orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

IT業界が長い人間としてレビューしておく「ここ最近の客先常駐の実情」(返信)

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読んでいただいてありがとうございます。

IT業界が長い人間としてレビューしておく「ここ最近の客先常駐の実情」 - orangeitems’s diary

について、はてなブックマークのホッテントリーに掲載いただきました。たくさんの方に読んでいただけてうれしいです。

ブックマークにコメントがたくさんありますので、本筋のIT業界の労働に関係する部分に注目して、私の考えを記載していきます。

なお、日本人は実際の会議の場だとあまり発言が出てこないのですが、こういうかたちになるとたくさん意見が得られて興味深いです。

 

コメントへの返信

採用面接で福利厚生を質問することについての話題

福利厚生を質問すると落とされる、という文章に非常に反応が多いです。

> 福利厚生や勤務条件を聞いて落とされるようならどうせブラックだから
> 申し訳ないが、福利厚生について新卒は聞くべきでないと書いている時点で有害な文書でしかない。また、一般派遣契約をしている会社でIT企業を名乗っている会社はいくらでもある。
> この時点でもうブラックでは・・・・この文章で全て台無し・・・>新卒が面接でいきなり福利厚生とか勤務条件とか聞いたら落とされるでしょう。そんな新卒やだ
> (ほか、いっぱい)

質問すると落とされる、ということではなく、本来の業務内容やミッションの話題より、勤務体系や残業時間、福利厚生などの労働条件を「いきなり」聞くとマイナスになるよ、という話です。本来の業務内容やミッションの話題を話し尽くして、最終的に聞くぐらいが無難だと思います。

経営や採用側は、正社員採用した後に入社に聞かされた情報と違うと揉める人はできるだけ取りたくないという心情があるのはわかると思います。社員はいつでも条件が違えば転職はできるのですが、会社側は採用についてはかなりの費用が発生しています。特に就職斡旋会社には数ヶ月分の給与を成功報酬として支払っています。だから、マイナス面にはすごく慎重なのです。

もちろん、最終的には福利厚生まで質問して、納得して就職しましょう。IT業界を警戒しすぎて、いきなり一次面接でブラックじゃないかどうかを勘ぐるような質問をしてくるような人は、採用されないとは言いませんが、採用されにくいと思います(良い就職先であっても)。

SESは実情は派遣だろうという話題

もともとの記事は「IT業界を目指すなら労働法を理解するべきだ」という趣旨なのに、労働法(とくに労働者派遣法)に沿って話をしないのは謎です。

> SESは形式だけ見たら準委任だけど、労基系は実態が問われるので、客から直接指示受けて法的に派遣扱いとなることが多いような。あと準委任の完成義務ありのパターンが民法改正後には追加されるね。現実の後追いだけど
> SESで実態派遣(一人業務請負)とかいくらでもあるでしょ。。。
> SESと言い張って人売りやってる会社が多く、利用する会社も多いからのあの増田なのでは。定義の話と現実は異なる。もちろん、だからSESは全て悪と言うのも現実とは異なる。
> SES企業擁護しようとしてフレンドリーファイヤーになってる感がとても良い

私自身も人売りに15年ほど属していたのでよくわかるのですが、実態がどうあれ、営業部門は、法的には矛盾がないように細心の注意を払っています。実態が派遣なのに契約はSESというのは危険極まりないです。労基署が査察をするときは、もちろん実態を問われます。実態が派遣なのにSESになっていたら、それは法律違反なので、最悪のケースだと役員や管理職レベルで書類送検まであります。

偉い人は、そんなことで経歴に傷がつくのは絶対イヤなので、形式的な法律の遵守に対しては相当の知識があります。で、技術者に対してはこう言うのです。

「お金や契約のことは知らなくて良い。それはこちらの仕事だ。技術に集中してお客様に貢献してほしい。」

ということで、技術者は自分がどんな契約でどんな単価で、常駐先にいるかもわからないケースが多いと思います。一見筋道が立っているように見えますが、技術者が疑問を持たないようにするための方便であることはよくわかります。

