orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

IT業界が長い人間としてレビューしておく「ここ最近の客先常駐の実情」

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気になった記事

はてなブックマークを見ていて気になる記事があった。IT業界はひどいので新卒は来るなと言わんばかりの記事だ。どうも内容に乱れがあるので書いておく。

anond.hatelabo.jp

レビュー結果

> 今、IT業界は人手不足だ。

その通り。募集を出しても全然来ない。

> それでもIT業界の大部分を占めるSI業界が体質を改めるどころか更に姑息になっているので、これから就職活動をする学生さんには気を付けてもらいたい。

会社による。まるで全部みたいな言い方は言い過ぎだと思う。

> その姑息さが目立つのが客先常駐をメイン事業とした企業の存在である。
> 社員数200人以上の規模を誇る独立系企業でも客のセキュリティの都合上、社員を客先に常駐させている事が多く「自社開発」と言っても「客先での開発」になる事がほとんど。 

これはその通り。かなりの企業がこのパターンなのでタチが悪い。私が昔いた会社は社員が1000人いたけどこのパターンだった。

> SI業界のユーザー子会社・メーカー系・独立系は共に客の都合で客先常駐にならざる負えないのが現実である。

ところが、100人そこそこの会社でも客先常駐はやらず自社作業を貫いている会社もある。自社作業とか、プライムとかいう言葉がキーワードとなる。

> それぐらいは業界研究してる人には既にわかりきったことかもしれないただ求人広告に記載する内容が詐欺に近いデタラメを載せる企業が多いので自分が見た事実を元に警告しておきたい。

多いは多い。見分けることが大事だ。

> まず、1回でも名刺交換したら取引企業として扱う会社が存在するため規模が小さい割に名だたる大企業をたくさん載せてる会社は危ない。
> 面接まで進んだら取引企業との関係と業務について具体的にどんな事をしているか聞いてみよう、口ごもり始めたらその会社の面接官はバカか主な取引がないのに載せている事になる。

名だたる大企業とちゃんと取引している会社もある。ミスリードとなるので取引企業で判断しない方がいい。面接官が技術者ではないケースもあり、そんなに勘ぐってくる新卒は落とすから注意。

> そして、求人広告で主な事業内容に「ネットワーク構築・運用」とか「ソフトウェア開発」とだけしか書かれておらず具体的な事は一切書かれていない会社は危ない。

もしプライム、つまりお客様と直接取引をするような会社は、オンリーワンな技術を持っていることが多いので、その通りかと思う。

> そんな書き方をする企業は客先で派遣された自社の社員が何をやっているか把握していないだけでなく、SES派遣をメイン事業としている可能性がある。

SES派遣という言葉はない。ここが致命的にこの記事が間違っているところ。SESつまりSEサポート契約は「準委任」という定義であり派遣ではない。

> 面接まで進んだら客先での主な仕事と単独派遣かチームで派遣か聞いてみよう、ほとんどの会社が「派遣先によるので何とも言えない」とか「セキュリティの都合上くわしく説明できない」とか「1人での派遣もありうる」と答えるはずだ。その時点でSES派遣をメイン事業としている可能性が非常に高い、その会社はやめよう。

そもそも、派遣契約なら顧客が指揮系統を持つので、そうなった場合は人材派遣業でありIT企業ではない。SES契約は運用保守の常駐作業などでしか結べず著者の言うSIerではない。おそらく請負契約になる。ただ、請負だと一人常駐は違法になる(偽装請負)。このあたり、誰かに知恵を入れられて誤解しているのではないか。

> 加えて福利厚生や社内制度も社内で利用した人がいるか聞いた方がいい。

新卒が面接でいきなり福利厚生とか勤務条件とか聞いたら落とされるでしょう。そんな新卒やだ。

> 理由は利用実態がない制度は絵に描いた餅状態になっていることが多く、福利厚生や社内制度が事実上存在しない会社もあるからだ。

だからといってそれを面接で言うわけないでしょ。

> そんな会社は利用した人を異端者扱いしてパワハラなどで退職に追い込む可能性がある。

妄想。もしくは筆者の経験。

> SES派遣について説明する。
> SESとは「システム・エンジニアリング・サービス」の略で、簡単に言うと「お客様の要望に沿って業務を支援する業態」である。
> その業態をメインとしているかはほとんどの企業が表に出さず求人票や求人広告にも一切載せない、と言うかそもそも載せられるほどクルーンな業態ではない。

