orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

デジタル化が進みすぎて店で物を買えないのかもしれない

 

今日はお休みで、スーツを買いに行った。人前に出る仕事があるのだが、持っていたスーツが古すぎた。コロナ禍でリモート中心になったことで買い替えを渋っていたことが影響している。世の中も変わりつつあるので新調せねばならない。

この店は間違いないだろう、という大きなスーツ屋に行った。広い。日本でも有数、じゃないだろうか。過去も購入したこともあった。

ところが、入ってみて気づいた。店員がいない。過去、店に一歩でも踏み込もうならすぐ店員が話しかけてきて、「今日は何がお入り用ですか?」「スーツですね、こちらです」「例えばこちらはいかがでしょうか」など、店員主導で話が進んだものだ。

今回、誰も、私に話しかけてくる人はいなかった。こちらから声をかけるべきなのだろうか。でも・・。「私はスーツが欲しいんです。いいスーツはありますか?。」って客が店員に申告するものなのだろうか。そこは大変もやもやする。スーツが要らないのにスーツ屋にわざわざ足を運ぶ客なんて、存在するのだろうか。スーツ屋に冷やかしの客は現れるのか。

店員も話しかければ勝ち確なのに、話しかけないどころか、いない。広大な店内、商品、そしてほとんどいない店員。そうなると客としての私は、たくさんの選択肢が多すぎて何も買えなくなる。どれがお店の一押しで、どれがこれからの秋冬に良くて、店が何を力を入れているか、が全く分からないまま商品を自分で選びなさいみたいな形になる。

とりあえずは、客に物を買わせようと言う意思がないな、と思って店を出た。すれ違った店員が「ありがとうございました~」と声をかけてきた。それって、何とも間抜けな話である。

しようがないので近所の別のスーツ屋の店舗に出向いてみた。こちらはショッピングモールの一角にある一店舗で店舗面積は先ほどの100分の1くらいしかない。ないけれど、スーツ屋ではあるから売ってくれるだろう、と思った。

しかし、小さい店舗であるにもかかわらず、やはり声をかけて来ない。そもそも客層的に自分が年上過ぎて買わない客見込みなのか。何しろ、先ほどの大店舗と同じく、店に踏み込んだら店員がすぐマークするような売り方は、もう流行らないのだな、そう感じた。

とりあえず、ラーメンとチャーハンと餃子を昼飯にして、腹だけを満たしてすごすごと家に帰った。

 

で、スーツ自体は買わなきゃいけなかったのでどうしたかと言うと、ECサイトで注文した。昔はスーツを買うとなるとサイズを事細かに測って購入したイメージだったが、今はそれが規格になっていてサイズを指定すればECサイトから買えるようになっている。

店での購入行動は完全にデジタル化されている。店に行こうなんて思わずに、ECサイトに注文すれば配送までしてくれる。店舗で購入行動をしなくたってオーダーすれば家の中で完結する。コロナ禍で各企業が努力した成果だ。このシステムを得ることができた半面、前述のような店舗での購入体験はきっと失われてしまったと思った。あれじゃもう、店舗は倉庫でしかない。直接売るモチベーションを失っている。客はECにいるのであり、直接訪れた客は相手にしなくなっている。感染対策のために話しかけるということが禁じられた数年間が人々に与えた影響は、計り知れないということである。

店舗はもう物を買う所では無くなっている。コロナ禍が終わったから昔に戻るのではない、もう戻れない。熱心に薦めてくれる店員は、呼び出せばやってくれるだろうが、標準サービスではなくオプションサービスになってしまった。

コロナ禍では失ったものばかりではなく得たものもあった。それを痛感したのが今回の買い物だった。店舗の買い物文化は様変わりし、そしてネットは相当に便利になっている。