orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

なぜNotes/Dominoは廃れたか

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Lotus Notes dictionary definition | Lotus Notes defined

 

Notes/Dominoを思い出す

Notes/Dominoと言えば2000年前後はグループウェアの最高峰でした。

そもそも開発元のLotus Devlopment社はLotus 1-2-3をMS-DOS時代に開発して名を馳せたのですが、Windows 95後にMicrosoft Excelに表計算の代表の座を追われました。1995年のIBM買収後もLotus 1-2-3はWindows 95/98などで細々とリリースしたのですが振るわず、2013年に開発を終了したそうです。

さて、IBMが欲しかったのは1-2-3ではなくNotes/Dominoのほうでした。Notesはクライアント、Dominoはサーバーでしたが、いわゆるクラサバと言われるアーキテクチャーの代表格のソフトウェアと記憶しています。

当時の情シスはNotesクライアントを個人PCにインストールし、Dominoサーバーへ接続し社内のNotesデータベースを片っ端から登録すること、そして個人メールボックスが見られるようにすることが重要な仕事でした。ノーツデータベースは今でもおぼえていますがとても設計しやすく、VBライクなノーツスクリプトで結構いろんな演出ができたのを覚えています。結局のところ、誰も使わない過疎データベースが乱立しナレッジベース戦略が混沌とするところまでもお約束です。当時はGoogleなどのWebベースよりノーツの社内情報のほうが充実していた牧歌的な時代です。

クライアントにサーバー上のデータベースのレプリカ(複製)を作る機能もあって、外出先にデータベースの情報を持っていけるのも魅力でしたね。

Notes/Dominoが廃れたのは完全にWEB化の流れです。DominoもWebインターフェースを必死に実装しました。Notesワークスペースというデータベースアイコンを並べるトップ画面すらWeb化しました。NotesデータベースをWebブラウザで開けるようにもしました。でも、結局うまくいきませんでした。慣れ親しんだNotesクライアントより明らかに当時のWebブラウザは貧しい表現力でした。ユーザーエクスペリエンスを犠牲にしてWeb化しても、ユーザー側に何のメリットも無かったのでした。

また、情シスとしても、Notesクライアントをインストールしたり世話したりする手間が省かれる分、Web化は画期的だったのですが、Webに特化したサイボウズが当時出てきてNotes/Dominoのシェアを脅かし始めました。しかも、Dominoのインストールや設定、Notesデータベースの扱いと比べると、サイボウズはとてもインストールが簡単で使い勝手も心地よいものでした。大体このあたりで勝負が決まってNotes/Dominoはグループウェア界の草刈り場になっていったのでした。

 

手放すときが来た

そして、今年、IBMはNotes/Dominoを手放すときが来たと判断しました。

 

www.itmedia.co.jp

米IBMは12月6日(現地時間)、Notes、Dominoを含むエンタープライズ向けソフトをインドのIT企業HCL Technologiesに18億ドルで売却すると発表した。規制当局の認可が得られれば、2019年中頃に売却は完了する。

 

この前のRed Hat社の買収が340億ドルと言われていますから、全然埋め合わせにはならないのですが、歴史を知る私としてはちょっと感傷的です。

 

あと、さらっと重要なことも書いてあります。

 

NotesとDomino以外に売却される製品は、Appscan、BigFix、Unica、Commerce、Portal、Connections。

 

なんだか多いですね。特にBigFixやCommerceという製品はたまに耳にしていたので驚きです。やることがいちいち大胆だと思います。

WebSphere / Db2 / MQ / SPSSあたりの主力製品が含まれていなくてほっとしたかも。

 

ナレッジマネジメントは夢の址

ナレッジマネジメントという言葉がすごくはやったんです、Notes/Dominoの全盛時代。結局は2018年になってもナレッジがマネジメントされているとは思われず、ファイルサーバーに保管、ぐらいが関の山であとはググれということになるのではないかと思います。

これは、IT業界の人々がものぐさということではなく、技術の移り変わりが速すぎて詳しくナレッジを書きなぐっても、すぐ陳腐化して使えなくなるということの裏返しです。もう知識をため込むだけに時間を使うのに辟易してしまったと思います。それよりネットに次々出てくる情報をキャッチしたほうが良い、そういう流れです。

また、グループウェアとしての機能は、Googleカレンダーなどのクラウド型スケジューラーや、Slackなどのチャットソフト、BackLogなどの課題管理ソフトが個別に成長しました。ナレッジはマネジメントするものではなく、ソフトウェアを使えば使うほど自然とデータが溜まっていき整理されていくというのが、昨今のクラウド的なナレッジの使われ方だと思います。

Lotus 1-2-3なり、Notes/Dominoが見せてくれたものは確かに近未来で、私たちはその向こうを生きているんだなあと、やっぱり少し感傷的になった金曜の夜です。

 

追記

感傷ついでももう1記事書きました。

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