クリーン・・。一応契約なので、クリーンではある。クルーンではないかもしれないが。

> 一昔前はSES派遣と言っても客や他の派遣社員と一緒にマネジメント・開発・構築・運用・保守に携わる事が出来たため主に新卒や新人を派遣する時に利用された。
営業からすれば「使えない子だけど最安値で派遣するので使ってやってください」みたいな意味合いがあったと言う。

だから、これは派遣契約ですよね。SESで、「使えない子」はありえない。
SESとは、
・完成責任はない(最終成果物がなくてもよい)
・瑕疵担保責任はない(作ったものに責任は問われない)
・期間の定めがある
・業務の遂行については一般的に委託者への「報告書」をもって行う(成果物がないから)
・指揮命令権は受託者(注文者には指揮命令権はない)
となっていて、派遣とは全く違う。お客さんに指示する権利はない。逆にお客様よりスキルがないとおかしい。

> しかし、今はシステムの高度化や少数精鋭でコストを抑える会社が多いためSES派遣された新卒を受け入れる余裕がある現場が少ない上にソフトウェア開発と聞いて派遣したらやることはExcelとwordを使ったマニュアルの更新と客からの問い合わせ応対だけとか、システム運用と聞いて派遣したら在庫管理倉庫に放り込まれ毎日段ボールを開けながら在庫の確認をするだけと言った性質の悪い派遣先が多く買い叩かれる事も多いため、技術力が身につかない上に低賃金と言うのが実情である。

それは案件によるでしょうに。

> そもそもSES派遣は多重派遣や偽装請負が横行していることが多く、「A社からB社に派遣」と言う契約でも「A社からD社を経由してC社を介してB社」や「A社からB社に1人請負でSES派遣されたけどD社の指示で動いてる」

SESと、派遣と、請負は、全部違う。
・派遣は、多重派遣は法律で禁止。
・多重請負はよくある(他の業界、ゼネコンとかでもそう)。超大型プロジェクトで人を集める時はこうならざるをえないんだろう。ただ、ここ最近は多重請負禁止の案件もある。品質が下がるからね。
・多重SESもあるんだろう。指揮系統を考えるとほめられたものではない。
このあたりは基本情報処理技術者試験でも範囲だと思う。

> なんて事も多くSES派遣=違法労働なんて認識になりそうな状態だ。ただこの問題は派遣社員が気が付くことが少ない、理由は労働法を知らない人が多すぎて派遣会社の言いなりになってしまっているからだ。

筆者もよくわかってないと思う。
だいたい、情報処理技術者試験はすごく労働契約法の勉強を問題にしてくるし、IT業界の人間(もしくは入門しようとしている人)なら理解すべきことと思う。

> 辞めるか退職に追い込まれても知らないままの人が多く表にも出にくい。

辞めるのは自由だからね。

> この問題は面倒な一面もある、それはSES派遣で「運よく技術的な仕事ができるポジションに着けた人」の存在である。
>「運よく技術的な仕事ができるポジションに着けた人」は客先常駐型の派遣を肯定する傾向にあり違法労働も良しとする人が多い。

SESで客先常駐で私は成長できた。なので案件次第・実力次第。そして、それが違法労働に結びつけるのは無関係だと思う。

> 多重派遣を「社員を待機にさせないためには必要なこと」、偽装請負を「客の利便性を考えると多少の法律無視は仕方がない」と言うとんでもない存在もいるが、技術力があるため先ほど記した技術力が身につかない上に低賃金なポジションに着いてしまった人よりも発言力があり業界内で幅を利かせている事が多い。

それって、技術者のことじゃなくって、営業のことだよね。いわゆる人売りといわれる人材派遣業・もしくは常駐型のSES契約において、お客様と話をつけるのは営業。彼らは案件の内容より数字を気にするので、そのようなタイプの会社は技術者の志向とか無視して仕事ぶっこんでくるので、発言力があると映るのだろう。

> そんな人は「派遣先で技術的な仕事が出来なかったのは本人に問題があるのでは?俺はできてたし」と言い実態を知ろうとしないため問題を自己責任で処理し、表に出来にくい空気を作ってしまっている。

