orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

マイクロマネジメントをすっかりやめたこと

 

他人の能力を向上させるには、2つの関わり方がある。

①事細かに指示を出し、全てを教え込んで成長させるパターン

②大枠を提示し、目的を伝え、後は疑問に答えつつ地力で成長させるパターン

正直言って②ができれば苦労はしない。後、無理だと思っていた。自分自身がどうやって学んだかよく覚えていないこともあって、知っていることを体系立てて教えないとどうにもならないな、と初めから諦めていた。

でも、①の方がよっぽどどうにもならないことがわかった。自分以外の誰かが学んでくれるかなんてコントロールできないからだ。教える方のモチベーションがいくら高くたって教わる方がどれだけの覚悟で学ぼうとしているかはあまりにも千差万別だった。というか、熱意のある人と会えなかった、というべきか。

貪欲で何でも吸収したいというタイプなら①のやり方、つまり事細かにインプットして言っても付いてきてくれるかもしれないが、ほとんどの人はそうではないので、すぐに飽和してしまう。飽和後は急にモチベーションが下がる。教え方が悪いという人まで現れる始末だ。

で、すっかり①はあきらめることにした。いわゆる性悪説的な方向へ。この人たちは仕事でお金をもらうために来ているだけで、技術に情熱など無い、かもしれない。もし必要とされれば精一杯伝えるがされない限りは何も与えない。こうなってほしい、という希望すら伝えず、ただただ役割を決め、私自身は規範になるように努めた。背中を見せて付いてきたい人だけ付いて来いという、何ともドライな指導法に徹した。

結果、人心が離れうまくいかなくなるかと思いきや、逆だった。悩んでた時期に「貪欲に何でも吸収したい」という人がたまたま同じ部署に入って来たのもラッキーだったのかもしれない。彼はどんどん私から情報を引き出して来ようとするので精一杯答えたが、その様子が組織に伝染したのか、私は情報のATMみたいになった。

これまでは、何をPUSHしないといけないか、PUSHしても効果がないみたいな気持ちだったのに、今やPULLされまくっているので何も企画しなくてもいい。

結果的には私からPUSHしなきゃと私が焦れば焦るほど、他人は受け身になっていく。もうお腹いっぱいです!となりやすい。お腹が空かないのに栄養満点の料理を持っていくことをやっていた。これは採らなければいけない栄養だから、とどんどん焦って配るも、何のために食べなければいけないのかを彼らはわかっていなかった。

彼等は、放置されたように感じたかもしれないが、ああ、何も欲しなければ何も与えられないんだというルールチェンジを感じ取ったのだろう。

というか、感じてくれるもんなだなというのは学びであった。

他人が、周りが、有識者からPULLしたり、自力で学ばないとどうにもならんと感じてくれれば、後は私がすることと言ったらビジネスを成長させることに集中すること。そして人がもっと必要な状況を作り出し、優秀な人をさらに連れてくることだ。

なんだかもう、①の発想が今となっては時間の無駄だったと思う。人間の能力を軽視し過ぎだ。人間には成長力が備わっている。成長力を引き出すことの方が、事細かな技術論を振りかざすより、何百倍も効率に関わる。だって、一人で成長するのだもの。その成長のために寄与する立場として、私が彼らのために存在すればいい。

そう考えると、未経験者とか経験者とかっていう区切り以上に大事なことがあって、現場に入ってから貪欲に情報をつかみ成長しようという意欲と、才覚がある人。そういう性質を誰かから指示されたり教育されたりするのではなく、当たり前のように行動できる人は、どんな現場に行ってもうまく行く能力を持ち合わせているのではないかな。