働き方改革後に、政府の企業への締め付け自体は強くなったが、ふたを開けてみると、表に出る数字ばかりを脚色し、実態は長時間労働、サービス残業、無償労働。実はそんな話を複数の場所から最近聞いている。
430を順守したり、深夜割引の適用時間を待ったりすると、荷主の指定時間に間に合わないケースもある。こうした休憩ルールや道路事情があることを知ってか知らずか、ドライバーは現場でこんな言葉をかけられると伊藤さんは言う。
「うまくやってよ」
今後の物流業界では、どれだけ荷主にこの言葉を言わせないかが課題になるだろう。
管理側は、現場に建前論を押し付ける。現場は建前の数字を出すと同時に、いろいろ誤魔化しを行い辻褄を合わせる。
上記とは別の話だが、サービス残業というのも日常茶飯事の業界があるらしい。きちんとつけると法令に引っ掛かってしまうから、タイムカードには記載しないで対応するというわけのわからない理屈らしい。しかも、かなり著名な企業の内情とのこと。
世の中の解像度が上がる。あの働き方改革以来いろんな企業が、労働時間が少なくなっていると思い込んでいた。いろんな規制が世の中そのものを変えたのではなく、変わったように見せかけて、依然として昭和な、長時間労働上等の職場は存在しているということを認めざるを得ない。
何かイベントごと、例えばコロナ禍の状況における医療の現場が一時期大変だったり、トラブルや業務ピークで仕事が一時的に増えることはまだわかるし、今の法制度だってそこは許容している。突発的な稼働増に対しての柔軟性は持っている。そうではなく、制度破りは恒常的らしい。仕組みとして法律を無視しながら、守っている数字を作る。
昨今、たくさんの企業が、実は法制度を無視して誤魔化してました、という告発が絶えない。労働もそういった感が強く、きれいな制度ばっかりが整い、実際に守る現場ができていない。できていないのにできたことにする。そこで現場の社員の心がすり減り、仕事の品質まで影響出る。そういう世の中になっている。なりつつあるのではなく、なっている。
営業職の20代男性は、不幸にも新卒で入社した会社がブラック企業だった。
「定時は8時30分~17時30分でしたが、出勤時間は朝7時過ぎ、なおかつ終業時刻は毎日どれだけ早くても19時を回るといった会社でした。夕方6時頃になるとタイムカードの前へ全員が並んで終業処理をしてからまた各自の席に戻るといった光景は、新卒の私にとって衝撃すら受けました」
この会社は残業代が支給されないのか、表面上は定時で退勤しているように装い、実際にはサービス残業が当たり前に行われていたようだ。
ネットのこういう記事を、フィクションやほんの一部の職場だと思っていたのだが、最近は、考え方を変えた。
ある、かなりある。
だからこそ、働く全ての人は、法律がどうなっているかを知っておく必要があると思う。ブラックとかホワイトとかではなく、法律なんだから守って当たり前だ。法律を守っていない会社に在籍するということは、会社の不正の片棒を担ぐのと同じことだということをよく理解しなければいけない。
厚生労働省が、わかりやすいページを公開しているので紹介しておこう。
理不尽な仕事、我慢してやっていませんか。
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