orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

なぜフリーランスにならなかったのか

 

フリーランスという方と始めて会ったのは、もう15年くらい前か。私は大きなSIerの子請でSESの他社常駐。私の会社のメンバーの中に居たのがフリーランスの方。私の会社が直接そのフリーランスの方と契約したのではなく、私の会社のパートナー会社が契約し連れてきた、だから孫請の会社が直接契約したフリーランス、みたいな話だった。

ちなみに、こういった複雑な契約はいわゆる多重請負を疑われるので今はもうそんな複雑な仕組みは無理なんじゃないかと思う。最近はグレーゾーンすら嫌う。大きな企業は個人事業主との契約は禁止で、法人と契約するようにしているし、再委託の関係を嫌う。セキュリティー的にも責任者が不明になりやすく危ない。とは言え、色々くぐり抜けてなんとか契約しているみたいだけど。

会社は、信用力のある会社と取引しようとする。取引であるから、お金と、サービスやものを交換するのであるが、ここで失敗したくない。失敗したらお金が無くなる。だから、成功すると信じられる、というのが信用、である。個人事業主なんて、飛べば終わりだ。損が出ても変わりに支払ってくれる資産も限られる。法人は例え誰かがいなくなっても補充してくれるという了解があるので、基本は法人と契約したい。かつ法人の信用力、資産があるか、借金が少ないか、近年の決算、反社チェック、などを通じて取引をする。

法人同士だと、信用力があれば桁の違う仕事を受注できる。大きな売上を頂ける仕事というのは、それだけの価値を発注元に返さなければいけない。大抵は「ひとまず信用力のある法人が大きな仕事を受注し、そこからその資金を使って達成するための人を集める。仕事の量には増減があるので、1つの会社でたくさんの人を常に抱えるのは非効率だ。そこで、また色んな会社に声をかけて、一つの大きな仕事が達成されていく。

この中で、フリーランスの立場は、上流にしろ下流にしろ末端にならざるを得ない。全体の絵を書いて、その中で欠けたピースを埋めるために召喚される。そこがコネなのか、営業力なのかはともかく、全体の仕事に対してのイニシアティブは取れない。

私が子請でSESだったときに、いつも元請がイニシアティブを取っているのを見ながら、彼ら、もっといいやり方があるのに、もっと頭からやってみたいと思っていた欲求があった。その願望とフリーランスの立場が相容れなかったというのが、私がフリーランスを選ばなかった要因だ。

あの法人と法人の間の、一人の人間の給料ではどうしようもないような規模のお金がやり取りされているところを見たら、関わってみたいなと思ったから。そこは信用力のある会社の正社員の身分じゃないとどうしようもない。

後、起業するというのも違っていて、法人だからと言って信用が始めからあるわけじゃない。そこは、小さい仕事から積み重ねて信用力を勝ち取るしかない。フリーランスと全く同じである。私自体には信用はないので、会社の信用が大事だった。

そんなこんなで、まあ、普通に正社員やりながら過ごしているが、今後もフリーランスには行かないかな。個人でありながら莫大な信用力のあるインフルエンサーやタレントみたいな人たちもいるけど、ああは自分にはなれないから。

フリーランスは売上に相当する収入は、正社員より大きい場合もあるけど、やっていることの大きさで言えば法人の中で働くに越したことはないからね。関わっていることが大きくなれば収入は上がる。正社員のルールのほうが私にとってはフィットしている。