クックパッド
考えさせられた記事です。
料理レシピサービス大手のクックパッドの2019年12月期第2四半期(1~6月)業績は、売上高に当たる売上収益が57億8000万円と、前年同期比で2.6%のマイナスとなった。営業利益は4億5600万円となり、前年同期比71.2%のマイナス。国内の平均月間利用者数は5483万人と発表しているが、2016年(第4四半期)の6414万人と比べると1000万人以上減っており、苦しい状況が続いている。
レシピ動画サービス「デリッシュキッチン」「クラシル」などといった競合サービスも台頭するなか、ユーザーは現在のクックパッドについてどのように捉えているのだろうか。同サービスの愛好者、過去の利用者に話を聞いた。
古参のWebサービスで過去急成長したものの、最近伸び無くなったりもしくは下降線をたどっているというのは、いくつか心当たりがあります。
その中でもクックパッドというのはここ数年相当にIT業界に対して技術力をアピールしていて、ほう、そんなに技術力がすごいのかと思って過ごしていたのですが、経営成績にはリンクできていないように見えます。
過去記事をたどります。
ソーシャルゲームブームを皮切りにしてエンジニア不足が叫ばれるなか、主婦向けのレシピサイトという一見エンジニアからほど遠いWebサービスに、なぜ一流のエンジニアが魅力を感じて次々と集まってくるのか。その秘訣とエンジニアのスキルセットについて、クックパッド技術部長の小川伸一郎氏に伺った。
「これからの新卒エンジニア育成のあり方」を考えるイベント、「新卒エンジニア育成カイギ」が2016年12月15日に行われました。
フロムスクラッチ 請井氏に続いて、日本最大のレシピサービスを運営するクックパッド (https://cookpad.com/) よりインフラストラクチャー部 部長の星氏が登壇されました!
『理想のエンジニア像』というテーマの基、クックパッドCTO 橋本健太さんにお話を伺った、インタビュー第1弾。現在、60人以上のエンジニアを抱えるクックパッドでは、数年前から「エンジニアのあるべき姿」を明文化して6つの指針を示してきたという。
まだまだありますが割愛します。
何しろ、自社サービスを収入源にしていて、それを自社のITエンジニアで内製している様はアメリカ的、シリコンバレー的でした。
上記記事はたぶん本当なのだと思います。
これだけのことができているはずですから、社内はイノベーションに溢れ、どんどん問題は取り除きユーザーは熱狂する、はずだと思うのですがそうはなっていないと思います。冒頭記事の「クックパッド離れ」は明確に現実を否定していると思います。
ITエンジニアにとっての技術力とは何でしょうか。
考察
優れたWebサービスが成り立つためには以下が必要です。
①とても優れたアイデアを考える
②Webサービスとして実装する
③ユーザーに使ってもらう
3つ書きましたが、この3つ要素はバラバラです。
スーパーマンがいて、3つを全部ひとりでやっちまう人がいますが、その人はカリスマ創業者になっているはずです。でもユーザーが多くなると多分一人ではまわらなくなる。だからどんどん人が集まってきます。
そのうち創業者は手を動かさなくて、だんだん①だけになってきます。昔は任天堂の故岩田聡氏のように、手も動かす天才だったというタイプもいそうですが、晩年はもう組織運営に注力されたと思います。また、どんどんユーザーの前に出ていって、直接、語り掛ける。これは③です。
ITエンジニアとして技術力がすごい。これって下手を打つと、②の実装するところだけと勘違いしてしまう恐れがあります。AWSの利用方法、Rubyの使い方、それぞれは高度な知識を必要とします。しかし実装だけ上手になっても、実際何を作るか。これは①の分野です。
ITエンジニアに優れたアイデアを考えることが求められるのか。そしてそれを技術力と言うのかどうか。実はとても日本のIT業界が苦手とするところです。
日本のIT業界は、アウトソーシングを基本としています。アウトソーシングというのは、ユーザーの要件を定義して、そのまま実装するのが基本です。ユーザーの要件はIT業界の中にはないのです。下手に創造的な仕様を入れ込むと、要件通りじゃないじゃないか、というお叱りを受ける可能性だってあります。
保守も、ユーザー目線でどんどん改善していく(③)というよりは、仕様変更に合わせて変更を実装していくという側面が強くなっていきます。
ITエンジニアにおいて技術力に自信がある。そしてそれに見合った評価がない。収入がない。シリコンバレーでは年収一千万が技術者のスタートなのにおかしい。これって、話が大きく抜けていると思うのです。
アメリカでいう技術力は、①②③全てを兼ね備えてないと、許してくれないのではないかと。
Webサービスの企画を考える人がいて、それを実装する人がいて保守する人がいて、そして広告宣伝している人がいる。それぞれバラバラだと、どんどん年月が経つたびにちぐはぐになっていくのではないかと思うのです。
ですから、今どきのWebサービスにおけるITエンジニアとは、もっとアイデアを求められ、ユーザーエクスペリエンス(UX)まで求められる、広範な領域を求められるのではないかと。技術力、と言ったときに技術ブログで証明するのはもう古いのではないかと。
もちろん、SIerなら②の実装技術だけでいいのですが、先ほどの富士通の記事で、IT企業からDX企業に変わる、なんて言う話も聞いてこれは実装だけやっていたら多分にアウトソースされる側もジリ貧になるなと思った次第です。
つまりはDX
Webサービスを扱ってます、技術者がいます、だからウチはDXなんて関係ないです、っていう話じゃないんです。
逆に旧来のITのやり方に慣れ親しんでいる企業は、むしろDXが一番やりにくいのです。だって、旧来の実装技術のことだけを技術力だと思い込んでいるから。
アイデア→実装→ユーザーに使ってもらう、ということをストレートに考える思考が必要でそのためのツールがデジタルです。だから狭い意味での技術力があるのはいいことなんですが、そこに閉じこもっていたら話が進まないのがDXです。
これまでのITエンジニアが、実装の内容までアイデアだししようとすると「ダサイ」なんて企画の人に言われる、みたいな変なマウントがあるのはわかっていますけど、縦割りの考え方を打破していかないとほんと、技術力を誇ってきた会社ほどまずいと思いますよ。
まだクックパッドや富士通は利益が出ているから、マインドチェンジでどうにかなるかもしれないけれど、もっと時間がないところもちらほら出てきていて気になっています。