官公庁システムへのベンダーロックインを公正取引委員会が調査報告した件の感想

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https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/feb/220208_system.html

 

官公庁システムにベンダーロックインが横行しているとの記事。

 

www.asahi.com

 国や自治体の電子申請システムや職員向けソフトなど、行政が使う情報システムの調達について、公正取引委員会が8日、課題をまとめた報告書を発表した。業者がシステム受注の際に不当な「囲い込み」をした場合、独占禁止法違反にあたる恐れがあるとの考え方を初めて示した。一方、行政側のIT分野の人材不足がそうした事態を招きうるとも指摘。デジタル庁に支援を促している。

 

行政側の人材不足ありき、デジタル庁助けて、ということですがこれではデジタル庁がいくつあっても足りないですね。

公務員のデジタル教育が急がれるんじゃないですかねぇ。もうこの際、公務員試験を廃止して情報処理技術者試験に一本化すればいいんじゃないですかね・・。

という軽口はさておき、この報告書は公正取引委員会のホームページで読めます。

 

www.jftc.go.jp

 

報告書を読むより、「概要(PDF:3487KB)」を読んだ方がわかりやすいと思います。

報告書を取りまとめたのが相当たるメンバーなので、全体としてロジカルな書かれ方ですが、幾分刺激的な内容が散りばめられています。

まとめを抜粋します。

 

□ 本報告書においては、第1の検討事項に基づき、官公庁の情報システム調達について、ベンダーロックインが回避されることなどにより、多様なベンダーが参入しやすい環境を整備することが重要であるとの認識の下、官公庁の情報システム調達の実態を把握するための調査を実施した上で、情報システムの疎結合化オープンな仕様の設計・情報システムのオープンソース化組織・人員体制の整備等について、競争政策上及び独占禁止法上の考え方を明らかにした。公正取引委員会としては、デジタル庁等の関係府省庁と連携しながら、本報告書で示した考え方の普及・啓発に努めることにより、官公庁、ベンダー等において自主的な取組が行われ、官公庁の情報システム調達において公正かつ自由な競争が促進されることを期待する。加えて、情報システム調達における独占禁止法違反行為に対しては、厳正に対処していく。さらに、行政のデジタル化の推進が喫緊の課題であり、デジタル社会の実現に遅れがあってはならないことから、公正取引委員会としては、我が国のネットワークを含む情報システムに関して、多様なベンダーの新規参入の促進が図られているかなどについて、フォローアップを行うなど、引き続き、当該分野を注視し、デジタル庁と連携して、競争環境の整備を行っていく。


□ 本調査は、官公庁における情報システムを対象に実施したものの、民間における情報システムに係る取引においても、本報告書と同様の論点を有する部分については本報告書における考え方が有用であると考えられることから、官公庁にとどまらず広く情報システム調達に携わる関係者においても、本報告書で示した考え方に留意し、
ベンダーロックインや独占禁止法違反行為の未然防止に取り組むことを期待する。

 

太字にしましたが・・、言葉をやわらかくしますね。

・システムを作るときは、他のシステムと連携しやすくしなさい

・作ったソースはオープンソースにしなさい

・システムがわかる人を増やしなさい

・民間も参考にしなさい

ということで、目的は正しいのに、手段はいささか乱暴だと思いました。

システム開発した後、ソースコードを公開しなければいけないとして、誰が入札するんですかね・・・これ。

APIなどの連携機能の実装まで、システム開発の必須要件になったときに、こりゃかなりシステム開発費用が膨らみそうですし、またベンダーごとに仕様がばらばらで混乱しそうだとも思います。脆弱性もぽろぽろ出てくるでしょうし。

もともとベンダーロックインがなぜ起こるかというと、ベンダーが安定収入を維持したいから、です。毎年の売上が担保されるんですから、私はシステム開発より保守のほうが実際旨味はあると思っています。

オープンソース化したら、誰でも保守できるということになりますが、これは構築した人はたまったもんじゃないですね。ほうそうやってやるんだー、と他のベンダーは感心しきりだと思いますがね。

ベンダーは、官公庁側がベンダーを変えるときに「いや私はシステムのことわからないから、次のベンダーに直接説明してよ」みたいな話が至る所で出ていそうです。「いや、弊社は官公庁さんと契約しているんですから、別のベンダーとは話せませんよ」みたいになって、じゃあってことで、引き継ぎ先のベンダーから派遣で官公庁に入り、官公庁のフリして引継ぎを受けるとかもあるんだろうな、と邪推。

いやそもそも、引継ぎは契約元である官公庁が主体的にやらねばならぬのですが、官公庁にデジタル人材がいない、終了。みたいな話です。

無理矢理マルチベンダーで運用としたような、みずほのような案件も考えると、一方的にベンダーロックインと揶揄されるような話じゃないと思うんですけどね。むしろ、法人格で、契約更新すればいつまでも保守してくれるベンダーってすごいと思うんですけど。だって中の人が変わったとしても品質を保ってくれるって、偉くないですか?。内部の引継ぎ体制がきちんとしているということでしょう。

もし、官公庁、具体的にはデジタル庁あたりががんばっても、デジタル庁の中の人もどんどん変わっていくわけなので、やっぱり、ベンダーありがたい、とはなりませんかね。

民間の私としては、ちとついていけないな、と思った報告書でありました。