マネジメントの話。
明確に詳細に、手順レベルまで掘り下げて指示しないと、期待通りの仕事をしてくれない人がいる。
一方で、不明確なのに、意図を汲んでくれて、情報を集めながら期待以上の仕事をしてくれる人もいる。
この差を説明するのが、「曖昧さ耐性」だという記事を読んだ。とても興味深かった。
ビジネスリサーチラボ主催のセミナーより、曖昧な状況に対してどの程度寛容であるかを表す「曖昧さ耐性」をテーマに、ビジネスリサーチラボ 代表取締役の伊達洋駆氏、コンサルティングフェローの神谷俊氏が登壇した回の模様をお届けします。前半では「曖昧さ耐性」とは何か、その特性によってマネジメントの在り方はどう変わるのか、伊達氏より解説されました。
主張が構造化されていて、勉学としてとてもまとまっている。
その上で、「曖昧さ耐性が低い人」を高くする仕事については、私はさじを投げた。それより、スーパー曖昧さ耐性が強い人である私が、目の前の困難な仕事をたらふくこなした方が、生産的であるということが分かったからだ。私だけではなく、関係者も含めてそう考えた。
しかも、部下には、「曖昧さ耐性が高い人」をアサインされ、日に日に私と部下の生産量が膨張している。いらんことをすると足を取られるとはよく言ったもので、強い人が弱い人を引き上げるというのは、私は非効率な考え方だと思う。
まさに、引き上げていく行為は教育であり、マネジメントだ。マネジメントは、マネジメントに強い人物がやった方がいいと考える。少しずつ難易度を高くして、自信を持たせていく「ストレッチ」という考え方が披露されていたが、この調整、私がやったところ非常に難しかった。力加減が難しいし、私自身は常に曖昧な状況に置かれているので余裕もない。
そして、曖昧でない仕事を集めて、「曖昧さ耐性が低い人」をチームにしてお任せしたら、この記事の通り、うまく行き出したのである。
また、今後彼らをどう高めていくかについて、マネージャーを明確に付け、リードしてもらっている。マネージャーは本業務の専門家ではないが、技術的な教育については外部機関の研修を使うことで合意している。そう、この話に、誰も足を取られてはいけないのだ。
ここ最近は、IT業界でもポテンシャル採用は流行していて、未経験に近い若い世代を採用し教育することをどこの会社でもやって、そして苦労していると思う。今回紹介した記事も、どうすれば戦力にまで引き上げられるのかをいろんなところで苦心した結果、傾向を標準化した成果であろうと思う。
今回の理論は特に正しいと思う。ただ、技術のある人がこれらに手を出そうとすると、間違いなく手を取られ、本来の強み「曖昧な問題に答えを出すこと」に注力するエネルギーは明らかに減るよ、とは言いたい。
むしろ・・、若手に曖昧な仕事を振った挙句、曖昧な部分を自ら指導し、そして、明確な部分だけ若手がやる・・という悪循環にハマっていくことを予見しておく。
そうではないのである。それをやっても、いつまでもその図式は変わらない。
40代を超えると、マネージャーかスペシャリストか、進路に迫られるとはいうが、これこそ曖昧にせず、自分の意志として明確にすることをお勧めする。スペシャリストで行くなら、未熟者に手をかける時間は非効率になる。マネージャーで行くなら、自分で手を動かすのではなく未熟者を有識者にすべく、今回の記事のようなことを学び実践しなければいけない。
二つに一つ、なのである。