テクノロジーブームの終焉

 

日本IBMが次世代のITアーキテクチャーを発表したと聞いた。

 

japan.zdnet.com

 日本IBMは7月14日、現実とデジタルが融合するとした次世代のITアーキテクチャーを発表した。11業種を対象にしており、各業界でのユースケースの具現化に取り組むとしている。

 

具体的にはこの記事のことを指す。

 

www.ibm.com

 

まず、この話題で出てきた、アーキテクチャーの図を上記記事から転載する。

 

この図を見て思ったのが、ずいぶんテクノロジー自体が抽象化したこと。2010年代でこういった図が出てくるとき、テクノロジーそのものが無数に散らばっていることが多かった。仮想化技術、クラウド、ビッグデータ、OS、ミドルウェア、コンテナ、そこからRPAやAIに発散していった技術が無数にあり、当時はこんなに広い領域をどうやってカバーするべきかどうか悩んだものだ。

当時は、「テクノロジーファースト」と言ってもよかったと思う。イベントがある度に参加者は盛り上がり、これで世界は変わると酔いしれていた。それを何度となく繰り返したこの業界だが、私が思うについに出すものも無くなったのではないか、と思う。いくらテクノロジーを繰り出したところで、もう出しているサービス自体が競合になる。自らが作り出したレッドオーシャンではないかと思うのだ。

過去の優れた製品が、製品企画において競争相手となってしまう。そりゃ、無数に出していればいつか飽和する。どこかで整理しなければいけない。目的は有限であり、ニッチをいくら作っても、ユーザーはどれを使えばいいか迷うばかりである。

あくまでもテクノロジーはツールであって、目的として誰に何を届ければいいか。そのためにどのテクノロジーを選択すべきか、と考えるとこれだけシンプルにまとまってしまうのかという発見だ。かつ、それぞれのテクノロジーはロックオンしていない。どこかのベンダーの何かの製品というわけではない。それぞれのテクノロジーにどのベンダーのソフトウェアやサービスを使うかは自由で、それより、どうやって各業界が必要とするソリューションを実装するか、それをまとめたのがこの図ということだ。

2010年代はまさにコロナが起こる前、今や旧世代の記憶になってきたが、いたるところでテクノロジーイベントが行われ、プレゼン資料が毎日どこそこで乱れ飛び、それを読んでいるだけで勉強になったものである。ここ最近、減ったと思わないか。これは、テクノロジーで遊ぶことより、どう実装するか。いわゆるDXに世間の関心が移ったことを意味すると思う。百花繚乱だったテクノロジーやサービス群もだんだんとデファクトスタンダードが決まってきて、わざわざ新興が新しいものを作らなくなってきた。Web3やメタバースのような「今は誰も手にできていないけど将来すごいヤツ」の話が増えてきた。おそらく現在のアーキテクチャー上で何かテクノロジーを突っ込んでも、もう戦いにならないことを示していると思う。

技術者としては、けっこうつまらない時代になったんじゃないかと思う。役に立つかどうかは置いといてワクワクするプロダクト、というのが2010年のキーだったからだ。今はワクワク?、それで食べれるの?、という時代だ。

ああ、あれはブームだったんだな。そう思わざるを得ないこのニュースであった。