orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

マネジメントに現場知識は要らない

 

マネージャーは、人の管理を行う。各メンバーが適切なタスク量をこなしているか。メンバーのキャリアを把握し成長できるよう環境を整える。チームで悩みを抱えている人はいないか全体を俯瞰する。人あってこその会社だ。時には会社のお金・モノ・人(資産)を使い解決する。現場を動かすときは各リーダーと調整、相談し、混乱なきよう指示を出す。そして預かっている部門の収支が経営計画を最大限満たすように(時には超えるように)思索を巡らす。

リーダーは、チームメンバーの模範となり、率先して現場の仕事をこなしたり、メンバーのフォローを行う。異変に気が付き、さらに会社のリソースを使うような出来事な場合はすぐにマネージャーへ報告し、善後策を主体的に提案する。

よく議論されるマネージャーとリーダー、ざっくりこんな風ではないか。

20年前を思い出すと、IT業界にはマネージャーのキャリアパスが太くて、リーダー、いわゆる現場気質、技術気質で上に上がるキャリアパスは細かった。入社した時は必ず現場スタートで、現場で仕事ができた人が推挙されるがその先がマネージャーだった。

技術ができる人が、必ずしも人の管理が上手とは限らない。その逆も然り。そして両方できる器用な人もいる。

「この会社は技術がある人がマネージャーになっちゃうから、技術が残らない」って問題提起をした人の言葉を覚えている。確かに。

いつしかそれは社会課題として把握され、技術も大事と言う流れができた。今ではCTOのように、技術ができる人のキャリアパスだってしっかりできた。

 

さて、このマネージャーと言う役割。私は「仕事なんだから、マネージャーもリーダーも両方できるもん」と思っていたのだが違ったようだ。マネージャーの領分は、私は全くできないけれど、リーダーの方が全然向いているということが定まり、今ではマネージャーの役割についてはほとんど手を引いている。

今マネージャーの役割をやって頂いている方のことをよく観察しているが、まぁ、現場の仕事そのものには一切かかわらない。現場の仕事についてはWBSというスケジュール表だけで把握している。各タスクには色を付けず、誰がどれぐらいかかるか、だけしか頭に入れていないようだ。そしてその仕事を行う誰かがパンクしていないかどうかを注意深く見ているようである。一人一人の感情や、思いみたいなものについてはとても敏感で、聞き役に回ることができる良いマネージャーだな、と思った。

良いマネージャーと思っている部分は、私にできないことだと思う。上手な人の上手な様を見ているのはとても勉強になる。ああそうやればいいんだ、と。今私ができなくたって明日にはできるかもしれないのだから、できる人の手本は教材だ。

最もマネージャーとリーダーが違うところは、現場の仕事を絶対に手伝わないことだ。マネージャーは冒頭の通り、会社のリソースを調整し配分するのが重要だ。足りなければ外から持ってこないといけない。マネージャー自ら仕事を手伝うようでは誰がその先のことを考えるのか。マネージャーはあくまでも現場を統制するのが役割だ。

リーダーは自分で手を動かすのが最も効率がいいとわかっているので動かしがちになるが、マネージャーになるとそれが禁じ手になる。この境目を知れば知るほど、ああ、現場知識はなくてもマネージャーはできるんだということを思い知らされる。

この先、どこかで純粋な「マネージャー」というものをやってみたいものだな、と思うこともあるにはあるのだが、多分無理だな。技術の沼にこれだけどっぷりつかっていて、マネージャーに行くと言うのは、これはキャリアの積み上げ方としてはいい戦い方じゃない。それなら、もう迷わず先に進むだけだ。