なかなか、ハードな話だ。
ハードだけに(すいません)。
SIerの気持ちになって考えてみる。
システム提案を行うとき、ハードウェアの価格はぎりぎりまで下げて、SI全体の金額を低く抑える。そして、ハードウェア保守を5年間で引っ張って全体として利が乗るような見積にするはずだ。
そもそも、インフラの要件定義のときに、保守を24時間365日にすることで、様々な可用性要件が担保されるようにし、顧客と合意したはずだ。
ところが、サービスイン後に保守を廉価なものに切り替えてほしいという。
これは、SIerとユーザーの間において、ウィンウィンではない。費用面ではユーザーにウィンがあろう。ただ、大きなシステム障害が引き起こされる可能性は高まる。構築時の想定が崩れるため、放置される部品(サーバーなど)が出てくることになるが、それをシステム側で想定していない可能性がある。結局、ユーザーにとってもいいことがない。
低いレイヤの話でも同様だ。例えばネットワークスイッチが冗長化されているので、1台になっても一週間は壊れないだろうという議論をしているかもしれない。これは1台で一週間になる想定をシステムがしておらず試験もしていないため、想定外の状況が容易に想定される。
何しろ、システム構築時の試験で想定されていない状態で運用しなければいけなくなるため、絶対に、運用ベンダーはNOと言うはずだ。もめにもめているはずである。
新規システムについて適用であればどうか。これは、かならず初期構築費用へかぶせてくる。保守費用が削減されるためハードウェアを値引けなくなるのだ。しかも、保守を削減するための想定も用意してテストしなければいけない。初期構築費用が膨らむ要因がたくさん出てくる。要件も膨らむだろう。
一方で、一般的なエンタープライズ向けクラウドでのハードウェアは24時間保守である。そのため、オンプレミスの世界がこれだけ複雑怪奇、具体的に言えば、どの機械がどの保守なんだかわからないような運用を持ち込むのであれば、それこそ一気にオンプレミスの淘汰が進み、クラウドへ移行する可能性が高くなる。
機器が24時間保守が不要なシステムといえば、情報系など止まってもなんとか業務が止まらないものだろうから、余計クラウドに向いている。
24時間保守が必要な機械だけで組めるシステムだけオンプレミスにして、その他は全部クラウドにする。CIOがこんな無茶を言い出す時代になったら、情シス部門はクラウドの利用を強く考えるだろう。
SIerは、日本郵便に同調する会社もいて修羅場になるな、と思う反面、クラウド移行が一気に進みそうだなと思ったニュースだ。