orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

「なぜOSをバージョンアップするだけなのに、なんでこんなに費用がかかるんですか?」という質問

 

「なぜOSをバージョンアップするだけなのに、なんでこんなに費用がかかるんですか?」

と、エンドユーザーから言われるとつらい。システムを使い続けたいだけ。古いOSを捨て新しいOSの上にシステムを再構築しても、手間ばっかりかかるだけで何も変わりはしない。

引っ越しに例えられるかもしれないが、引っ越しすれば次の家はもっと美しいかもしれない。周りの環境も変わるかもしれない。ところが、システムは変わらない。画面も変わらない。何も変わらない。

メリットが説明しにくい。

サポート切れのOSを使い続けると、脆弱性が見つかった時に防ぐことができない。OSベンダーから修正パッチが出ない。その上でシステムを使い続けることは危険だ。

それが最大の理由となる。攻撃されないため、でありバージョンアップしても、システム自体が何か良くなるわけじゃない。家が大きくなったり、家具が新しくなったりという話じゃない。

なのに、大金がかかるのは解せない。それはわかる。

かつ、OSを新しくするときに、OSに含まれるミドルウェアまで新しくなるために、そのまま移行しても今のシステムが動かない可能性もある。Webアプリケーションサーバーやデータベースサーバーと言った、システムの根幹部分がOSに依存している場合、OSを変えたらバージョンも変わる。場合によっては、次のOSのバージョンでは廃止され別の製品が組み込まれる場合もある。だから、システム構築を行った開発者に、新しいOSで動くか確認してもらわないといけない。

むしろインフラ観点で言えば、システム移行は新規に構築をするよりも気にしなければいけないポイントも多く、「OSだけ変える」というエンドユーザーのイメージとはかけ離れた案件なのだ。

 

大昔のシステムはインターネットとつながっていないことを前提としていたので、もっとサポート切れには牧歌的だったように思う。噂によれば今でも、ハードウェアが古くなったがその上は作り直したくない・・、だから、「サポートが切れたOSを新規に導入する」というわけのわからない案件もオンプレミスの分野にはあるそうだ。絶対に関わりたくないが・・。

しかし、クラウド然りだが、インターネットにつながるシステムは総じて、サポート切れは大敵である。インターネットを利用する以上、攻撃の可能性は常にあり、最新の状態にアップデートすることがより求められる。サポート切れはこの要件を満たせないことが確定することを示すので、定期的な載せ替えが必要になる。

最近のサーバーOSはサポート期間が10年であるものが多く、かつリリース直後には敬遠されがちで、リリースして2年くらい経ったあとにやっと市場で使われるようになることが多い。構築期間はシステムを使えないことも考えるとシステムを利用できるのは実質6~7年くらいが寿命で、システムを長年使い続けることの難しさがここにある。せっかくクラウドに移行したからハードウェア保守を意識しなくて良くなったと思ったら、今度はソフトウェアで同じことが起こるのだ。

 

デジタルなんだから古くなることはないよねと新規構築は思い込んでしまうが、残念ながら思いのほか賞味期限は短い。特にクラウドに移ってその傾向は強まった。

システムは、設計時から、OSのバージョンアップが将来必ず起こることを見越して構築しなければならないだろう。移行しやすい設計にしないと、いずれ痛い目にみる。古いシステムのリニューアル時に、いろんなトラブルが実際に起こっているのは、構築当初からその作りの問題をはらんでいることも多い。次に新規システムに移行するベンダーが悪役になりがちだが、実際はふたを開けてみたら、とても移行できない作りになっている・・ということもありがちだ。

しかし新規構築時には、次のリプレースのことなど誰も頭に無かったりする。自分たちがやるかどうかも未定だから。

 

なかなか、危なっかしい場所に、我々は立っているなとよく思うのである。