orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

なぜシステムエンジニアに挫折するのか

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25年前くらいの思い出

私は業界経験が長いので、かなり挫折したシステムエンジニア、もしくはその入門者の様子を見ています。ある一定の傾向が見られるので、考えをまとめておきたいと思います。

 

私がIT業界に行こうと思った1996年ごろ、インターネットはまだ黎明期で、ぎりぎりパソコン通信が生き残っていました。ニフティサーブと言う最大シェアのパソコン通信は使ったことはあったものの、私が主に使ったのはMSNと言う、マイクロソフトのサービスでした。ターミナルがWindows 95に標準付属だったので物珍しさで使ってみたというのもあります。

そのMSNで笹塚茶屋(当時マイクロソフトの本社が笹塚だったことから)という掲示板がありそこに良く出入りしていました。で、私が「システムエンジニアに就職してみたいんだけどどう?」と聞いてみたところ、たくさんの返信が寄せられた記憶がありよく覚えています。

当時MSNを使う人は結構、システムエンジニアなどITリテラシーが著しく高い人が多かったようで、現役バリバリの人から細かいアドバイスを頂きました。半数以上が、「お勧めしない」というコメントだった気がします。かなりの激務だと。激務だが報われるとは限らない。いろいろ細かい世界だ。今は未経験でも入れるけど、ずっと勉強し続けないとすぐに置いていかれる。今未経験なら、事前に勉強して入ったほうがいい。楽な仕事じゃない。

当時の私は学生(しかもIT業界とは無縁)だったので、いろいろなネガティブコメントを見ながらも、逆に言えば勉強すればいいんだなと思い、とりあえず就職予定だった会社から指示された基本情報利技術者試験の勉強を始めました。

で、実際入社し新人研修を一か月受講しました。当時40人くらいの同期がいました。ま、その会社、いわゆるSESの外部常駐中心の会社で、大量に人材採用して3割が一年以内に辞める、というよくあるタイプのSES会社でした。ほとんどが未経験の畑からの採用だったのですが、驚いたのが会社から命じられた基本情報処理技術者試験の勉強をちゃんとしてきた人が皆無だったこと。結局その4月に全員受験したのですが、合格したのは私含めて2名という散々な結果でした。

その後その会社に十年単位で在籍したのですが、十年後に残っていた同期はいませんでしたね。

 

大事なのは基本、そして応用

システムエンジニアとして働き続けることについて。

机に向かって勉強することは別に苦手でも構わないと思います。私も、ほとんど机に向かって勉強することはやってません。

インターネットにまだあまり情報が無かったころは、本をよく買って読んでました。しかも電車通勤が長かったので、その時間で読んでました。20代から30代の前半はそうしてたかなあという記憶です。

で、基本の基本のところは、仕事で体験したことと、情報処理技術者試験とベンダー資格にて身に着けました。結局は基本部分をちゃんとやったことが今になって生きていると思います。

当時、戦略的に仕事を選んだというよりは、どちらかというと人がやりたがらないニッチな部分を好んでいたからなのか、なぜか開発の方に行かずソフトウェアサポートの方に配属され、そのまま突き進んでいき「なぜそう動くのか」ということをずっと若いときに経験したのが、30代以降の転職。インフラエンジニアとしての仕事にバリバリに活きました。なんとなくそう設定するとそう動くから、ではなく、なぜその設定項目が用意されもしオンにすると何が起こるのか。ということをちゃんと考える癖があるので、転職後の経験がそのまま応用できました。もうこの業界はトレンドがころころ変わるのですが、どんなに変容しても、根っこの部分があればインターフェースだけ変わっても全然すぐ対応できます。

いわゆる「これは向いていない」という人の仕事の仕方は、この「なぜそう動くのか」を突き詰めようとせず、丸暗記するタイプの人です。いわゆる手順書の丸暗記。ある手順をそのまま実行することについてはエキスパートなのですが、それを逸脱すると何をしていいかわからなくなります。まあ・・丸暗記するだけマシという議論はありますが、それすらできない人は退場ということかもしれません。

この丸暗記が一番怖いのは、「想定外」が起こると手も足も出なくなることです。特にこの業界、変化が急に起こり同じ製品であっても仕様がある日変わったりします。そうなったときに、追随するのが非常に遅いのです。その大きな変化を何度か経験するうちに、だんだん丸暗記する手間を省くようになり、どんどん最新の技術に対する反応が悪くなっていく・・というパターンです。

理想は、基本がしっかりしてるから、応用部分の変化について追随性が高い、むしろ勉強しなくてもインターフェースを見れば仕様が何となく利用できる。そして先端技術部分の基本をマイペースに勉強していけば、スマートにスキルを最新化できる。そういうビジョンなのではないかと思います。

しかし、どうも、「向いていない」タイプの人は、基本が微妙な割に、いきなり応用や先端技術に興味を持ってしまうがため、その内容を丸暗記し、その中でしか手を動かせない、となってしまっている感がありありです。

 

小さいことからコツコツと

私の立ち位置から、新人がこれからシステムエンジニアとして活躍するということを考えると、とにかく20代でいきなり活躍できるビジョンは持たない方がいいと言うことです。業界が積み上げてきたナレッジはもう、膨大なものです。もし、たまたま20代でうなるような活躍ができたとすればそれは、情報技術を活かしたものではなく、ビジネススキルで無二の才能があったのではないかと類推します。ビジネス分野であれば若いときからアイデアと経営に優れた人がたまにいるのはわかります。

最先端分野には、いわゆる理工系の大学でみっちり基本から身に着けた上で不眠不休の研究を行い有名な論文をいくつも仕上げているタイプの人もいると思うのですが、そういう人って「システムエンジニア」じゃないと思いますがいかがでしょうか。そういった人がビジネスをやるのであれば、どちらかと言えば起業して経営者やCTOなのかなと。もしくは研究者(一説には入社時から年収1000万など)だと思います。

ある程度一般的に言うならば、とにかく若いときに、業務内外で基本的な勉強をたくさんやり、どんな業務アプリケーションやインフラ基盤も一定の基本の下で動いていることを肌感覚で身に着けられた人が30代以降に延びるし、そうではない人は40代くらいでどんどんついていけなくなる、と思っています。

 

ということで、私が見てきた景色を並べてきましたが、普遍的かどうかはわかりません。ただもう長い間、現場はこういったルールでまわっている実感です。今、経済は停滞していますが、この状況を活かして勉強できる人が強いんだろうな・・と思う次第です。