インフラエンジニアの本番作業、と言っても具体的に機器を運んで設置する物理的なものから、コンソールにキーボードやマウスで入力するソフトウェア的な作業、そしてベンダーが実施する作業に立ち会う、立ち会い作業と幅広い種類があります。
最近はクラウドになって、物理的な作業はぐっと減りましたが、それでもベンダーが作業するので立ち会うことはあります。
座ってるんですけどね。
ベンダーは何と言ってもシステムのオーナーではないので、「よろしくね」で放っといたらユーザー側の責任放棄です。彼らが作業しているのを後ろで見ていないといけない。
家の工事とも同じです。部屋に業者を上げて、作業中外出したら、家の物が盗まれるかもしれませんよね。だから近くにいたり、ポイントポイントで確認したりするわけです。それが、立ち会いです。
んで、いろんな作業の中でこの立ち会い作業って一見、楽なんです。作業はベンダーがやりますから、後ろで見ていればいい。
経験の浅い人は立ち会い作業を中心にやらされたりします。昔のデータセンターであればディスク交換作業の立ち会いなんかは毎日のようにやりましたね。ベンダーも来る人が決まっているのでそのうち知り合いになったりもして。
これ、よく勘違いされるんです。「立ち会い」って実は難しい。ベンダーがミスをしたとして、ベンダーが悪いです!というユーザーは二流三流です。ベンダーがミスをしないように、どんな作業をするかを立ち会い者は事前に確認し、承認する必要があります。そこまで細かい情報を全部知る必要はありませんが、概要、ポイント、リスクをおさえる必要があります。そりゃあ全部逐一確認していたら、ベンダーに作業を委託する意味もありませんし、ベンダーも「うるせぇな」と思うでしょう。ただ責任はユーザー側にあるのでポイントぐらいは確認しないといけない。
そして、ベンダーが作業中に想定外のことに遭遇した場合、立ち会い者に真っ先に相談します。このとき何の作業をするか全くわかっていなかったら会話が成り立たず、「詳しい人呼んできます・・」と、借りてきた猫状態です。まずはベンダーの言うことを理解し、手に余ることであれば上司にエスカレーションする必要があります。
立ち会いって、立って会うことではないんです!!。
でも、ちゃんと立ち会い出来ている人、実はあんまり見たことがありません。立ってるだけかい・・これは「立ち会い」という言葉が悪いのかもしれませんね。
立ち会い者が必要かどうかの基準は、以下が挙げられます。
①セキュリティーゾーンに物理的に入るため監視しなければいけない場合
②作業実施の結果、大きい問題が起こるリスクがある場合
③作業が、大きい作業群の一部でタイムスケジューリングをしなければいけない場合
などです。
過去、この辺を全く理解しない人が、
「立ち会いしてました」
と言いながら、想定外の事態にエスカレーションもせず、そもそも作業内容を事前理解していなかったというのがありました。立ち合いは立ってるのが仕事じゃないんだぞ。
それまでは立ち会いの場合は作業申請書を出すだけだったのに、作業手順書を作ることが義務化され、ベンダーから手順書をもらい添付し、レビューを受けることになりました。ベンダーもとばっちりではありますが、本来はそこまで確認しないといけません。
まあ、確認し過ぎると、ベンダーに嫌われてしまうのでほどほどに。
立ち会い作業。なかなか奥深いのです。