orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

内製化は、きっとうまくいかない

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最近はDXという言葉が独り歩きしてしまい、結局はどうすればいいのかと考えたあげく、内製化に舵を切る企業が多いと聞きます。

でも、この内製化、非常に危ない面を持っていると思っています。結局はユーザー企業が、SI部門を自前で持つということにほかならないからです。このSI部門、立ち上げるときにはだいたいが、大手のSIerが出身で、それまでの知識や経験をもとに組織を組み立てるのが通常です。

これ、はじまりはうまく行くんです。むしろ、一から作ったのでSIerよりもスマートに内製をスタートできる場所もあるぐらいです。そう、そこまではよい。問題は、この内製化部門が成長できるかどうか、です。

SIerはいつも競争にさらされていて、いつでも新しいトピックを主にアメリカから輸入し、常に最新化、モダナイズしないといけない強迫観念を持っています。

過去、外資のベンダーのイベントが都内ホテルであったときに、基調講演で発表される先進的な考え方に感動することも多かったのですが、遅れて半年から1年後ぐらいに内資のSIerのイベントに行くと、全く同じことを言っていて驚いたものです。

誰が考えているのかはわかりませんが、IT業界は同じ成長軸を共有していて、どのベンダーもそれに対して特色を作り出し個性を商品やサービスとして売り出してきます。その源流は明らかにアメリカで、それがローカライズされて日本に到着し、そして内資ベンダーにその実装方法も含めて流れが広がっていく、そんな風景を何年も私は見てきました。

だから、SIerが、そのOBからいくらネットで風評被害を受けようとも、SIer自体は経営主体でいつも大きく変わっていきます。年度初めの組織編成で、毎年のように人事異動が目まぐるしく行われ、全然落ち着かないのです。変化しつづけるということはそういうことなんだと思います。SIerは、いつでも変わり続けなければ、食べていけないのです。

クラウド、5G、AI、コンテナなどなど、食べる手段はころころ変わりますが、SIerはいつも同じ顔をしています。

ところで、内製化ですが、この内製化を操る中の人たちは大きな人事異動がありません。内製化部署はいつでも同じメンバー。だから、立ち上げたときは新鮮でも、だんだん作ったものが手元に溜まって行きます。最後はそれを保守し続けることが中心になってしまうので、結構レガシーな方法に最後は縛られることが多く、たくさんの内製化経験者が転職し、外に流出してしまいます。

そうすると、これまでの資産をどう面倒見るか、ということが問題になります。外から人を入れるにしても、また結局作り直すのであれば、これは負の資産を掃除するだけになりますから、もう内製化はこりごり、という経営者も増えてくるでしょう。

SIerが中身をどんどん入れ替えてモダナイズするように、内製化メンバーもそうならなければいけないのですが、日本は雇用について、そんなに気軽に転職できるようになっていません。

だから、やっぱり数年ごとにシステムを入れ替えて、アウトソーシングするSIerも入れ替える。そんな考え方が主流になっていきますし、実際一度内製化した会社も、そういう流れに変わっていくことも多いです。

外からSIer出身の人を採用するけれども、内製化のやりなおしではなく、その古いシステムを捨てる一方で、新しいシステムをSIerに発注する上でのコントローラーを期待されるのです。

もうそろそろ、DX=内製化、なんて議論は下火になってほしいなと、長年の日本企業の文化を見ていてそう思います。

ローコードなら内製化できるかも?。

そのローコード、永遠に仕様も要件も変わらず、そして動作基盤も安定し続けると本当に考えますか?。

雑多なローコードが現場にはびこったときに、誰が責任を取りますか?。

日本の雇用制度が今のままでは、内製化なんてやめた方が、私はいいと思います。