orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT業界で生き抜く人の特徴

 

ふと気づいたら、私は日々コンピューターに囲まれている。物理的にパソコンやスマートフォンだけでもたくさんあるが、仕事ではクラウドを扱っていて、多数のサーバーを受け持っている。毎日会話する人間より、コマンドを叩いているサーバーの数のほうが断然多い。

小学二年生のときに、親が気まぐれで買ってきたパソコンを手に入れたときから、きっと方向性は決まっていて、コンピューターのことが心底好きなんだと思う。そのころはコンピューターに触るのも大変で、大人になったらたくさんパソコンを触りたいという夢は、完全にかなっている。

あるサーバーエンジニアに関する記事を見た。コマンドを覚えるのが大変で病んだのだとか。そりゃコマンドだけで言えば世の中には無数にあって、すべてをソラで入力できるようになるのはそりゃ大変だろう。私もほんの一部しか記憶にはない。

でも、そんなに頭の中に記憶してなくたって、一度使えばどんなコマンドかは理解できるし、使いたいときには調べればすぐ引き出せるよね、と思う。

だから、サーバーエンジニアとして生きるために必要なのは、コマンドをおぼえること、じゃなくて、コマンドを使った記憶を有すること、だと思う。何ができたか、という経験のほうが重要。

そういう意味では、資格の勉強やらコマンド大全の読書やらより、とにかくコンピューターを好きでいて、公私関係なくいつでもコンピューターを触り、それを通じていろんなことを実現したいなと思い続ける方がよっぽど実力ってついていくんじゃないかな、と思う。

使うかどうかわからないコマンドの、かつオプションやらエラーやらを一つ一つおぼえるなんてほんと、コンピューターの楽しみとはかけ離れている。いろんなことができる魔法の道具なのに、どんなことに使おうという人間的な欲求より、その機能を網羅して記憶することを優先するというのは、苦行ではないのか。

その技術をラーニングしたいなら、とにかく使ってみて、わからないことは調べて、遊んでおぼえることしか、技術が上がる方法を知らない。いろいろと触ってみて楽しいな、まで言った時に、初めて網羅的な技術書を読むと、へえそうなってたのか、という逆の学びの喜びも感じられるようになる。教科書を頭から順番に読んだところで苦痛しか感じない。

車で言えば、自動車のマニュアルやしくみばっかり座学で調べてああだこうだうなっていて車を使わないようなものだ。いやそれより、車に乗ってどこかに出かけてごらんよ、ということになる。私も自動車の機能のうち一部しか知らないけど、それはそれで運転は楽しい。そうやっているうちにいろんな機能に気づいたりして、だんだんと詳しくなっていく。楽しいことが先にこないと、学習というのは苦痛の側面が強くなると思う。

一人の人間が、世の万物を認知することが不可能なように、コンピューターも同様だ。全部を把握する無駄な義務感を手放し、まずは楽しむことを中心にしたほうがいい。何かができてそれで感動することが前提で、そこにいろんな雑多な知識が知らない間に付随する。好きこそものの上手なれ。

だから、この業界に向いている人は、何しろコンピューターが好きな人。で、個人の趣味でさわっているうちは、お金もかかるし大規模な構成に触れる機会もないので、そこでIT関連企業に入って、その環境を楽しむ。できる体験を積み重ねていく。このサイクルを確立することがIT業界に長年いる醍醐味だと思う。