orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

デジタルは、もう一周したのかもしれない

 

例えば、このブログというアプリケーションにしたって、スタート当時はすごく新しくて、世界に革命をもたらすサービスとしてもてはやされたものだ。HTMLを知らなくても記事を生み出せる。おかげでたくさんの記事がインターネットに生まれ、それらを検索することで、いろんな智にたどり着けると持てはやされたものだ。

しかし今や、Googleでテキスト検索すること自体がもはや古いと言われることもあり、ChatGPTに代表されるAIを利用した情報取得が昨今一般化し始めている。

インターネットで、ビジネスを起業しようとして、ベンチャー企業を起ち上げることは、とてもかっこよくて夢があって、数年前までは有象無象の事例があったものだ。2023年の新規上場した企業の一覧を見ても、何か有名なインターネットサービスを起ち上げた企業、という切り口は見当たらない。AI関連がちらほら、という具合である。

ここ数年の間は既存の老舗業種をベンチャー企業がSaaSでデジタル化する、のような切り口をDXと持ち上げられたものだ。しかし最近はむしろ老舗企業の方がDXの旗のもと自前で挑戦するようなやり方のほうが最近は一般的だ。そうすると、資本を持たないベンチャー企業は中々弱い。老舗企業は現金を貯めこんでいたから、勝負がついてしまった感すらある。

数年前のシリコンバレーのような、よくわからないデジタルサービスがお金を大量に集める時代は終わり、本当に使われるサービスであることが求められる。そうなると、デジタルが中心ではなく、業務が中心となる。デジタルを前提としても、何が実現されるのかの方が前面に来る。そうすると、いわゆるデジタル技術が前面に来るような世界については、AIを除いてはもうほとんど出尽くしてしまった感がある。何を出しても二番煎じ感が否めない。

クラウドの世界も、一時期は、イベントを行うたびに画期的な新機能が次々と発表され、人々が興奮していたものだ。今はもうそんな時期は過ぎた。使いやすい方向や、地道な性能アップは残されているものの、新機軸が提案されることは稀だし、されたとしても人々があまり関心を持たない。それより、値上げはないか、サービス終了はないか、みたいなことの方が今や大事だったりもする。

今頃デジタル業界に来た人たちは、なんとも古い体質に驚くかもしれない。新しいことにできるだけ手を下さず、これまで実績を積み上げて来た古いアーキテクチャーを、今後の新規案件でも使い続けるような姿を見て、失望するかもしれない。新しいことを身に着けようとしていたのに、古めかしい話に付き合わされるのか、と。

きっと、もう、出尽くしたのだ。

これからのデジタル業界は、いかに手離れ良く安定したプロダクトを再生産できるか、という話が主になるような気がしている。ほぼほぼ使い道はもう出尽くしたので、それらを楽に安く生み出せるか。

もし、新しいことをしたい、生み出したいと考えるなら、デジタル業界ではなく他の業界の方がそろそろいいかもしれないな、なんて思う。

そういう意味でも、私たちは時代の変わり目にいる。デジタル=新しい、先進的、という話自体がもう古くなっているのではないか。