orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ギグワーキングの構造的な問題

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ギグワーキングの話題

クラウドソーシングと言われていた単発の請負仕事が、ギグワーキングと名前を変えて広がっているそうです。クラウド、と言った途端にインターネット関連か?と聞こえてしまうので、きっと軌道修正されたのかと思います。

 

www.nikkei.com

 企業と長期契約を結ばず、単発で仕事を請け負う働き方が広がっている。デジタル技術の進展で、飲食店でのアルバイトから専門的な会計作業まで、様々な「働き手」と「働く場」を柔軟に橋渡しできるようになった。登録者は延べ700万人と1年で4割増えた。「ギグワーキング」とも呼ばれるこうした働き方は、人手不足解消や生産性向上が期待される一方、海外では低賃金への批判も出ている。

 

日経電子版の会員になってこういう記事が読み放題なのがうれしい。

新しい働き方として注目されているこのギグワーキングですが、構造的に問題があると思い考察します。

 

考察

有料会員では全文読めるのですが、その中に核心をつく表現があります。

 

企業の悩み

・人手が足りない
・コストを抑えたい
・特定のスキルが必要

  

働き手の悩み

・スキルを有効活用したい
・すきま時間を活かしたい
・副収入を得たい

 

企業の悩みと、働き手の悩みをマッチングする需要がデジタル技術の進化によって満たされるようになったということです。

問題はシンプルです。企業は「コストを抑えたい」のです。

そうすると、絶対に報酬は安い方向に向かいます。副収入を得たい働き手を見透かして、その技術が本来持つ価値よりも下を指しに行きます。

かつ、働き手は「すきま時間」があります。時間を埋めることでお金をもらえるシステムに組み込まれてしまいます。そして、スキルを有効活用することで「やりがい」が生まれます。

結果として、「やりがい」を「低コスト」で企業に吸収されるシステムができあがってしまうのです。

 

私は副業を、時給でやるべきではないと思っています。

このブログも私にとって副業とも言えるのですが、時給ではありません。

むしろ、書いている時ではなく、書いたものを読んでもらっていることが価値です。読んでもらっているときは私はきっと別のことをしています。

時間をお金に換算するような副業をしていたら、働き方改革で減った残業を副業で補っているようなものです。会社が複数になるだけで長時間労働の絵は何も変わりません。

副業とすべきは、時間を価値にする仕事ではなく、時間では測定できない価値を生み出すべきと思っています。「時給」という概念をすごく私は嫌っています。

例えば、何か芸術作品を作るとします。天才なので2時間でできました。でも、鑑定の結果2億円の価値があるそうです。では時給1億円・・・なんていう思想が大っ嫌いです。その2億円の価値を生み出すまでに、いろんな経験をしいろいろ思索したでしょう。時間で、価値を測ることをするから、拘束時間が労働であるという発想にはまっていくのです。

特に副業においては、時給労働ではなく、自分の能力の中で秀でている部分を活かして価値を生み出すことにチャレンジすべきかと思います。時間でマネタイズしようとすると、きっと「価値と時給のゆらぎ」をうまく利用するビジネス感覚に長けた人に利用されてしまうでしょう。もし能力のある人であれば、直接その能力を使って仕事をして、その対価を受け取るような活動をした方が良いと思います。成果物を納品してその対価を受け取る請負の形でもよいです。サービス料という形でも良いです。何しろ時給はいけない。時給にすることで、「コストを抑えたい」という企業にうまく利用されていると思います。

 

副業自体は良いもの

私は、主業が時給や月給であることは否定しません。生活を安定させますし、法律が整備されているのでそこまで企業が無茶できないからです。

また、私は副業自体もとても良いものだと思っています。人それぞれが持っているスキルを活かす場を、主業以外に持てるのは幸せなことです。

しかし、副業が、まるでアルバイトの延長や残業の代替のような話になってしまっていて、これはおかしいと思っています。フリーランスの議論もそうなのですが、時間を売るのではなく、モノやサービスを売ってほしいなと。そのほうが個人の価値を最大化できるはずです。

時給思想の呪縛から離れた副業モデルが社会一般化することを願っています。