韓国と北朝鮮が急速に接近しています。去年の緊張状態はなんだったのかという感想ですが、それでも平和寄りの状況は歓迎すべきことだと思います。ここでは、私個人が勝手に予想する、朝鮮半島南北統一後の未来をつづっていきたいと思います。将来答え合わせをするための本当に勝手な想像です。
前提:統一のかたちの定義
統一するにもいくつか方法があって、最もまやかしな統一方法が、一国二制度と呼ばれる統一のされ方です。一つの国の中に二つの政治制度があるというやり方で、中国の中における香港やマカオがそのような統治方法を採用されています。
ただ、これは統一とは到底呼べません。中国のケースではあくまでも主導権が中国政府にあるのに対し、今回は南北どちらかが主導権を取るわけには行かないのです。したがって、朝鮮半島全体で一制度となるかたちで統一することを統一と呼びたいと思います。
また、EUのような、国家連合の形も統一とは呼びません。南北の経済的実力の差は明らかで、全てが噛み合わないのが明白だからです。これは政治的には検討される可能性がありますが、実務上は効率が低いので、アメリカ・中国・ロシアも前向きにはなれないと思います。
したがって、一国二制度や国家連合という言葉が聞こえて来たら、妥協の統一であり真の統一ではないと私は考えます。あくまでも国の制度は統一することを前提とします。
政治制度
私が最も合理的だと思うのが、金正恩氏またその一族を王室とし韓国の大統領制を新国家の政治制度として採用するパターンです。王室制度を採用している国家は世界に27あるそうです。イギリスが採用していることもあり、アメリカにも受け入れやすいのではないかと思います。
ただし、王室の政治に対する影響力を限定したものにしないと、アメリカはYESとは言わないと思います。国家として金一族を王室とすることで顔を立てた上で、政治経済の手法は韓国を継続することになると予想します。
統一後の経済状況
北朝鮮の経済力が韓国に対してあまりにも低いので、統一後しばらくは朝鮮内に大変な不景気がやってくるのは不可避です。これは、20世紀末の東西ドイツ統一後にも見られた現象です。
具体的に言えば、韓国側の税金で北朝鮮の社会資本整備を統一後に行わなければいけなくなるでしょう。この社会資本という単語はしっくり来ます。
産業基盤施設としての道路,港湾,空港,鉄道,電信電話をはじめ,国土保全事業としての治山,治水,農林漁業施設としての干拓,構造改善基盤整備事業,林道,漁港のほか,生活基盤施設としての公営住宅,上下水道,都市公園,病院,学校などが含まれる。
これらを整備するために莫大な投資が必要となるのですが、この費用をどの国が捻出するのかがポイントになります。統一後の主導権を握るためには重要な投資なのですが、アメリカ・日本は非常に慎重になると思います。国債の残高が積み上がっている状況で、かつ財政赤字が慢性化しているのはアメリカ・日本も同様の現象です。アメリカは貿易不均衡を突破口にこれを是正しようと動いている最中で、大金を朝鮮に捻出するような政策は可能性が薄いと考えます。日本について考えれば、これは長年冷ややかな関係が北朝鮮と続いて来ましたので、おいそれと投資に回せないでしょうし、やればまた国債を増発しなければいけません。やはり可能性があるのは中国による投資です。地理的に隣国であるということもあり、潜在的な支配力を強めたいのは間違いなくしかも韓国の領域まで中国が影響を及ぼせることになれば百の利があります。ただ、アメリカ・日本は朝鮮の全てを中国に握られてしまうのはまずいので、ある程度は出資せざるを得ないと思います。
北朝鮮側の安い労働力をもとに経済発展が来る
統一後、北側の労働力についてはかなり安価になる時代が続くと思います。この地域に工場をつくり生産すると、一番利があるのは実は日本です。下記の毎日新聞の記事はちょうど2日前(2018/4/26)の記事です。
中国の経済発展の一方で、国債的な給与水準や物価が高くなって来ていることもあり、より安価な東南アジアに流れているという記事ですが、急に朝鮮半島に人件費の安いエリアができ、政治的リスクが減少したとすると、地理的には日本と近いので東南アジアエリアより有利です。
もちろん拉致問題の解決などもあるのですが、日本がこのエリアを活用しないと中国やロシアが入り込んで来ます。民間においては検討の価値が出てくるのではないかと想像します。
したがって、統一後10年単位で社会資本の整備のために、韓国側中心に不景気に見舞われるが、一方で北側の労働力が安価であるため民間の投資が相次ぎ、好景気がその後やってくるという、勝手な予想をしています。
ドイツも統一後しばらく低迷し、現在はヨーロッパの優等生になっています。このイメージが私の中では強いです。
まとめ
以上は勝手な私の想像でした。日本は残念ながら何かを変えようとすると、急に抵抗勢力が現れて、何をするにしても改善がしにくい国になってしまいました。しかし、今回の朝鮮半島の出来事を見ている限り、両国とも前のめりで変化を行ってきそうで、可能性を感じています。推移を見守っていきたいと思いますが平和に進むとよいですね。