orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

システムを運用するとは何か

 

もう随分長い間、システムを運用している。でも運用って言っても何をしているかほとんどの人が知らない。運は運ぶと言う言葉。用は用いると言う言葉。はて、これで一を聞いて十を知れと言っても無理だ。辞書的には「ものをうまく働かせ使うこと」らしいがこれはうまいことを言う。結局システムと言うものは、うまく働かせないと使えなくなると言うことである。

システム運用を軽んじる会社は、システム利用時に色々な問題に遭遇し公開する。ああ、こんなところを気を付けないとシステムは利用できなくなるんだ、と感心するかとは思うが、結構に痛い。たいていビジネスはシステムの上にいるからだ。ビジネスが止まると言うことはお金が止まると言うこと。システム運用とはビジネス運用でもある。それぐらいの緊張感を持っている人しか務まらないのがシステム運用だ。

ここ最近のデジタルブームでシステムの数も大いに増えたはずで、システム運用に携わる人も激増したに違いない。そしてシステム運用を軽んじて失敗した人の数も増え、随分運用の大事さ、が浸透してきたと思う。運用にお金をかけないといくらいいシステムを作っても後々大変に遭う、という人が増えて来たからこそ、システム運用の市場は拡大した。

システムが正常に動いている。ユーザーからすればそれだけなので、実際システム運用者は何もしていないんじゃないかと思われることもある。何もしていないのに毎月お金がもらえていいね、と。昔の方がそういうことを言う人は多かったな。今は、毎月何もトラブルがないと感謝されるようになった。みんな痛い目に遭ったんだね。そろそろ、システムが何の問題もなく動き続けることを、人々から感謝される時代になってきたのは喜ばしい。

 

さて、じゃあ具体的に何をやっているのか。これを語りだすとより専門的になるので、すこし抽象的な例え話をしていきたい。運用とは、システムに時間共に積もっていくゴミや汚れをきれいにしていく仕事だ。毎日、毎日点検し、何か昨日と変わったことがないかを見ていく。気分で点検箇所が変わったら見逃してしまうので、点検内容も決めておく。その中で課題が発見された場合はスケジュールを決め確実に対応していく。このように、問題が発生することを事前に予知し、そうならないようにきれいにしていく日々だ。

ところがシステムには、そういったお掃除とは背反する特徴がある。システム利用者側が、システムの改変や増築を望む。もっとこうしたい、ああしたい、ということを今のシステム運用を守りながら取り組まなければいけない。

ざっくり言えば、システム運用なんて何もしないのが一番楽だ。変化が無いのが安定運用のコツではある。しかしそうはいかない。システムを使うのは利用者なので、利用者の希望に沿うように、安全に変更計画を立て実行する。

そうやって、色んな危険を避けながら安定させたとて、いつか今度はハードウェアやソフトウェアが古くなる。古いと製造ベンダーがサポートしてくれなくなる。壊れても交換してくれなくなったり、脆弱性が放置されたりすれば、安定運用が吹っ飛んでしまう。

そうやって、いつも落ち着かないのがシステム運用の現場である。預かるシステムによって、見るべき場所や忙しい時期が前後するので、うまく調整しながら複数のシステムの運用に取り組んでいる。

全てをきちんと取り組んで、初めてシステムに何も起きなくなる。そんなに派手な仕事ではないが、社会に必ず必要とされる仕事として今後も利用され続ける、と信じて仕事に取り組んでいる。