orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

SaaSの拡大が意味するところ

 

インフラまわりに従事していると気になるのがSaaS領域が伸長していること。

 

cloud.watch.impress.co.jp

「オラクルはSaaSで勢いがあることをとらえて、一緒に仕事をしたいという人が増えている。ライバル会社の日本法人社長経験者が一緒にやりたいと言ってきたケースもある」などと述べ、外部からのタレント獲得が積極化していることを示した。

 

SaaSの一番いいのは、「サービスを使い続けることについて、ユーザーが、アプリケーション・ミドルウェア・OS・ハードウェア・基盤を一切考えないで良いこと」に尽きると思う。

ソフトウェアの分野はここ数年でかなり出来ることが増えたと思う。AIの進化とは関係なく、「順次進行」「条件分岐」「繰り返し」というプログラムの3つの基本構造。これらを人間の活動に置き換えることを、様々な領域で繰り広げ、人間が頭を使うことなく、コンピューターが代行可能となった。

ただし、ソフトウェアはミドルウェアやライブラリに依存する。それらはOSに依存するし、OSはハードウェアに依存する。ハードウェアもどの基盤に置くかで話が変わってくる。

ユーザーはソフトウェアを使いたいだけなのに、それを仕立て上げるためにたくさんのことを管理した上で、かつサポート切れを常に意識しなければいけない。

それらを全部考えなくて良くなるのが、SaaSの最大のメリットである。

逆に発生するリスクとしては、上記の面倒くさい管理コストがなくなったわけじゃなく、目の前から消えて、SaaS運営企業に移っただけということ。彼らが管理に失敗したりすると、思っても無い脅威にさらされることになる。例えばSaaS側にあったデータが漏えいしたり消失したりすること。ある日、突然利用できなくなり復旧に時間がかかること。諸般の事情で急激に利用料が上がり、しかし利用は止められないのでコストコントロールができなくなること。何しろ、リスクコントロールを全部SaaS運営側に移転してしまう。

それでもいい、という割り切りが必要だが、ポイントとしては経営を特定のSaaSに依存せず、代替手段を用意することが大事だろう。

メール・ビジネスチャット・プロジェクト管理などはSaaSの主戦場ではあるが、それが使えなくなったときに会社全体がフリーズするのはよろしくない。

かつ、SaaSの領域が基幹部分に染み出すに従い、運営企業の信頼度も重要になる。インフラから含めて実績のある大きな会社に頼みたくなるのは理にかなっている。扱うデータやプロセスが重要であればあるほど、それを扱う企業の責任が重たいのである。

一方、SaaSに任せる内容が、効率化のためであり無くなっても代替可能であれば、リスクを許容して、便利なものを選ぶのは理に適う。

 

結局のところ、ソフトウェアによる課題解決は各会社で膨張していて、SaaSを利用するケースが増えているということになる。ということは、今後SaaS運営企業で直面するのが、ユーザーに不便をかけず、サービスを継続する手段の確保が必要ということになる。OSやミドルウェアがサポート切れを起こすのを感じさせないこと。いわゆる運用保守のスキルが今後重要になって行く。新規構築時は最新を選べばよかったし、データも少ないが、リプレースは違う能力が必要とされる。リプレースが必要になるころにはデータは太り、利用していたソリューションは時代遅れのものも含まれるようになる。これを各社、未来に向けてちゃんとコントロールできるかどうか。

ユーザーとしてはかなり便利な一方で、SaaS運用側は拡大局面を考えると、まさにこれから直面する企業も多いと思う。ソーシャルゲームの分野では顕著だが、リプレースしないでサービスを終了してしまう判断も良く見られる。・・が、SaaSではきっとそうはいかないだろう。ゲームと違って、現実の会社活動の一部が依存しているのである。「ありがとうございました!」とは行かない。

たくさんのSaaS運営企業で、どう継続性を担保するか、たくさんのITエンジニアが試行錯誤していらっしゃると思う。したがってインフラ含め、仕事そのものの総量は減るどころか増えているが、SaaSの伸長によって働く場所が変わってくるんだろうな、と思う。