orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「すごくできる人」たちの中に必要な「すごくいい人」の本質

 

カプコンがNHKの番組で特集されているのをたまたま見た。

 

 

NHKはカプコン、と特定の企業名を言ったらいけないのが余りにも不自然だったけど。もうあの微妙な規制は不要なんじゃないかな。

さて、ゲーム会社も、もはやIT企業と言っていいんじゃないか、というほど開発現場は普通に開発している。プロジェクトマネージャーやら試験やら品質管理部門やら、仕事である。それぞれの人たちが、人生をかけて仕事をしていて、だからこそ素晴らしいプロダクトが生まれるというごく普通の会社、だった。

その中でも、ディレクターという仕事があり、この役職が私は一番大事じゃないかなと感じた。

・品質が一定以上じゃないといけない責任を持つ品質管理部門トップ

・作品がユーザーにとって最もエキサイティングじゃないといけない責任を持つプロデューサー

・社内関係者を満足させないといけない開発者たち

それぞれ、一流の人たちの集まりだけれど、それぞれの主張は独立しているため、全体が調和するためには解きほぐして行かないと空中分解する。誰かの言うことばかり聴いていると別の誰かの願いがおざなりになる。それぞれ人生をかけているから、むしろ怒りや不満が爆発してしまう。

ディレクターという立ち位置は、その三面に対してサンドバックのようになっていて、「わかりました」を強制される。やります、できます、というのは時に胃がキリキリする思いだろう。その指示を持ち帰り部門に伝えると「なぜそんな指示をするんですか、指示そのものがおかしいでしょう」と反発されることもある。「向こうもそういう立場だし、必死なのもわかるので、ごめん、お願い」と頭を下げなければいけない。

その立ち位置、会社で働いているとよく見かける。誰かと誰かの間にはさまって、わざわざ怒られに行く役割。でもその役割、実は両方の意見を冷静かつ客観的に理解することができ、かつ相手が悪意がないことを前提によりよい調整方法を編み出していかなければいけない、相当に優れていないとできない立場だと、思う。

絵的には「すごくできる人」たちの中に、「すごくいい人」がいるように見えるのだけど、この人もすごくできるのである。ただ、自分の意見より各責任者の意見全てを尊重することだけが違う。

意見を述べず、人の意見を尊重しようとする姿勢に「いい人」の印象が残るのだけど、実はすごいことをしているというのが私の評価だ。サンドバックになっても折れないしなやかな心を持ち、かつ冷静で客観的で、寄り添う心を持ち・・。

自分の意志を持ち、曲げず、達成しようとする主人公的キャラクターにたくさんの人が憧れる中で、裏方に徹し全体がうまく行く調和を専門とする立場。だいたいうまく行かなくなる組織はこういった立場を軽視する。

ま、逆にそういう人ばかりになった組織は、どこに向かっていいかわからなくなるので、全てはバランスの中で動く。素晴らしい結果を出している組織は、たいてい、絶妙なバランスが成り立っているのである。