神戸教師いじめの件を理解ができない方へ
神戸教師いじめの件、事件の内容を知れば知るほど理解できないと思われている方が非常に多いのではないでしょうか。説明を聞いてもなぜこんなことが起こるのかわからない。どんな心情でそうなってしまうのか。
神戸市の公立小学校の4人の教諭が同僚に悪質ないじめを繰り返していた問題で、加害者側の教諭は学校の聞き取りに対し「そこまで嫌がっているとは思わなかった」などと話していることが分かりました。
(中略)
加害者の教諭から聞き取りを行ったところ、3人の男性教諭はいじめを認め、このうちの1人は「悪ふざけであり、そこまで嫌がっているとは思っていなかった」と話したということです。
一方、女性教諭は「一定の了解のもとの行為という認識で、つらい思いをしていたことは分からなかった」などと主張したということです。
もし、理解ができないと、このいじめる側の教師たちが異常だったのだ。神戸市のこの小学校だけが異常な文化だったのだ。そんな評価がされて事件は風化していきます。
しかし、私は、この事件の構造と同じ話を聞いたことがあるのです。
この事件は、異常の中で起こった事件では、ない。
ぜひ、ぜひ読んでほしい
2017年末に、少年ジャンプ+で無償公開されその際に話題になったマンガがあります。梶川岳氏の「ロストサマーメモリー」です。読みやすいのでぜひ、読んでいただきたいのです。今回の神戸教師いじめ事件と全く同じ構造であるように感じます。
ちょうど私がこのブログを始めたばかりのときに話題となったためとても記憶に残っていました。まさか現実に同じ構造で問題が起こるとは思っていませんでした。限りなくリアルだということが言えると思います。
誰にでも起こること
このマンガは「夏の川辺で遊ぶ少年少女たち。彼らの輝く青春模様が鮮烈に描き出される——。」という説明書きがあり、青春ものとして読者に読ませようとします。しかし読み進めるうちに、これは決してそのようなものではなく、人間に巣食う悪魔のような心理行動を的確に描写したということがわかってきます。
一度読んでもわからない方は、二度、三度と繰り返し読んでください。そしてカラーの表紙が何を意味しているか再度考えてみてください。
それでも難しい方に、過去私が要約した文がありますので掲載しておきます。
※でもこれを見る前に、できれば気が付いてほしい。
現実はもっと非情で、このマンガは復讐を遂げて完結しますが、神戸の場合はマスコミに動画が流出するまで誰も罪の意識なくいじめを続けていたということになります。
誰も罪の意識がない。これが意味するところは、いじめている側の誰もこれを異常だと思っていないということです。日常の中に溶け込むからそれを管理する校長も異常だと気が付かない。そうやって、いじめが起こっているという冷酷な現実です。
人間は、小数の人々をさげすむことで、自分の優位性を確認する性質がある。やっていることは「いじめ」なのだが、社会の中の暗黙ルールに落とし込むことでそれは「日常」と化し日常であるからこそ一般の人々もそれが当たり前と信じ込み、多数側に罪の意識なく参加してしまう。
今回の神戸市教師いじめの件、中心である教師たちを裁いて終わりになるとは思いますが、もっと大事なことがあります。もっと危険なのは、中心人物ではなくその周囲の人物が罪の意識なくいじめに日常の一部として加担してしまうそのメカニズムです。
ニュースを見ていると、それと同じメカニズムで、誰かが炎上させられていたり、国家から圧力を受けていたりと言うように取れることがあります。
人間は多数側に属したいという普遍的な欲求があって、それを媒介にいじめに多くの人が無意識に参加してしまうことを知っていただきたいのです。
登場人物が異常なのだ、で終わったらそれで思考はおしまいです。またどこかで同じことが起こってしまう。
ぜひ、このロストサマーメモリーが多くの人に読まれ、いじめの本質について理解が深まることを期待します。理解できた方は、ぜひ多くの人に伝えてあげてください。
理解が進むことがいじめ防止のためにとても重要です。