最近、世の中はすごくシステム障害に厳しくなっていて、一般のテレビのニュースを見ていてもシステム障害の話をするようになりました。
システム運用を仕事にしている私にとってはとても胃の痛くなるような時代が到来しましたが、社会的責任がいよいよ高まって来たと考え、誇りをもって仕事をしていきたいと思います。
さて、このシステム障害と一体となる報告書。仕事柄よく読むのですが、NGワードが存在します。このワードが書いていあると大抵報告書としては落第点だと思っています。そんなNGワードをいくつか紹介します。
総点検
総点検って、多分、大掃除、くらいの意味しかないです。
全部とは何かを決めるのは難しくて、必要な要素を全て挙げていくこと自体が本来は作業なのですが、「もー、全部!」みたいに短気を起こして、目につくところを片っ端から対応していく様を言います。
こういうことをすると、十中八九漏れます。なぜなら、優先順位をつけていないから、重要・緊急であるものが後ろ廻しにされる確率が上がるからです。
それより、重要・緊急なものをリストアップし、それだけは絶対に漏れないようにするほうが、コストが限られている中では最善策です。
徹底
徹底って、すごく前向きさにあふれている言葉なんですが、よくよく意味を考えると、お気持ちなんですよね。この対応策を徹底します!、何て言いますが明日には徹底しても、一年後に徹底しているかまではこの言葉は何も保証しません。
対策に「徹底」と書かれていたら、即、私は書き直させますね。どう徹底するかの仕組みを書き出し、徹底と言う言葉は外すように、と。
そうすると、全然徹底する方法論は考えていなかったりして、便利な言葉である一方、何の意味も持たない言葉でもあります。
丁寧に
今後、丁寧に対応・・なんて言う時のその丁寧って、何を示すのでしょうか。
これもお気持ちです。
失敗するときは、丁寧にやってもダメです。むしろ丁寧にやらなくても失敗しない方法を考えるのが対応策です。
気持ちが丁寧なのではなく、具体的なプロセスが細かく気が配られていれば、別にわざわざ言う言葉でもありません。
強化する
この、強化という言葉にはウソが多いです。
現状どうで、未来はどうなのか。これを誰でも理解可能な表現で示すことができれば、それ自体が強化であり、中身を示さず「強化します」なんて報告書はボツです。
例えば、「監視を強化いたします。」という文において、じゃあどういう風に監視を強化するの?、と聴くとします。それは・・、と、そこから先のことを知りたいのであって強化するキリッじゃないんだよ、と思うことしばしばです。
整備する
整っているのか、備わっているのかは、読み手が判断することであり、整備しますで片づけられても訳が分かりません。
これも、報告書を書く側のお気持ちであって、中身を表現することで、「おお、整備したんだね」と言わせてほしいですね。
顧客目線
顧客目線でオペレーションを見直します、みたいな使われ方をします。
この言葉を使われると、今まで顧客目線じゃなかったんかい・・と思ってしまいますね。
これは、改善策ではなく、むしろ今まで欠けていたことを恥じるべきで、顧客の前で堂々と言うことではないと思います。
とりあえず考え付くまま6つを例に挙げました。
結局は全て、言葉や精神論でごまかして、具体的なTo Do、プロセスを明らかにしない態度が裏にあると思います。なぜそうなるかというと、そこまで深掘りできていないからというのと、そもそも報告書を書く人が無知、ということの2つあります。
もう、謝る方も謝られる方も両方やったのでわかりますが、顧客は別に、誠心誠意謝って欲しいなんてほとんど思っていなくて、それより原因究明、対策の立案、そして実施を、スケジュール感を持ってやってほしいと思っています。
いくら土下座したって、システムや運用保守のプロセスが良くなるわけじゃないですからね。
ところが報告書では、それをぼかしてくる。
意外と、大会社の報告書すら、ちゃんと書かれていないことが多いので最近いつも読むようにしています。具体的な例はあえて出しませんがここ最近の案件を見ていくといろいろありますので、興味があれば調べてみてくださいね。