orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT業界未経験者がいかに経験者になるかという観点

 

システムエンジニアがいかに未経験から経験者になるか、については様々な意見がある。以前のエントリーでは私が思う所を書いてみたが、これはモチベーションが高くて自分で自分をなんとかしたい人向けの話であった。

企業に所属して、未経験者を受け入れていると、この人たちどうするかい、という課題を突き付けられることがある。懇切丁寧に教えてやっと戦力になったかと思ったら転職されるみたいなことは日常茶飯事なので、私はもう直接手取り足取りの指導なんてことをするモチベーションは毛頭ない。たまに、有名企業が新人研修のコンテンツを外部公開し、自社の教育環境を誇っている記事を見かけるが、有名企業ぐらいたくさん毎年人を集めるならば、教育プロセスそのものを内製化するのはメリットがある。どうせ毎年やらねばならないのなら教材から、教育環境までそろえておけば使いまわしできるからである。しかし、自分の部下に一人、二人、と言うレベルなら、正直、そんなに作り込むだけ「ムダ」だ。なぜなら、作り込んでいる間自分の時間が潰れるからだ。一人育てるのに一人潰して、そして育った一人が転職して行くんじゃ、何のためにやったんだい、となる(なった)。

だから、ごく一般的な初歩的な教育プロセスを考えた場合、外部の教育ビジネスを行っている企業に会社がお金を支払って勉強させに行った方がいいんじゃないかと思っている。つまり、教育に関しては内製ではなくアウトソースするべきだ、ということだ。

ベテランは教育係をしない分本業に専念したほうが、会社のビジネスに寄与するのではないかと。それで出た利益は教育のアウトソースに投資する。

 

この教育ビジネスを行っている企業の方とお話したことがあるのだが、人気がある講座は断然、未経験者向けらしい。過去、スペシャリストレベルの講座を作ったけれど、受講者が少なくて取りやめたそうだ。受講者の母集団がまず少なくて市場が少ないということと、後はそんな講座を受けられるレベルの人は自分で教材にアクセスして自習してしまうとのこと。やはり必要なのは未経験者が経験者と呼べるまでのプロセスを支援すること。ここはどの企業でも同じ課題を持っているので、ビジネスが成立するというお話をされていた。

確かに、私が未経験者だった30年前と比べて、インターネットはあるし本もたくさんあるし、そしてたくさんの職種と選択肢があって未経験者は何から勉強すればいいか、指導者がいないと混乱してしまうかもしれない。いわゆるチュートリアルのようなコンテンツがIT業界には必要で、決定版のようなものがないので、ビジネスにすることは良いと思う。お金を払ったら確実に経験者にしてくれるのであれば、企業も喜んで投資するだろう。ITの経験者はどの会社でも欲しいからね。

 

この話からわかるように、未経験者がIT業界に入りたいとして、たくさん勉強して予備知識を付けてから転職活動をしようと言うのは合理的ではない。未経験者のまま入社すれば会社側が投資してくれるはずだ。もし20代で、ある程度学歴を持っているのであれば「ポテンシャル採用」と言って、新卒採用のような、「この人は学習させれば仕事ができるようになるだろう」という採用のされ方をする。特に少子化の影響でその考え方は強くなっている。また、学歴が無くても、数年のIT経験があれば教育プロセスへの投資が要らなくて即戦力扱いされるため、採用可能性は上がる。

一方で30代以上になると、ポテンシャル採用はほぼなくなり、経験者採用ばかりになると考えたほうがいい。今回述べたような未経験者から経験者になるプロセスは既に通過していて、その上に何か専門性を持っているような人しか転職市場では相手にされない。

そう考えると、20代の立ち回りが、IT業界で生きていくためには「最も重要」と言いきれてしまう。30代で業界に入り込めていれば、どこの会社でもだいたいやることは同じなので生きては行けると思う。30代以降は、「自分で専門性を身に付けて行くしかない」のである。