orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

そんな機能いる?

 

クラウドの世界に長く浸っているが、いつの頃か機能を追加されていくのが宿命みたいになっていた。イベントの度にこの機能を追加します、ということが話題になるのは、スティーブジョブズの時代を引きずっているように思う。

機能追加とかじゃなくて、まずは安定してほしい。トラブルを限りなくゼロにして欲しい。そして、わかりやすいユーザーインターフェースにして欲しい。明朗会計にして欲しい。この話は恐らく語られない。システム構築の工程にてよく言われる非機能要件の話だ。機能そのものではない。だから、大きく発表はされず裏側で絶えず努力される領域の話である。

私は結構前からそんな態度だったので、いつもイベントの度に距離を置いて見ていた。でも世間は、また機能が追加された、さらに便利に、と言う。このやりとりは毎年同じ景色で、気づいて見れば無数の機能が既にクラウドには追加されている。

さて、たくさんの機能追加のために、古くからいてあまりキャッチアップしようとしない私が、時代遅れになってるかというと実はそうでもなく、その新規追加された機能が大して使われていないことを知っている。

ユーザーにとって実は大事なのは、OSが安定して動くことと。ストレージが便利に使えること。そしてCPUやメモリーが必要な時に必要な分だけ使うことができるということ。そんなシンプルな要求がほぼ9割だ。新機能を使うと便利に実装できるのなら検討はしてみるものの、古くからの手法で実装することが何の懸念も無ければそちらを使う。なぜならそれは、実績があるからだ。新しい手法を使ってみたらいろんな制約がありプロジェクトが大変なことになるのは数度経験がある。新しい手法を使って世間にドヤるのはいいが、目的は安定して動くことだ、であれば経験や実績を優先する。仕様がどんどん変わって対応しないといけなかったり、サービス終了になってしまうようならいくら革新的でも選べない。

 

クラウドと一言でいってもいろんな会社が運営していて、機能も無数にあり、全体を把握するのが難しい状況だ。そこでその機能を把握するために勉強して資格を取ったり、色んなセミナーに参加したりと、色んな動きがあるが、どうも相変わらず冷めている。今から機能は増やすより、重複した機能などを統合し交通整理をした方がいいんじゃないか、そろそろ、と。

機能が増えすぎてユーザー側が勉強するコストが増えている。機能が増えれば増えるほど運営側も運営コストが必要となり、結果的に機能の統廃合の可能性が増す。いたずらな機能追加はそろそろメリットがない。

一度リリースしたシステムは末永く使って生きたいのに、このサービスはいつまでしか使えません・移行してください、のようなイベントが起こってしまうのはとてもストレスだ。だからこそ、実装に当たっては始めからできるだけ様々なサービスは使わず、少なくとも必ずサポートするであろうOSやネットワーク、ストレージや周辺サービスだけを使って、実装することが今の私のベストプラクティスとなっている。

そういう枯れた実装であれば、他のクラウドサービスやオンプレミスにも戻すのは簡単だから、というのもある。

 

クラウドを使いこなすと言ったとき、未経験者は「機能をおぼえること」と考え、豊富な機能を一つ一つおぼえていくのかもしれない。しかし現場は「どう使うか」を優先するため、使う機能に詳しくなる以外はそこまで頓着していない。基本は、やはりインフラの知識を基礎から身に付けることの方が大事だと考えている。