っぷりが旧態依然だということで批判を受けていますけれども、そりゃあ昔話なので旧態なわけです。

なぜそうなったかって、昔はオンプレミスしかなかったからです。オンプレミスの案件って物理サーバーやらネットワーク機器やらソフトウェアやら一括でたくさんベンダーから買います。そうすると技術者以外にかかる費用が何億何十億と膨らんでいくのです。

その機械がないとプロジェクトが成立しないとして、プロジェクトがぶっとんだとしたら、機械の代金も回収できないかもしれない。

10億の機械を購入して、システム開発にかかるお金がまあ物によりますが3億くらいだとすると、3億の中で人をかき集めるのですが、技術者を雇う会社としては機械の10億の機械の保証なんてやりたくないのです。

一番いいのは、人を現場に送り込むから、使った時間に応じてお金だけほしい。成果が出ようが出まいがもう現場でどう使うかはお任せで、とにかく毎月お金ください。なぜなら技術者に給料を支払わないといけないから。キャッシュフロー上もその方が都合がいい。プロジェクトが完結しないとお金がもらえないとしたら、先にお金が必要になるよね。

ということで、SESが未だに残る土壌のようなものが昔のIT業界にはあったわけです。

かなり現金資産があって、機械をお客様に直接売りつけられるほどのベンダーなんて、数えるほどしか国内にないわけで、そのベンダーが頭に立ってプロジェクトを指揮し、あとの細かい実装は、人しか出せない中小SIerにぶんなける。形式美とも言えます。

で、そうなると、IT業界が成長するにともなって、人を集めること自体が産業化しだしたのですが技術者と言ったって年齢にかかわらずそんなに「経験」と言えるものもありません。とにかく仕事が目の前にあり、技術があろうがなかろうが取り組んで何とか完成させなければいけなかった。

10年前くらいに、IT業界はブラックだって話題になりましたけど、まさにこの「しろうとが技術者を名乗って、とにかく案件に筋肉でぶつかって何とかやっつけよう」と言う文化の賜物です。私も同様でしたが、現場に来る人、すごかったです。ブラインドタッチできませんとかOSわかりませんとかlinux触ったことありません、SQLって何ですか・・・、TCP/IPは聞いたことしかありません。それでも技術者として平気で入ってきました。

 

そして時代は過ぎ現在。ここ最近は風向きが変わりましたね。とにかく業務経験重視。経験を重視する割にはそんな人はなかなか転職市場にはおらず、今や人材難やら人手不足やら言っていますが、単に高望みしているだけです。

昔のノリなら、いっぱい人はいます。でもそのノリでは人を取らなくなった。

一方で、オンプレミスの世界もクラウドがかなり影響を及ぼしている。クラウドってオンプレミスのように機械を売りつけなくていいので、プロジェクトは技術者の予算だけで成り立ってしまいます。クラウドはお客様が直接契約すればキャッシュフロー的にはSIerはタッチしなくてもいい。もしクラウド側に問題があっても技術者の工数だけ精算できればリスクはない。クラウドにかかった費用はお客様が直接払えばいいだけなのだから。機械の場合は、「このプロジェクトができないんだったら、機械の費用も払えんよ」と言い出しますがクラウドだと毎月精算で従量。

そうなるとSIerもこれまでの機械一括売りつけ+大量の技術者工数、という旧態依然のビジネスができなくなるもので、IT企業からDX企業へ、というようなコンサルっぽい領域に出ていかざるを得ないということになります。本当の顧客バリューをビジネス化しないといけないということで、これは正しい進化だと思います。

DXの結果、結局は実装はしなきゃいけないので、最終的にはウォーターフォール的な仕事は生まれることになり、IT業界は成長はこれ以上しないかもしれませんが、衰退もしないのかなと思います。

でも、結構IT業界も成長期から時間が経ってきて、ああ、最近は「・・・経験のある人」しか相手にしなくなったよなと。ふと今回の記事で思い知らされました。

大昔だったら、スキルがないとか言いながら、一定のプロジェクトを動かしていたんだったら余程重宝された人材なのに、この移り変わりの激しい時代のせいで割を食ってるよなあと思います。

 

ハッタリが大事

IT業界なんて、たいした技術も経験もないのに、ハッタリで積み重ねてきた世界だと思っています。スキルがマッチしない、なんて言う悩みが成立するぐらいなら、ハッタリかまして未経験でもどんどん次の仕事に入り込んでいけばいいと思うんです。

なんとなく業界も業界人も、ハッタリを恐れるようになってしまったように思います。いや、初めはみんな未経験。むしろ業界経験者であればどんな職域でもなんとかこなせますよ。

昔の惨状と比べれば、今は本もインターネットもあります。足りないと思ったらすぐ勉強できる環境は過去と比べれば雲泥の差です。

昔より、「経験者重視」の空気があるからこそ、何となく雰囲気で未経験の分野に突っ込んでいけばいいと思います。私はそうしています。

スキル、なんてかっこいい言い方していますが、要はとにかく学べば何でもできる、ということなんじゃないんでしょうか。ちょっと世の中、きれいごと過ぎると思います。