orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

くちこみレビューはオワコン

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食べログの件

食べログのレビューはお金でどうこうできるのではないか、ということで炎上しているという話を聞きました。

 

www.itmedia.co.jp

「食べログから、年会費を払えば店の評価を上げるという営業電話がかかってきた」――そんな投稿が10月5日ごろからTwitterで注目を集め、グルメ情報サイト「食べログ」に批判が集まっている。ITmedia NEWS編集部が運営元のカカクコムに問い合わせたところ、「事実として確認していない」とし、「取引によって店の点数が変動することは一切ない」と否定した。

 

運営元が明確に否定しているので私は一旦、この話の評価はきちんとした調査結果が出るまで判断を保留にしようと思っています。一方で、インターネットの口コミを根拠にした価値の創造というのは、もはやオワコン=終わったコンテンツ、だと思っていますので考えをまとめておきます。

 

考察

インターネットによる匿名の世論形成については大昔から問題があると思っていました。そういえば、大学生のときの私の卒業論文が「匿名におけるコミュニケーションとその心理的特徴の整理」みたいな内容で、まだインターネットも十分に発達していなかった二十余年前によく書いたなと。それぐらい長い間興味を持ってインターネット上のコミュニケーションをあれこれ考えていました。

そこからもう随分長い時間がたったもので、ある程度の常識と言うか感覚を身に付けました。インターネット上において、パブリックに発言をしている人は全体のほんの一部です。よほど言いたいことがある動機がある人だけです。ツイッターなどSNSにおいてはパブリックとプライベートの中間のようなメディアはあるわけですが、パブリックで発言することの怖さを昨今知った人も多いでしょう。

サイレントマジョリティーとはよく言ったもので、大部分の人は黙っているのですが、一方で大部分の人の流れに乗れず悪目立ちすると怖い。だから、インターネットや周りの人の言動、テレビなどのメディアから、自分がどうするかを決めるというのが社会での個人の態度の決め方に随分反映されているのではないかと思っています。

一方でこの図式には大きな問題があります。

インターネット上でパブリックに発言する人は実は限られていて、しかも発言する人は「声が大きい」という事実です。発言するには動機があるためその発言を浸透させるために、何度も、何度も発言します。また、たくさんの人がそう言っているように見せかける細工も可能です。ざわざわしているように見えるけれど、よくよく耳をすますと特定の人しか発言していない可能性。これは匿名であるために成り立ちます。また、匿名での民主的な投票結果であるかのような見せ方をしつつ、実はお金で操作しているかもしれないという疑惑を払しょくする方法が実はありません。やってない、と言ったって証明できません。第三者が監査するわけでもありません。

結局のところ、匿名でのコミュニケーションスペースというのは特定の第三者の偏った意見をあたかも世論のように見せかけることが可能で、これに乗せられることの危険性が盛んに叫ばれるようになったのがここ最近のトレンドであると認識しています。

大多数の意見が別にあるかもしれないが、その意見の発信元がサイレント(黙っている)である可能性がある、ということです。そうなると、匿名レビューなんて当てにしてはいけないわけです。それを解決しようとしたSNSですら、アカウントが個人で複数取れたり、アカウントが裏で売買されている事実も明らかとなり、インターネットにある情報を持って社会のマジョリティーを探ることに一種のハードルがあると言わざるをえません。

くちこみレビューはオワコン、です。Yahoo! Japanのニュース欄コメントも、Amazonレビューも随分汚染されているという個人的な評価をしています。

 

現在の主流

さて、それでは現在はどうなっているのか。人々は何を当てにしているのか。社会のマジョリティーを知りたいというニーズは依然として存在しているわけです。何を見ているのか。

それはインフルエンサーの発言です。ある信じるに値する情報発信源を見つけ、そこから発する情報に人々が集中してきているように思います。

ITの世界でも、メインフレームへの集中アクセス、オープンシステムによる分散処理、クライアントサーバー型、Webアプリケーション型、そしてクラウド、そこからIoTと、集中と分散を繰り返してきた歴史があります。

マスメディアからインターネットへという集中から分散、今度は匿名からインフルエンサーへという分散から集中。

インターネットで自由に発言できるからたくさんのコメントを平均すればマジョリティーがわかるよね、と言う時代から、権威のある人を見つけてその発言を聞くという時代へ移っています。YouTuberもその一つでしょう。

口コミが主流のビジネスモデルの企業はまだまだありますが、早くそのビジネスモデルを脱却する必要があると思います。また受け手はもう発信元が全く不明な情報は見限るべきです。フェイクニュースを許してはいけませんし、雰囲気に飲まれず、自分自身で主体的に考えていく必要があります。また逆に、もし社会に対して発信していきたいのであれば、個人でもいろいろと発信手段が生まれているので活用するべきだと思います。ブログもその一つかもしれません(やっていて思います)。

 

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