orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「なんでやねん!」愛があれば大丈夫、ではない

 

キングオブコント2023を見ていて思ったんだけども。優勝したのはサルゴリラという40代同士のコンビ。ああいう賞レースって若手のためのものだと思ったけど最近はベテランのほうが目立つね。なんとなく40代って相対的に人口が多くて、就職氷河期どまんなかで機会に恵まれず優秀なのに不遇、みたいな人たちが大量にいるイメージ。今は敗者復活戦が粛々と行われているのかもしれない。その層と戦わなきゃいけない若手は大変だと思うけど、まあ現象としてはそういうことが起きている。

お笑いの質を見ていて思ったんだけど、ああいうボケとツッコミ、が基盤にあるお笑いって、何かとぼけたことをしたときに対して、大声で感情的に指摘するサイクルが連続している。あの感じって、40代以上はネイティブなコミュニケーションだと思う。昔の部活動にしたって、めちゃくちゃ怒られたもん。先輩にも先生にも。いわゆる「体育会系」って言葉がまだ現役だったころだ。しかし今では、パワハラ扱いされかねないよね。会社にいたって、部下がとぼけたことをしても、上司が感情を表したり大声を出そうものなら、ハラスメント相談窓口へのルートが開かれるだけだ。

40代は「途中から変わった」ことを認識して適応したのだけど、30代以下はちょっと事情が違う。ああいうお笑いのコミュニケーションは、お笑いのものまね、であって通常のコミュニケーション中には現れない情緒行動なのである。これは結構、多くの人が理解しなければいけない。

この辺りの理解をするには、あの「ぺこぱ」に代表される傷つけない笑いの登場を思い出さなければいけない。時代の変化を読み取ったから笑いとして昇華されたけれど、結局のところあの40代以上で構成される審査員には変化球でありど直球ではない。だから、最近は直球が求められ今回のキングオブコントでは直球派が決勝に進んだものの、よく見ていると若手は大先輩の「ものまね」であったのではないかと思っている。彼らは間近には多分、ボケとツッコミは見ておらず芸の中の世界なので、いきなり「おしり」が出てきたり「ナイフ」が出てきたりするのではないか、と思っている。

落語のおしゃべりが、もはや今の日本人のコミュニケーションを表していないように、漫才やコントも基盤自体が現在のコミュニケーションとは乖離していて、どこかで一度整理される時期が現れると思う。私が40代でネイティブだからと上から評しているのではなく、これはもうしょうがないんじゃないか。だからといって今のコミュニケーションが、全近代的な、「じゃかあしいだまっとれ!」みたいな発言が成立するとは思えないからだ。

あのツッコミが成立するのは「愛があるから」みたいな前提が存在していて、ツッコミ芸人がやたら人気があるのはその要素ありきだと思う。しかし、もうそろそろそういった層は高齢化しているように感じられ、あと10年くらいしたら居なくなるんじゃないかな、なんて思っている。

なぜなら、「愛があれば大丈夫」だと思って熱烈指導して、パワハラ認定されてイタい目に会う人が大量に発生していてもう周知の事実となっているから。愛があろうと無かろうと、言っちゃだめ、やっちゃだめ、なのである。家の中でもね。そんなことをやるとモラハラが登場する。

お笑いを見ていてそんなことを思ったのは初めてだから書いたけど、やっぱり40代が優勝しちゃうのはそういうことだと思ってる。

 

##あと、審査員は全員オッサンで、若い女の子を聴衆に敷き詰めて、出場者もほとんど男性で、そして40代が優勝するってのが、社会の縮図か、とも思ったけれど。