まあ、営業はそれでお客様とカタをつけて、別の人アサインして。で、切られた人は別の現場にアサインされ、っていうことを延々とやっている会社は多い。

> 客先常駐の技術者は守られるのか。
> これは「守られない」と断言できる。

そりゃ、お客様のシステム部門の人は守られているように見えるだろう。ただ、お客様を見ていると、システム部門に入れるだけの実力やバックボーンがある。むしろ、実力がないと、逆に会社に居づらくなるので、彼らも生き残るために精一杯なのは言っておきたい。

> チームでの派遣であれば多少守ってくれる人もいるが単独もしくは少人数(4人か5人)だと客先での技術者の立場が弱くなり奴隷にならざる負えないのが実情だ。

派遣は指揮系統はお客様にあるので、守るとか守らないとかはない。もちろん派遣契約内に契約違反があれば打ち切られる。派遣会社と受け入れるお客様の間の立場は弱い弱くないでもない。お客様の満足のために仕事するのが「弱い」というのも変。それをもって「奴隷」というのはかなりモチベーションが下がった時の、歪んだ見方と言わざるを得ない。

> 極端な話、自分以外は全員客な状況と考えると良い。自分たちにサービスを提供するポジションの労働者を客が同等に扱うだろうか?

はい。技術があれば扱います。

> 客先常駐技術者の評価を下すのは客で昇給させる権利を握るのも客だ、そもそも派遣とは営業と客先の責任者の交渉の末に行われることであり評価と賃金を交渉材料にする会社が多い。

そりゃそうでしょう。

> 多くの場合、派遣会社の営業は客に従うため客が「安くこき使いたい」と考えて低評価で低賃金を主張したら余程の事がない限り営業は客に従う。
> 1聞いて10知るような要領がいい人(頭がいい人)は稀にいるがそのレベルにならないと評価が上がることも賃金が上がることもない。

だから、客先常駐なんて長居するもんじゃないと思うけど。
よほどできる技術者だったら、次回契約のときに営業が釣り上げることはあるかもしれない。それで契約終了となっても、技術力があれば絶対に次の現場があるはずだから。
営業も、高く売った方が成績上がるからね。

> 客のほとんどが「こっちは金を出してるんだから教えることに時間を取ることもミスすることも許さない」と考える人が多いのが原因なのだが取引先を怒らせる事を恐れる営業は客の言いなりだ。

営業によるでしょ。そもそも、派遣の場合は、お客様が指揮系統を持つので、教育もお客様がやらなければいけない。SESサポートだったら、サービスの対価だから教育する義務はない。契約に基づいてあるべき形で考えればいい。言いなりとか言いなりじゃないとかではない。

> その状態が続いた上にSES派遣で派遣された技術者は40歳になってもこれと言った技術が身に着くことなく低賃金労働を強いられ、転職さえも難しくなるという3重苦に陥ってしまう。

派遣のことだろうか。技術を身につかないと思えば転職すべきだろう。案件は運もあるし会社の実力もあるので、総合的に自分が見定めなければいけない。自分の人生なのだから。会社のせいにしてはいけない。もともとIT業界は、転職しやすいしね。

> それなのに年齢を理由に派遣先から契約打ち切りを通告される人も多く、そうなった社員は派遣会社から自己都合での退職を迫られ多くの人が自己都合で辞める。
> 派遣会社としてもSES派遣メインで派遣され何の技術もない無能に用はないのである。

最近は人材不足、と筆者も言っている。だから年齢で打ち切りはない。ただ業界も変化が激しいので、案件が終わるときは終わる。それだけ。また、無能かどうかはそのエンジニア次第なので、SESやったら無能とかいう判断はありえない。

> 今はもっとひどい。

これまでの話は今ではなかったのか。

> それは新卒をSES派遣して現場にねじ込む会社が増えてきている事だ、今までで一番ひどいと思ったのが「専門学校でプログラミングを学びjavaの資格も取った新卒が客先でシュレッダー係りになっていた」話だった。

> 彼はその会社の技術者重視・ソフト開発メインと書かれた求人にひかれて入社したようだがSES派遣で5社ほど介して派遣されたのちプロジェクトでソフトを開発するためのチームに入って雑務処理をしている。

