orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

なぜ、営業担当は価格を最後に顧客へ伝えるのか

 

中小企業の楽しいところって、営業活動、商談、設計・構築から運用に至るまでいろんなレイヤーの仕事がまぜこぜになって入ってくることなんですよね。大企業のセクショナリズムが強いところだとそうは行かず、話題が変わるたびに色んな担当者がやってくる。私は一人なのに・・ってぼやいてたユーザー側の担当者がいらっしゃるのを思い出しました。

そんな中でもあの営業活動ってのは、とても深い世界ですよね。よく思ったのが、値段を言わないこと。サービスの紹介を延々として、「いつこれ価格言うんだろう」と思うのですが、「中身はいいんで値段から入ってもらえます?」なんて言うと礼儀知らずです。営業側も資料を作って話をしてくれているので、口を挟むのは嫌な客リストの仲間入りです。売る方も客を選ぶ権利があるので、嫌な客になると値引きされなくなるデメリットがあります。買う方もお行儀よく、が鉄則です。良い客には営業はがんばりたくなるもんですよ。目先の数字より信頼の方が大事だってよくわかってる。

これまでも何度も何度も、そういった場面に立ち会っていますが絶対に価格は最後ですね。でも不思議じゃないですか?。買えないほど高い場合は、聴いてもムダ、だと思いますよね。そしたら営業もあんまり無駄な活動に時間を使うことなく撤退できるでしょうに。なぜ買わないかもしれない客に、こんなくどくど説明するんでしょうか。

それは、答えがあります。

話を聴いたら、めちゃくちゃ欲しくなるかもしれないから、です。

高かったら買わないというのは、「予想している価値に対して高い」からですよね。でも、トークが冴えに冴え、デモもすごく良くて、予想している価値が爆上がりしたらどうでしょうか。あ、それなら安いかも、と。

そう、価値なんて相対的なものなのです。価格に合わせにいくのではなく、価値を作りに行く。そのときに価格を始めに出すのはダメです。全部聴いて、価格聴いて高い、というのはある意味正しい取引です。営業もそれなら諦めるでしょう。ただ、たいていの場合顧客は先入観が強いです。こういうものだろう、だからこういう価格だろう、と。

したがって、顧客の顔色を見て説明するサービス内容をカスタマイズするのは、もったいないことをしているかもしれません。何が欲しいかなんて、客自身も分かっていないことが多いんですから。

軽自動車を買いに来た客にも、高い車を試乗させたりすると、「ん・・さすがにいいな・・無理して買っちゃうか・・」なんて芽が出てくるのが、あの営業という仕事の面白さ、奥深さだと思います。

テレビ通販をぼんやり見ていると思うんですよね。あれは営業活動の教科書だと。価格は最後まで言わないのはもちろん、商品の魅力を短時間で興奮気味に伝えてきますよね。そして値段を言いつつ、今だけの限定価格。おそらく最も効率の良い営業方法なんじゃないかな、と思って見ています。どこにも学ぶことはあるものです。

客の財布を見て値段を決め・・じゃないんです。価値を提示し最大限伝え、顧客が思う価値と等価の金額を当てて、最大の価格で商談を決める。ですから、営業部門の方が技術より、その価値を良く知っていたりします。技術者の私でも学ぶことは多いです。