「気があう」という要素は、会ってみないとどうにも評価できない

 

世の中はジョブ型採用と呼ばれる、これ出来るよね=じゃあ報酬はこれくらい、というスキルマッチの世界に突き進んでいるんだけど、気になることもある。

「気があう」という概念だ。

働くというのは、一人きりじゃできない。一人で成り立つのなら会社などいらない。必ずチームとなり刺激をしあってみんなで成長するモデルなのは間違いない。

そのときに、気が合わない人、が紛れ込んでいると余計なエネルギーを使う。その人を避けるためにどうすればいいか、関わらないためにはどう調整すればいいか、それでも一緒に仕事しなければいけないときには妙な緊張。いいことなど一つもない。自分と他人の関係ですら複雑なのに、採用を進めて多人数を形成するとなれば、これはパズルだし、運次第というところもある。ただし、最も気を遣うべきは採用時だ。採用時に、「この人、会社にあうかな?」「話してて嫌かな?」と言った違和感、これを大事にすべきなのだろうと思う。

思うのだが、職務経歴書を見たってそんな情報どこにもない。しかも、こればかりは学歴も職歴も役に立たない。基本的な価値観がどこにあるかなど、とうてい、話をしないと何とも言えない。いくらAIが進化し、職務経歴書を自動で読み込みマッチングしてくれたところで、会ってみました話してみました、まで行かなければさっぱりわからない。

年齢が進むと、スキルマッチの側面は大きくなる。なぜかと言うと職歴の情報がリッチになり、求めるスキルとのフィット&ギャップが明らかになりやすいからだ。一方で、第二新卒ぐらいまで降りてくると、学歴しかない。だから学歴重視にはなりやすいものの、学歴が良いからと言って、「気があう」という変数は何の手掛かりも持たない。あの大学出ると気が合う、とかありえない。やっぱり会ってみて、話してみて、である。

そう考えると、あんまり書類の段階で選り好みして選択の幅を狭めると、損をするかもしれないなと思い始めている。人は「気が合う」職場において、仕事は楽しく感じるものだし、大事な職場だと思えば成長したいというモチベーションも上がっていく。この正の循環を生み出すことができるかが、採用だ。採用してしまったら、失敗とは言えない。が、失敗はある。失敗すると人が傷つきあうのである。一方的に誰かが傷つくということはない。気が合わない同志は、加害者か被害者か、もしくはそのどちらかに同時になったりして、職場に大混乱を生み出すのである。そして気が合っていたはずの社員が、突然辞める、あの人がいるから、というストーリーを生み出してしまうのだ。

私自身はけっこうスキルマッチの考え方も好きだし、劣っている人は去る、みたいな平成レトロの世界観は嫌いじゃないんだけど、これはもう歴史に葬るべき価値観だ。今は、個々の主体性を尊重し、発揮し、全体のパフォーマンスを最大化していく時代だ。そう考えるとスキルマッチとは、意外にもパフォーマンスにかなり関係する、「気があう」という要素を無視し過ぎている気がする。マネジメントが優秀なら、メンバーがどんな気質だってうまくいかせるものだよ、っていうのは違う。むしろ気が合わないメンバーの仕事を切り離したりして、なんとかなだめて両方働かせるのが本質だし、それが多い職場は、そもそもメンバー形成の段階で誤っている。それを形作るのが採用なので、やっぱり採用において、強いスキルマッチ思想は、未来を大きくゆがませると思われる。