orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

仕事における「戦略的」という言葉の意味について

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私が初めて「戦略的」という言葉の意味を聞いたのは新人になって間もない頃だった。

「この案件は、単体で見たら利益が出ないけど、この会社とお付き合いすれば今後伸びる可能性が高い。ここは戦略的に受注して、様子を見ようか。」

というようなことを偉い人が言っていた。

戦略という言葉は、子供の頃に有名だった戦争シミュレーション「大戦略」という言葉ぐらいでしか聞いたことがなかったので何だろう。何のことだろうと少し悶々とした時期があったのを覚えている。

2000年あたりにITバブルが起こって、たくさんの仕事が増えたけれど、その品質がとてもとても褒められるものではなく、巷ではブラック企業が社会問題化した。映画にもなったぐらいだ。

たくさんの仕事に対して、コンピューターのハードウェアの能力も追いつかなかったし、ソフトウェアもまだまだ進化途中だった。無理をして成長しようとしたために、できますよできますよと営業が安請け合い。技術はこなしきれず、赤字プロジェクトが乱立し、結果として不振に陥るSIerもたくさん現れた。一部は今は残っていない。

不採算プロジェクトの撲滅、という言葉が大変流行って、なぜプロジェクトが燃えるのか必死に皆研究した。プロジェクトをまわすことそのものがブランド化し、この業界でプロジェクトマネージャーと言えば結構高給取りになる。この頃、何でもかんでも営業が案件を安値で受けて技術にぶん投げるという手法は、相当NG行為となり、たくさんの営業も困った時期があったに違いない。

2022年の今、プロジェクトに対する工数の見積精度も、その長年の経験によりレベルが上がったし、儲からないとしても底なし沼にはならないような仕組みは整っている。だからこそ、少し昔のブラック企業・プロジェクト炎上、みたいな時期と比べて、戦略的な受注はしやすくなっていると思う。むしろ投資だということでお金を使ってでも進めるという行為も今では普通だ。

頭においていかないと行けないのは、赤字=戦略的、という意味ではない。どれくらいの期間で、どのようなシナリオで、トータルで回収しようとしているか。このシナリオが十分に第三者に納得可能なものであるかというのが、戦略的、という本当の意味である。

私が初めて戦略という言葉を聞いたのが1990年代後半だから、明らかに戦略的というのは、儲からないことをごまかすための方便だったと思われる。ほんと、この業界がきちんと利益を安定的に出せるようになったのはこの10年くらいで、業界の進化のおかげだ。しかし、だからこそ戦略的という言葉を聞いたときには注意しなければならない。この人の戦略とは何なのだ。次の一手はなんで、どこにつながっているのか。

ただただ、今の良くない状況を繕って、明日は良くなるということを根拠もなく飾るために戦略的、という言葉を今でも語る人がいる。口が上手なだけの人はたくさんいるので、その言葉のかっこよさで飲まれないように気をつけなければいけないと思う。

と、結論めいたことを言う一方で、こういう記事もある。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 ソフトバンク株式会社とキンドリルジャパン株式会社は21日、日本の企業・団体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けて、クラウドや5G、IoTなどの分野で戦略的協業を開始したと発表した。 

 

こういう、会社同士の戦略的協業という場合は、お互いの会社の思いがある。

・営業力はあるけど、実行部隊が弱い

・実行力はあるけど、営業部隊が弱い

だいたいはこの二社で組むことが多い。強みは強みで活かし、弱みの部分は相手の強さでカバーする。

一方で、うまく行かない場合は、戦略が通用しなかったことを示すが、「戦略的協業の解消」なんて言わず、だんだんお互いの会社同士のミーティングも減り、なかったことになるのが通常だ。なんだか、雰囲気強めの言葉でることが特徴であるとも、思う。