orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

今から10年後、ITの現場はどうなってると思う?

 

伝承できるか、って話でね。

もうすぐ50代が見えてくる私にとって、社会でももう上を見るより下を見るほうが人の数は多いわけ。一生現役だ~プレーヤーだ~と、若手ぶるのも限度はあって、仮定としたら10年後、私の世代が抜け始めた後も社会は継続していかなければならない。

今の世代たちも10の年齢を重ねるわけで、その間には立派になってくれるんだろうとは思っているけど、何しろ伝承はしていかないとマズいようなポイントはいくつかあるように思う。単純に抜けただけでは、きっと困るのは下の世代で、そして社会全体が右往左往する原因となってしまう。

だって、10年後はもっとシステム依存が深まっていると思う。管制システムが止まると飛行機が飛べないように、色んなことがシステム前提となっている。ということは、重要なシステムが増殖していて、そいつらの面倒を若い世代が切り盛りしなきゃいけないということだ。

今から少し遡る5年前くらいに、DevOpsという、「ちゃちゃっと開発してすぐ本番で動かせるし、やばかったら戻せる」みたいな基盤のあり方が結構な支持を受けた。で、今どうなってるかというと、DevOpsを採用したサービスももちろんあるのだが、大半の、99%のと言っていいぐらいのシステムが、昔ながらのシステムだ。仮想サーバーを立ててミドルウェアをインストールして・・という形の。

私はクラウドの仕事ばかりずっと受けて来たけど、二極化すると思ってた。DevOps型のいわゆるk8s的な話と、旧来のモノリシックなシステム。そしたら、なんともモノリシックな方向にここ最近急激に進み始めた。クラウド化!と言うから何かと思っていたら、単にオンプレミスをそのまま持っていくだけ、いわゆるリフトするだけのパターンが大量発生している。

まあこれは、今の現役のシステムをいきなりDevOpsの形に持っていくのは、コストもかかり過ぎるわ、前例も時間もなくリスクが大きいわで、まずは時間稼ぎでクラウドに持っていくだけって話なんだろう。

さて、その次にじゃあ、シフトと言われるDevOpsへの転換、できるのかと言ったら私は懐疑的だ。だって、基幹システムをDevOpsにしたところで機能的には何も変わらないんだもの。そしてそこまで改修しない。フィットしないから、安定する今までの仕組みを使うんじゃないかな。

どんどん新しい技術は出てくるけど、どうにもこうにも求められる技術は基本・基礎に準じた部分ばかり。でも、応用となる新技術はどんどん目まぐるしく変わって、これ、応用の変化に飛びつきまわっている人は、基本・基礎の能力がつかないのかもしれない。

そうやって考えると、何だか私はオンプレからIaaSへの転換が起こって十年前ぐらいからクラウドの世界に飛び込んだけど、実はそこからほとんど基本・基礎は変わっていなくて、応用だけが積み重なっただけなんじゃないか、と思うことがある。

応用のバラエティーの多さに皆圧倒され、たくさん勉強したと思うのだけど、その下にある基本・基礎が何も変わってない。だからこそ、目まぐるしくクラウドの機能は追加されていったけれど、私自身は何も困っていない。全部覚えることなんてする必要も無く、使いたいときに使いたい機能を探して、ふんふんこうするのね、と使えばいいだけである。それを、若手は「なぜそんなにすぐできるのか」みたいな目で見る。それは・・基本・基礎の力だよ・・。

ここから10年、きっとできるのは、目新しい機能の攻略じゃなく、基本や基礎自体を伝承していくこと。どんなものが出て来たって、すぐ習得できる基盤。そんなことを考えている。

きっとミルフィーユみたいに、一番下にある基本・基礎の上に応用が何枚も積み重なって、下の層が見えにくくなっているということだよね。伝えなきゃ。10年後に、あの時思ったことは正しかったな、と言えるために。