orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

お試し転職 今は個人が起業を試す時代

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会社が個人を試す「試用期間」

試用期間、という言葉がありますよね。

新卒だろうが中途だろうが、半年の間は「試用期間」であり、よほどのことが無ければ正社員になれるという制度。これはあくまでも会社が個人を試す制度です。会社の上から目線の制度であり、悪用する会社すらあります。

 

biz-journal.jp

 一方で、「試用期間」や「研修期間」という制度を悪用した、詐欺的な手法で労働力を確保する行為が横行している。労働問題に詳しい佐藤宏和弁護士は次のように解説する。

「正社員を募集する求人票への応募に対し、会社が『試用期間』『研修期間』と称して、求人票より不利な条件での労働契約を提示することがあります。応募者は、一定期間が過ぎれば求人票にあった労働条件で雇ってもらえると期待して、提案に同意し勤務を開始しますが、会社側は当該期間中や期間の経過後に、本人の能力不足といった理由をつけて、求人票どおりの労働条件は出せないと通告するのです」

 

ただでさえ人手不足ですから客寄せ的に高い条件で募集しておいて、半年後に逃げられないようにしておいて条件を下げると言うのは、まぁひどい手口だなあと思うのですが。これも会社が個人より強いことを悪用した話だと思います。

 

個人が会社を試す「お試し転職」

本日の日経に掲載されて興味を持ったのですが、個人が会社を試す「お試し転職」なるサービスが注目されています。

 

www.nikkei.com

社員として勤務先に所属しながら、他社のインターンシップ(職業体験)の参加や副業を経て転職する「お試し転職」が増えている。面接選考のみでの転職と異なり、求職者と企業双方のミスマッチを防ぎ転職者の定着率を高める効果を見込めるのが特徴だ。企業が採用にかける時間や費用の負担が課題になる中、関係者は新たな採用手法を模索している。

 

少しだけ職場の雰囲気を味わってみて自分のキャラクターと一致するか確認したい。社員の人は優しいのか見てみたい。仕事内容は思っているものと同じなのか確認したい。これまでの転職活動ではわからなかったいろいろな情報を手に入れるためのこの「お試し転職」は、人手不足で個人が会社より強くなった証拠のような制度だと感じます。

採用する企業側にもメリットがあり、自社に合わない人を採用してしまいすぐ辞めてしまうと採用にかかったコストに穴が空いてしまいます。うまくかみ合えば、ウィンウィンとなれると思います。

こうなってくると、企業側もお試し期間中は「お化粧」しそうな気もしないでもないですが。お試し転職中の人向けに素晴らしい会社のように振る舞うのです。一方で個人もお化粧するでしょうから、運用には試行錯誤を伴いそうです。

 

具体的利用

実際に「お試し転職」を運用している企業の情報です。

 

仕事旅行

www.shigoto-ryokou.com

「人生100年」と言われる時代。給料だけじゃなく、出世でもなく、本当にやりたいことを仕事にしようと職探しをすることも当たり前の時代に。
とはいえ、一度就職した後に転職となるとハードルがあるのもまた事実。どうやればやりたい仕事に出会えるのか分からないという声もよく聞きます。

仕事旅行はそういった方々に「新たな仕事との出会いの場」をご提供したい。まずはおためし転職として仕事を体験してみることで、自分を活かせる仕事なら転職への道が拓けます。本当に”やりたい“仕事との出会いは「おためし転職」から。

 

神戸市・学情

prtimes.jp

株式会社学情(本社:大阪市北区/東京都中央区、代表取締役社長:中井 清和)は神戸市より委託を受け、「転職・再就職支援事業」を運営しています。その一環で神戸での就職・転職・再就職を希望する方々を対象に、神戸市内企業での短期間の職場体験を通じてミスマッチのない雇用を創出することを目的に「神戸で働こう!おためし職場体験プログラム」を実施します。本プログラムにおいて職場体験を受け入れる神戸市内企業を募集しています。

 

タメシゴト

tameshigoto.com

仕事を探している方は、

・なるべく就職した会社では長く働き続けたい
・希望する業界はあるが、なんとなくしか会社や仕事のイメージがわかない
・はたして自分にずっとできる仕事なのか、求人情報だけでは見極めが難しい
・今後必要なスキルってなに?

こういった悩みを抱える方も少なくないと思います。

紹介予定派遣制度は、最長6ヵ月間の派遣期間中に自分に合った仕事か見極めてから就職を決めることができるので、通常の派遣とは違い、長く働きたい方向けのサービスとなります。

 

ひとこと

私の身の回りでも「人が足りない」という話をよく聞くようになりました。ただよく聞いてみると、「来るには来るけどこの人は違うよなあ・・と言う人しか来ない」「入れてみたらすごくミスマッチでどうするか困っている」というふうに、ミスマッチが大きな原因のようです。転職したい人が少ないわけではなく、相応する人が応募してこないというわけです。結局は企業がこれまでの条件で人を募集するのが難しくなっているということであり、条件を上げれば集まるはずです。

とは言え、営利目的の企業においていたずらに人件費を上げればビジネスモデル自体が崩壊してしまうでしょう。ということは生産性を上げて少ない人数でも廻るようにしなければいけないとはなりますがそれでも限界はあるでしょう。生産性を上げるための投資すらリスクがあります。

そこでもっともコストがかからず、失敗しても傷口が少ないこの「お試し転職」が今後流行するのは不可避であると思います。ただ転職前に在籍する会社からすれば、他社をお試し中です、なんて話は楽しくないでしょう。大手を振って転職活動されているようなものです。特に同じ業界ならば・・隠していてもそれとなく情報が入ってきそうです。

今後、どう社会にこの「お試し転職」を馴染ませていくかがポイントとなりそうです。「お試し転職」を導入する会社は、社員に対して他社でもおためしを認めるなどの文化を馴染ませていく必要があるのかもしれませんね。