私はそういう経験があるので、私の組織に入れている派遣さんには、金額までは教えないまでも派遣契約のしくみについては教えてあげています。

繰り返しとなりますが、技術者も法的な知識を身につけるべきです。そうしないと、「商品」として扱われ、「商品がものをしゃべるな」というわけのわからないことになってしまいます。私も、自社営業に似たようなことを言われたので転職したクチです。

こちらはgoogleで「派遣 請負 SES」と検索するといろいろ出てきますが、一番網羅的に説明されているのは下記の記事でしたので紹介しておきます。ビズリーチのサイトです。結局はリクルーターや派遣会社が一番詳しかったりするのが皮肉な話です。

bizhint.jp

画像について

> 自称「IT業界が長い」なのに、記事の見出し画像にNASAのロケット打ち上げ現場とか内容と全く無関係の画像を無断転載する理由は何? それこそ経験がないからこういう超大画面のスクリーンが現場にあると思ってるんじゃ。

画像については、以下のものを利用しています。「The pictures are free for personal and even for commercial use.」ですので、もしブログとかやる際にはどうぞ。

www.pexels.com

あと、データセンターの運用監視などを実施するオペレーションセンターとか、セキュリティ監視などを行なっている場所はこういうレイアウトはよくありますよ。こういう場所にSESの人は結構いると思います。

まあ、本筋とは関係ないですね。

補足

技術者が、法制度について関心を持ったり、もっとよい働き方がないかどうか議論をするのは絶対にやるべきだと思います。自分の置かれている位置に納得できないのであれば、転職活動を始めるべきだと思います。今は特に売り手市場ですし。

新卒については、実情は知れば知るほど良いと思います。ただ業界全体を否定するのは誤りで、以前の記事に書いた通りです。

1つおまけとして、人売り企業のいい見分け方を追記しておきます。

損益計算書(P/L)を見てください。売上が非常に大きいにも関わらず、純利益が非常に小さくて、かつその状態が常態化している会社は怪しいです。例えば売上が100億あるのに、純利益が500万とか。この業界で、派遣やSESなどで高い粗利を取ることは非常に難しくなっています。とは言え原価を割ってまで仕事は取らないので、最終的には薄利多売になっているのが実情です。人材不足とは言え「昔みたいに安い単価の人がいない」という意味です。それは若い人がIT業界を敬遠していることの裏返しでもあります。昔のITのイメージはもっと先進的でしたので、若い人が多い業界だったんですが。

これからは、大手SIerのヒエラルキーのもと多重請負構造、つまりゼネコン構造で仕事をしていく時代ではなく、足の軽い会社が直接取引をしていく時代です。特にクラウドが本格化してこのような傾向が増速しています。

以前の記事に書いた木村岳史さんの本や記事は、その実情をよく表現されていますので、ぜひお読みいただければ幸いです。

 

また、下記の記事でも、技術者の法知識が大事ということを書いたばかりなのを思い出しました(これは労働法ではないですが)。時間があればぜひお読みください。

チケットキャンプの件をきちんと学んでおく - orangeitems’s diary

また、人材派遣業からの脱却という意味では、MAYA SYSTEMとFREETELの事例も面白いです。これもどうぞ。

民事再生法で出直すFREETELのスポンサー株式会社MAYA SYSTEMを調べてみた - orangeitems’s diary

補足2

転職活動については以下にまとめました。

www.orangeitems.com

補足3

2018/1/14 20:00現在、アクセスが落ち着きました。
しばらくは落ち着いて更新します。
本件、激励頂いた方、ありがとうございます。感謝します。
月曜日からお仕事がんばりましょう。

補足4(2018/1/15 12:25)

多重請負を発端としたIT業界の非生産的な状況は、ここから数年でロボットにより大きく変わっていきそうだと思っています。そうするとこの議論自体が意味がなくなるでしょう。下記に記事を追加しました。

www.orangeitems.com

こちらに反響記事をまとめています(2018/1/14 7:00)

随時追加します。

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