この仕事をしているとたくさんの資料を見かけるが、色のことがあまりにも軽視され過ぎていて悲しくなることがあるので書いておきたい。
パソコンでは多彩な色を出せることが当たり前と若手は思うだろうが、それはここ20年くらいの話である。本もフルカラーなのは昔から高くて、白黒だの3色刷りだのという時代も長かった。色を使わずして要点を伝える技術がまず、存在する。
白黒ですら伝えられるのだから、色を用いたらもっとわかりやすくなる、のであるが、色を逆に無秩序に使ったらそれはかえって状況を混乱させる。
いくつかの失敗パターンがある。
色を使った失敗例
種類ごとに色分けするも、種類が多すぎる
最も陥りやすいパターン。ネットワークに種類があって、種類ごとに色分けするも、例えば8種類あったりすると8色となる。
散りばめられた、もしくは盛り込まれた8色を人の目が見分けるのはかなり厳しい。
たとえば、4種類のネットワークを赤、もう4種類を黒、とすれば、前者と後者で機能が違うんだと言うことは伝わるだろう。かつ、同じ色の4種類の線の種類(実線、点線、太線などで)を分けたりすればそのほうが見分けやすくなるのでおすすめだ。
つまり、色分けするなら2色、多くても3色くらいにしないと余計な情報となってしまう。
色に意味がない
これは本当に見たことが合って、あるページでは赤文字で強調したかと思えば、あるページでは青文字。かと思えば同じページに赤や青の文字が踊り、いったい何なのかと考えてみたけど、「意味がない」が答えだった。こういう使い方は読み手を混乱させるだけだ。
中間色を使いすぎる
オレンジ、濃いオレンジ、薄いオレンジ、茶色、色味を揃えて作っている方は楽しいのかもしれないが、読む方はそれだけで情報となってしまう。
同じ色のトーンで統一すると資料はきれいだが、そこに意味がないくらいだったら、グラデーションにせず一色で統一するべきだ。
デザイン上使うとしても、薄青、青くらいの2段階がお勧めである。
色を使う時のおすすめ
まず色を使わないで資料を作る
色に頼らないで資料を作ってみよう。
作り終えた時、その状態で十分伝わるものを作る。
始めから色を使おうとするから、色の調整に時間を取られる。そんなことよりまず資料の中身を作り上げよう。
昔は白黒が当たり前だったんだから、それでも伝わると考えるべき。
1色を強調色と決め、資料を強調する
基本的には赤を使ったほうがいい。赤で人が注目するのはもはや生理的な現象で疑うべくもない。ただ、テクニックとして赤以外を使って資料を引き立たせる手法もある。
とにかく1色を選んでそれで白黒の資料を強調すると、一段わかりやすくなる。
2色目を使う時の考え方
1色目と違う2色目を使う時は、意味をわけるべきだ。例えば自分の主観的な意見を書いたよ、とか、ここは別の観点で書いたよ、などなど。
1色目の方があくまでも主役で、補完的に使った方がいい。割合が同じだと、「どっちが強調なの?」とわからなくなるからだ。
3色以上を使う時
もっとたくさんの色を使って資料を華やかに見せたいとしても、上記2色を薄めた色を使うのがいい。この資料は2色の情報を際立たせるんだという意思を残した方がいい。
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以上を頭に入れて資料を作ると、色を効果的に使うことができる。
色を使うのが下手なら、まず白黒の資料を作れるようになることをお勧めする。白黒で作れないのにカラーが使えるわけがない、とも思っているぐらいだ。