日本ではうまくいかない、企業・大学の連携
企業と大学の研究室が手を組んでもなかなかうまくいかないという話です。
記事を読む限り、うまくいっていないのがわかります。
うまくいかない理由
記事中には、
「今の大学が置かれている状況ではどんどん短期的な成果を求められるようになってきて、企業とやっていることが変わらなくなってきている。すると企業はわざわざ大学に頼む理由がなくなる。大学はもっと長期的に見て役に立つかもしれないということを研究しないといけないのではないか」と今の大学研究の問題点を明かした。
という問題点が披露されています。
が、私はこれは表層的な理由だと思います。
上手くいかない理由は「お金」だと思います。
先週、Interop Tokyoに行ったことを記事にしました。この中に大学研究室のブースがありました。東京大学、早稲田大学、筑波大学等々そうそうたる大学が並んでいたんですが、共通していたことがあります。あまりにも地味であることです。地味なのはなぜか。お金がないのです。今の研究室はお金がないです。お金がなくては研究も何もあったものではありません。
ですので、大学が企業に期待しているのは、「お金」なのです。データでも人材でもないのです。それを、「JAPAN OPEN SCIENCE SUMMIT 2018」で、私たちはお金がほしいんです、企業と一緒に働こうとかそんなことは一切必要ないんです、とは言えませんよね。ここは日本人の良くないところだと思います。ビジネスにおいて清貧というのはないと思います。あくまで投資対効果が重要だと思います。ジリ貧で人力でがんばったって奇跡などおきません。
アメリカの例を挙げましょう。
どうでしょうか。MITは企業とではなく投資家と結びついているのです。しかもMIT自身もこのファンドにお金を出しています。研究室にお金を分配するのではなく、ファンド化し、ビジネスセンスのある投資家がビジネスになりそうな研究にお金を振り向け、そして回収するというモデルになっています。
今の日本の連携方法では、企業の小さい予算を研究室に呼び込み、このルート経由で人材が流出するという、大学も損をし、企業も大した成果を出せないという図になってしまっています。
だいたいの「無駄な集まり」というのは、たいていお金が動いていません。会議体を思いかえしてみてください。無駄な会議って、お金が動いてないものばかりではありませんか?。「仲良くなる」が関の山なので、結果として大学から企業への人材流出だけが取りざたされる結果となってしまっていると思います。
結論
ということで、私は何かのユーザー会とか、協議会などには一切顔を出していないのですが上記が理由です。お金が動かないとものごとは何も動かないので、意味がありません。今回の企業・大学連携については、さっさとファンドを立ち上げて、ファンドから研究室へスタートアップ狙いでお金をつぎ込んだ方がよっぽど企業にとっても価値があると思います。
あの能力はあるのにお金がなさそうな研究室を何とかしたいし、投資先としての研究室が一般化することでスタートアップが活性化しつつ若い学生たちの活力にもなると思います。野武士のようなスタートアップが、どんどんビジネスルール(特に資本を持っている老舗企業)に最後は買いたたかれ、草刈り場のようになっているのは良くないと思います。
大学側も国から統廃合され研究費が削られジリ貧になるよりはメリットがあると思います。銀行も国債ばかり買ってないでスタートアップを狙ってほしいです、もともと銀行ってそういう機能じゃなかったんでしたっけ?。
と、思いました。