orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

若手に教えるとき、結果に差が付く二つの教え方

 

最近は、未経験者を相手にすることも多く、どう導くかについては考えさせられている。その経験を書こう。

 

TCP/IPについて教えたいとする。もちろん、若手はほとんど何もわかっていない。

2つの方法がある。

①じゃあ、4オクテットのIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ・・具体的に教えてあげよう。それが終わったらレイヤーの話をして、それからアプリケーション層、トランスポート層・・。

②どんな教材を読んで自習すればいいか教えてあげよう。また、何を勉強していけばいいか、概要を教えよう。

 

私も過去、①の形で懇切丁寧に授業したことがある。

どうなったか。若手は、身につかなかった。あんなにがんばったのに。

授業したところで、その場で理解してくれることは皆無だ。どうしても定着するためには、若手自身で教科書などを入手し自習し、問題集を解きながら定着させないといけない。

しかし、会社は学校じゃないから、定着確認のためのテストなどやらない。チェックをしないものだから、私はわかりやすい授業をしたつもりでも、全然若手の記憶には定着してなかった、みたいなことも多かった。これではしゃべるだけ損だ。

具体的な内容に踏み込んで教えること、もう辞めよう・・って思った。教える方の心が折れてしまう。

しかも、もう端的にTCP/IPとだけ言っても範囲が広範すぎる。授業形式でカバーするなら1年は普通にかかるボリュームだ。

会社で細部に渡って授業することが、無理そのものなのである。

指導役が、塾講師よろしく、熱血指導した時なんて目も当てられない。

「あのとき、説明したよね。」指導役は情熱をこめて部下に情報を流し込むのだけど、その場では部下自身から知識がこぼれてしまう。そして、他人の学習能力は、ひとそれぞれバラバラなので、同じ教え方をしても毎回結果が大きく変わってしまう恐ろしさがある。全員に懇切丁寧に、なんて指導をしてしまうと、とても生産性の低い教育になってしまう。

会社における社員教育は、懇切丁寧ではなく、総論を教えたうえで、各論は各自で勉強すること、が原則だと思う。

①の指導法は、現実的に無理なのだ。成功率の低い教育方法だと思う。張り切って始めてしまうときっと失敗する。全体を教えている途中で仕事に終われ、中途半端な状態で教えていたこと自体が自然消滅するのがオチである。

 

私のお勧めは②、つまり概要と勉強法を教えて、あとは若手の自主性に任せるというやり方だ。授業ではなく、ガイダンスだ。君たちは何を知る必要があるか、その近づき方を伝えるのみだ。身につけるのは本人だ、というスタンスだ。

もし、知るべき内容がより重要で、絶対に身につけてもらわないといけない場合、チェック方法が大事になる。指導役がおしゃべりして終わりとなってはいけない。部下の定着が全てなのだから、それは良くない。勉強しろ、だけではなく、勉強した結果の評価の場も設けることが前提となる。巷の資格試験も利用できるかもしれない。

一方で、若手の主体性がなく、何を言っても、ものごとが進まない場合がある。

そうなった場合にはまず、主体性自体を教えていかないといけない。

根本的な問題を抱えている場合は、どう教えたところで効果は薄い。教わる立場が主体性がないという時点で、そもそも教育すること自体を再考する必要すらあること。これを忘れては行けないと思う。