orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

リプレースが案件の9割

 

リプレースとは、既存システムの置換という意味だ。

私の手持ちの仕事がリプレース案件だらけとなっている。

この10年ほどでクラウドの急激な普及もあり、システムを各社気軽に構築できるようになった。それを支えているのは未だLinuxであったりWindowsであったりする。

それぞれのOSがサポート期限があり、基本的には10年間を一区切りとする。ただ、新しいバージョンが出た直後には、OS上で動くソフトウェアが対応していない。感覚的には発売から2年ほど経って始めて使い物になる。結果的にOS自体には10年のライフサイクルがあっても、実働で活躍しているのは5年~7年ほどだ。また、10年サポート期間における最後の1年については、次の乗り換え作業も始めなければいけない。

私の仕事では、今はRed Hat Enterprise 7系(CentOS 7含む)が熱い。2024年6月にサポートが切れるので、その上で動いているシステムをどうするか、各社その対処について悩んでいる。システムを止めてしまうか、新しいOSでそのまま載せ替えるか。それとも、そのままサポートが切れても動くので使い続けるか。なお、その次はWindows Server 2016の2027年1月がマイルストーンとなる。どちらも良く売れて使われているOSだ。

ただし、古いOSの対処に悩んでいると言ったって「OSのアップデートができなくても動くから、放っておきます」というのは、セキュリティーリスクが高まっている今の時代、通用しない。もし、致命的な問題がサポート終了後に見つかったら、攻撃者はしめたものだ。だって、世の中に残るサポート切れのOS全て、見つけただけで、攻撃が成功してしまう算段が立つのだから。

10年前くらいまでは、「パッチを適用するとシステム不具合が出るかもしれないので、適用しないで動かします」という運用方針は通用していたが、最近は厳しいものがある。定期的なアップデートが諸事情でできなくても、せめて、ニュースになるような致命的な問題が出た時くらいは至急アップデートしないと、世の中の平安は守られない。アップデートからは逃げられない。

また、サポート切れを無視して使い続けた時の副作用は、サポート切れ直後は起きない。サポート切れから少し後、世の中が震撼するような大欠陥が見つかったときに後悔するだろう。修正も出ないので、攻撃者は、古いOSを片っ端からサーチしては攻撃を成功させようとするだろう。

世の中のシステムは無尽蔵に増え、そして技術者の数は限られる。その結果、今や私の目の前はリプレースばかりとなった。他の現場でもおそらくそうじゃないかな。また、コロナ禍の間リプレースの話が停滞していたのが急に動き出している印象だ。

デジタル化で効率化、は聞こえはよく利用者は便利だろうが、裏側ではこうやって、更新し続ける人が必要で、その量がどんどん増えている。

それでもまた今日も、新しいシステムは作り続けられるのだろう。どこかで日本全体のシステムの増加量が限界に達し、作れども保守する人が集められず。次回更新時にリプレースできるベンダーもおらず。そんな困った現場が増えてしまうのではないかな、と心配している。リプレースに力を取られ、新しい要望には応えられないIT。将来、そうなるのかもしれない。