orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

複雑さを減らすことが何よりお金を生むのに

 

会社勤めを長くしているからわかるのだけど、どうにも非効率な現場というのは、人手が余計にかかる。目的は単純なのに、達成するためのプロセスがやけに複雑で、しかもたくさんの別の作業と依存しあっていて、それらを人間が頭で管理しなければいけないから、それ専用の役割が必要になるくらいである。つまり、複雑であることで食べていく人が現れるということ。普通にお金がもったいない。複雑さを簡単さに変換するだけで浮くお金を別のことに振り向ければいいだけである。

それを、事もあろうにシステムでカバーしようとするから、余計人間がわけがわからなくなる。人間は時間とともに退職したり採用したりと入れ替わるが、その度にその複雑性を人間が読み取らないと現場で何が行われているかわからないので、新しいことを始めるときに特に困る。新しいことを始める際に複雑性を壊さないように配置しなければいけないので、制度設計がまた複雑になり、そこにまた人手がかかる。

ということが、既にわかりきっているのに、この国はまた同様な事業をやろうとしているようだ。

 

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政府・与党は、新たな少子化対策として、年金と医療、介護、雇用の各社会保険から拠出金を積み立て、非正規労働者らを対象とした子育て支援の給付制度を創設する方向で調整に入った。国民1人あたりの月額保険料を総額で数百円程度引き上げ、全世代で子育てを支える仕組みを構築する。

 

はっきり言わないと伝わらないと思うので言うが、結局この複雑性の放置についてのコストは、国民がまた支払わなければいけない。月数百円といういわゆるステルス増税、これは政府の長年のお得意技だが、これがまた行われようとしている。

もう、頭が悪い。少子化=人口が減るなので、月数百円x人口で考えると、総額はどんどんこれから減って行くのである。その原因が少子化なのに、なぜまたステルス増税を決行するのか。

必要なのは、複雑性を排除して、わけのわからん事業を一個一個潰して余ったお金を少子化対策に振り向けることではないのか。

なぜ、目的が生まれるたびに新しい事業を構築し、そのために必要なお金をステルス増税で賄おうとするのか、本当に理解ができない。

これでは、ブラック現場、ブラック国家である。長い歴史のなかで積み上げられた複雑性を見直し、事業を減らした上で目的は達成できるようにしなければいけない。

かつ、この複雑性のために、国民は「どうせ何か給付のような制度ができたって、いろいろな条件の結果自分には当てはまらないんだ」と初めから絶望する人がとても多い。どれだけ自治体の給付制度や補助金制度の数が多く、国民が理解できにくいにもかかわらずそれに対して毎年お金が使われているのか。みんなわかっているのに、わかっている先からこうした、無駄な事業が生み出されかつまたステルス増税しようとしているのが許せない。

ステルス増税の結果、手取りが大きく消耗するのは国民全体が理解しているのである。こうしたことに対してちゃんと声を上げていかないと、不器用で仕事が下手で、無駄なお金ばっかり使う政府に国民が潰されてしまうのがもはや自明なのである。