雑務処理だって、業務の一つだから。
会社にも言い分はあると思う。常駐でなくたって同じ理論は通用する。
ただ、SESなのにチームで、かつ誰が指揮系統持っているんだろう。謎。

> もちろん違法性に気が付くことなく、営業や会社からは「今は下積み段階だろうから頑張ろう」と励まされ元気を出して黙々と客先でシュレッダー係りをしている・・・・これが下積みと言えるのか。

それはわからない。

> 元請けや1次請けの新卒が初歩的な業務を行っていると言う話だったのを考えると恐らく技術の初歩的な部分を元請けや1次請けの新卒が行い多重派遣で派遣された彼は雑用処理要員として派遣されたのだろう。
> 一度彼を見たことがあるが、まだ新しさが目立つスーツを着て小奇麗な革靴を履いて新卒特有のキラキラさを持っていた・・・そんな彼が元請けのネームカードを首にかけて延々とシュレッダー係りを務めているのである。
> 新卒でSES派遣するような会社に入り悪質な派遣先に派遣されてしまった彼は運が悪かった人なのだろう・・・・でもこれを運の悪さで処理をしていいのか?

技術者とソフトウェア開発の派遣契約を結んだのだったら、シュレッダーonlyだったら異議を唱えて良いと思う。でも、筆者の推測が入りすぎていて、事実がよくわからない。営業時間中シュレッダーだけやるなんてありえないからだ。

> 警告する、具体的な事業内容を記載していない求人を出す会社に新卒が入るのは危険だ。

SIなんてお客様の案件次第なので、事業内容書けないところもあるだろう。だいたい、具体的に書いてあったからと言って、入ってから危険じゃないというのも逆におかしい。まあ、たまたま筆者がそういうところに引っかかっただけの話だと思う。

> しかし学生のレベルによってはクソみたいな会社から、クソくない会社を探す羽目になる事もあるだろう。
> だからそんな会社に入らざる負えなかった人は、なるべくはやく転職することを考えて行動するべきだし労働法も勉強しておくといい。
> 自己責任を理由に闇に葬りされないようにな。

最後の文章は全く意味がわからないんだよねえ・・・。

新卒の方へ

IT業界は、客先常駐や、派遣・SES・請負などの契約の問題も含めて、ここ20年くらいでやっと整備されてきた業界です。したがって、整備されていない間にかなり非人間的な状況というのも存在しており、上記のような「モチベーションが低い人」というのを少なからず生み出してきたと思います。

ただ、最近は非常に法律も厳しくなり、常駐先(お客様)も含めて、法律遵守をするようになりました。ブラック問題含めて社会問題化しやすくなり、炎上したらビジネスができなくなりますからね。

この状況で、アドバイスです。

・できるだけ、直接取引の多い会社を選んでください。例えば、IT企業の取引先が別のIT企業の会社の場合は、その会社の下に入っていると思ってください。取引先に、NTTデータとか日立とかが入っていて、IT企業、と言っている場合はその下請です。そうすると、本当のビジネス感覚は身につけづらいです。逆に、何か商品やサービスを持っていて、それをお客様に直販していれば、直接取引です。

・直接取引している会社が、大企業かと言えばそうとは限りません。最近は小回りの効く企業が直接取引を、大企業から勝ち取るケースが続出しています。SI専門の大企業はこのクラウド時代において、ピンチとも言われています。

IT業界を研究する学生の方にオススメの本

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正直、IT業界がブラックのように言われている現状がおかしくて、私の組織ではほぼ残業なしで動かしています。派遣契約の方もいますがちゃんと教育しています。

正しい情報で、未来をつかんでいただければと思います。相談がある人はコメントいただければ回答しようと思います(上記は読んでおいて欲しいですが)。

ブックマークのコメントへの返信記事を書きました(2018/1/13 12:38)

いっぱいコメントをいただきましたので、一通り読んでみて返信記事を書きました。

IT業界が長い人間としてレビューしておく「ここ最近の客先常駐の実情」(返信) - orangeitems’s diary

こちらに関連記事をまとめています(2018/1/14 7:00)

随時追加します。

「ここ最近の客先常駐の実情」関連記事まとめ - orangeitems’s diary

議論している間に仕事がなくなっていくのでは?(2018/1/15 12:40)

こちらもどうぞ。

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