orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

クラウド国産化・・なんて夢のまた夢

 

クラウド国産化、という話。

 

www.nikkei.com

政府は経済安全保障上、安定供給が必要な「特定重要物資」にクラウドサービスを指定する調整に入った。サイバー攻撃に備えるため半導体や医薬品と同じ扱いにする。トラブルに国内人員が常時対応できることなどを要件に日本企業による「国産クラウド」の競争力強化をめざす。

 

一般の人々は、クラウドとなった途端にWebしか見てないし、どこの企業が運営しているかが重要なんだろうけど。中身の要素技術を見ると、ハードウェアとソフトウェアの塊に過ぎない。そしてその面倒を見ているのは人である。

ハードウェアにしてもソフトウェアにしても、日本製のものは何一つない。ハードウェアはベンダーがアメリカであっても、製造は中国や東南アジアなど。ソフトウェアは圧倒的にアメリカ由来のものが多い。日本はいつしかハードウェアの分野では精密部品に特化し最終的な組み上げと顧客届けるところは放棄してしまったし、ソフトウェアでも日本人個人では活躍していらっしゃる方はいると思うが、ブランドは外資だ。

こんな状況で、運営だけ日本資本でやったところで、中身は海外製品の組み合わせなので、例えば輸入が何らかの紛争でうまくいかなくなった場合は、運用するためのハードウェアやソフトウェアが手に入らなくなると思っていい。保守部品も枯れる。違いとすれば、最近某クラウドで話題となっているが、説明不足のアカウント停止などがなくなりトラブル時に日本人が出てきて日本語で説明できるみたいな違いしかない。そんなのでクラウド国産化って言える?。つまり、運営だけ国産化しても、海外のソリューションを日本に特化して売るという、SIerのロジックの延長にしか過ぎない。

そもそものCPUやシステムボード、メモリーやストレージなどを、全部日本の技術だけで埋めてハードウェアを作り、その上で日本人がソフトウェアをスクラッチで作り、インターネットでサービスをする。運営は日本人。そこまでできたらさぞクラウド国産化なんだけど、書いててむなしくなるくらい、不可能な状況である。ハードウェアもソフトウェアも、海の向こうからやってきて、それらをどう活かすかと、どう非IT企業や一般国民に売り出すか・・、それが日本のIT業界の本質となっているところに危うさを感じなければいけない。この脱却は、あのロシアや中国でもできていない。デジタル偏重はどの国でも一緒なんだけど、肝心のハードウェアやソフトウェアを自給できることはあり得ず、そんな状況でクラウド国産化なんて言葉が出てくるのがおかしい。

一番いいのは、脱デジタルなんだろう。日本の外資のITを見渡せばほとんどがセールスである。開発は本国でやってるし最近はローカライズだって日本でやってない。自動翻訳だって進んだし。デジタルを使わなければ、外国におびえる必要はなくなる。みんなガラケーに戻って、紙と電卓とファイリングを使い、電話とFAXで仕事してりゃ、海外勢も呆れて撤退すると思う。そうなりたくなければ、一万周の周回遅れでもいいから、内国産で基礎研究から始めるくらいか。でもそこまでする大局観も日本にはないんだろうな。製造業で稼いで強い円でデジタルや資源は金で解決する・・、このモデルもいつまで続くことやら・・と思う。