orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

システム構築で感じる「最後の一磨き」

 

コロナ禍が一旦終了したからかどうかわからないが、今、たくさんのシステム構築案件を抱えて忙しくなっている。マルチタスクの連続で、一つ一つの仕事について達成感がないながらも全て前に進めることができている。

そろそろ最終段階、のような案件もある。最終的に本番リリースをするに当たって、いろいろ見直していると、気になるところがいくつも出てくる。

本番リリースしてしまった後は修正どころか、環境にログインすることすら怖いので、何か修正するなら今の内である。ここも、あそこも気になる、なんて確認・修正しているうちに一日が終わっていく。

気付いてみるとかなりの箇所の修正をしているが、どうにも、この最終段階のこのプロセスというのは、どんな世界でも重要なんじゃないか、と思う。

ゼロの段階から、設計して実装して、ほぼ9割は間違いないところまで来ていながら、10割、100点満点に近づくためには結構な努力やひらめきが必要になる。これは思い返せば、中学高校の定期テストで、80点を取るまでの努力より90点、100点を取る努力のほうが相当大変だったことと同じなのかもしれない。

一方で、顧客満足を考えると、80点と90点と100点では、全然反応が変わってくる。きっと多くの顧客は80点で合格点と考えてくれるだろうが、90点、100点となるに従い、感謝が生まれ、そして最後は感動まで届く。システム構築のやりがいはそこにあると思う。顧客の想像を超える。感動まで到達できれば、たくさんの人がやってよかったと思う。これまでそんなプロジェクトも何度か経験している。感動まで行きついた顧客は、決して離れない。

この最後の確認のプロセス、残念ながら手順書化するのは相当難しい。システムによって実装はいろいろで、確認内容も大きく変わる。自分が本番運用することを想像し、どこがどうなっていれば、運用者が喜ぶか。ユーザーが喜ぶか。今だけしかできないことがあるならば、今、一生懸命頭をひねらないといけないが、「頭をひねろう」と手順書に書くわけにもいかない。言語化するのは難しい。

最終段階で手を加える部分は、ほんのちょっと、の部分が多く、かゆいところに手が届く、という表現が最もふさわしい。過去いくつものシステムの本番運用をしていて、ここが、こうなっていればもっと楽なのに・・を煮詰めた部分。本日は、この部分をまさに今手掛けていているが、80点が90点、100点となっていくシステムの姿を見て、むしろアートすら感じる。

よく、芸能の場でも、本番のステージの前に大御所がやってきて、演者の最終チェックをするような場面を見る。あの作業もきっと、同じことをやっているのだろうな。大きく変えるわけでもないのに、一度だけ指導を受けるだけで本番で大きく変わるということがある。これはどの世界でも起こりえる。

最後の一磨き。どんな技術書にも載っていないが、そういう概念があること自体はおぼえておいていいのではないだろうか。