ルーチン系の事務仕事はどんどん無くなっていってる、の記事
まず、下記の記事を読んで頂きたく。
BPOって何?RPAって何?
BPOやRPAとかいう単語で、ほとんどの人が離脱すると思うので、事の重大さはそれほど社会に伝わっていないと思っています。
きちんと読むとわかりますが、このニュースが伝える内容が社会に与えるインパクトは、恐ろしく大きいと思っています。
BPOとは
ビジネス・プロセス・アウトソーシング、のことです。企業が仕事を行うなかで自社でやらずに他社に業務委託することを指します。具体的な例で言えば、
<BPOの対象となる主な業務群>
・情報システム運用(ITアウトソーシング)・顧客対応(フルフィルメント、コンタクトセンター)・福利厚生・人事・経理・総務・その他(入力・発送・料金計算業務 等)
という仕事です。
RPAとは
ロボティック・プロセス・オートメーション、のことです。BPOで言うところの、プロセスを、ロボットによってオートメーション化することです。
これまで、ロボットと言えば工場など、「定型化された」、つまり決まり決まった仕事に使うのが常識でした。
ハガキの内容をシステム画面に入力する、とか、
お客様の電話対応を受けて記録をシステム画面に入力する、とか、
請求書類をまとめて経理のシステムに入力する、とか、
以上のようなことは「非定型」であり、自動化できない部分として取り扱われていました。ただ、自社で正社員を雇ってやらせるにはコストがかかりすぎるので、BPOを提供するベンダーに業務委託してもらって、一部海外でやったり、人件費の安い地方で実施したりなどで、BPO自体は拡大してきたのです。
ところが、これを、ロボットができるようになってしまった。人間がやるよりロボットがやったほうが正確で、手間もかからない。BPOベンダーがRPAを本格的にやりだしたという記事です。
IT業界への影響
システム改修案件の減少
ロボティクスを提供するのもIT業界だから、システムエンジニアは安泰だと考えている人も多いでしょう。
ところが、です。ロボティクスが進めばシステムの改修案件が大きく無くなるおそれがあります。これまで、人手の繰り返し作業を発見し、それをシステム改修することで生産性を上げることが普通でした。ロボティクスを進めると、一見非生産的な人手作業をロボット側で吸収してしまうのです。
システム側ではなくロボット側で吸収する。
これって、SIerにとってしんどい話ではないでしょうか。人手にコストがかかるのでシステム投資するのに、これが人手がロボットに置き換わることにより、莫大なシステム投資よりロボットの仕様を変えたほうが早いということが起こりえます。
大手Sierも他人事ではない
一報で、SI自体にもRPA導入は進みます。大手SIerがこれまでアウトソーシングしていた生産性の低い業務はRPA自体に置き換える検討が進むでしょう。また、ユーザー企業が大手SIerに発注していた一括業務のうち、一部は自社でRPAを導入して削ってくるおそれがあります。そうすると今まで成り立っていた、大手SIerをトップとした多重請負構造(ITゼネコン)が崩壊する可能性が高まります。
大手SIerも、RPA込みでSIを提案することとなると思いますし、いわゆる「ワーカー」(同じ仕事を延々と繰り返す人)の居場所はどんどん狭くなっていくことが予想されます。大手SIerが下請SIerやRPOベンダーと協業することで、ユーザー企業に一括提案してきたバランスが崩れるのです。
影響はもう出始めている。
一例です。
銀行はとても事務作業が多く、それ自体が業務だったのですが、システム投資を非常にしていてもちろんRPAも進めています。
それにより人員削減も進みます。
まとめ
IT業界にある非生産的なプロセスが、システムエンジニアと言われる人々を苦しめているのはその通りだと思います。しかし、その非生産的なプロセス自体もロボットが置き換えようとしている恐ろしい状況で、しかも実用化が近いです。
もし、非生産的なプロセスが無くなったとき、それをミッションとしていたエンジニアはどうなってしまうのでしょう。これはIT業界ならずとも、アウトソーシングの源である派遣ビジネス全体にも衝撃的な事実だと思います。
追記
RPA導入の今後が楽観的に書かれている記事です。
51の事例から見えるRPAの実像とは?|IT Leaders
正社員は守られるかもしれませんが、これでは非正規社員やアウトソーシングは終了になるでしょうね・・。
現在、具体的なRPAが適用できる仕事(削減できる工数)は以下にて解説。
なまなましい・・。
もっと知りたい方はこちらの本を紹介します
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≪目次より≫
第1章 RPAの本質
~なぜRPAが求められているのか?
1-1 人間とロボットが共に生きる時代に
1-2 働き方改革の大本命
1-3 採用企業は急増し数百社に
1-4 経営にすぐ効く「即効薬」
第2章 進め方と成功のポイント
~RPAを導入する際の注意点と対応策は?
2-1 考えるより触れ
2-2 業務部門とIT部門がタッグを組め
2-3 運用ルール・体制を考え抜け
2-4 現場を巻き込め
2-5 最適なツールを選べ
第3章 先進8社の取り組み
~各社の導入の狙いとその効果は?
3-1 大和ハウス工業
急成長を裏で支える働き方改革、
グループ各社への「ロボット派遣」も視野に
3-2 農林中央金庫
業務部門主導でロボットを開発・導入、
有価証券の時価登録業務に適用
3-3 ブリヂストン中国
凄まじいスピード感の競争に勝ち残るため、
人海戦術を脱しロボットとの共同作業へ
3-4 帝人フロンティア
BPRとRPAを並行で推進、
OCRロボによる自動化で業務を86%削減
3-5アサツー ディ・ケイ
間接業務をロボットに委ね営業は本業に専念、
計画中の新ERPシステムにも組み込む
3-6 テレビ朝日
夏祭りイベントのチケット販売管理に応用、
入力業務から解放され分析・対策を「短サイクル化」
3-7 NECマネジメントパートナー
ロボット100体稼働で数万時間削減へ、
グループの業務改革推進プロジェクトを牽引
3-8 インテージホールディングス
グループ戦略のデジタル基盤としてRPAを採用、
成長事業に適用し業務の大幅な効率化を実証
第4章 RPAの将来像
~ロボットはどのように進化していくのか?
そして人間は…
追記
続編です。