orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

1995年、全てはチャットと掲示板。

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1995年ごろの記憶だけど、私が始めてネットワークに接続したのはNifty Serveというパソコン通信で、その次はMSNというマイクロソフトのこれまたパソコン通信だった。

インターネット前夜と言われる状況で、接続するだけで1分何十円と取られるぼったくりバーみたいな価格設定だったが、とにかくデジタルでつながるということを若い時に体験できたのは今でも宝物のような記憶だ。

そこにあったのは、チャットと掲示板。コミュニケーションと言えばもうこれだけだった。メールは知り合った人とだけでやるものだが、チャットと掲示板は全く知らない人とコミュニケーションができる。

掲示板と言えば2ちゃんねる、今では5ちゃんねると言うらしいが、今では公共の掲示板に堂々と書き込むのはリスクがあるので、皆SNSの中で書き込むようになった。おそらく全世界の人に届きすぎるメッセージは危険があるのだと思う。ある程度届く幅をコントロールできるSNSが全盛なのはそういうことだと思っている。ただその頃は、そんなリスクがあることすら認識されていなかったので、もうコンプライアンスも何もなく、無法地帯で性善説で成り立っている舞台だった。だから、結構な狂気も放置されていて、なかなか刺激的な媒体だったように思う。様々な事件を経て、誰も公開の掲示板には書き込まなくなったね。

チャットも、チャットルームに入ればだれか知らない人がいて、紳士的な会話ができるというサービスだったけど、そもそも全く知らない人といきなりリアルタイムでテキストチャットするのって、今考えるとなかなか奇妙なものだと思った。ただ、当時は上記に書いたが、ネット自体が性善説で成り立っていて、チャットの会話もほとんどが紳士的なものだった。ただ、1997年あたりになると、何だか殺伐としだし、「荒らし」と呼ばれる、無差別に無意味なテキストを入力しまくってチャットルームを汚す、今考えるとDDoSのようなことをやる人が出てきて、だんだんとあのサービスも廃れていったように思う。

当時大学生だった私はその独特なコミュニケーションスペースに興味を持ち、参加者にアンケートしまくって卒業論文を書き上げたのだが、その時の結論は、「匿名性が高まると、内的な攻撃性が高まる。」だったが、これは正しかったように思う。

そこから2021年の今を見渡すと、見事にインターネットやハードウェア・ソフトウェアは進化し、つながってしまった。そして掲示板やチャットと言った原始的なコミュニケーションは明らかに進化しているように見受けられる。特に仕事においては、

・チャット=LINEや、ビジネスチャットのような、参加者が限られたアプリケーションが全盛となっている

・掲示板=課題管理システムや、ナレッジ共有システムのような形で、やはり参加者が限られたアプリケーションが全盛となっている

という具合だ。

また、ある程度匿名性を伴って、オープンに発言できるというコミュニケーションスペースはやはりTwitterが一番存在感がある。

この二十年あまりを考えると、チャットについては私はとても便利なサービスだと思っていたが、全国民に行きわたるほどはまだ普及していないように思う。まだメールの方が優勢だが、いい加減メールの不便さは人類は卒業すべきだとは思う。チャットの普及に対しては、キーボード入力がある程度のボトルネックにはなるが、そろそろブラインドタッチは学校で全生徒に教えて欲しいものだとは思う。多分これから100年経ってもキーボードはあるしパソコンもある。スマホでフリック入力もいいけど、チャットコミュニケーションはこれからもっと、たくさんの人々に、電話と同じくらい使ってほしいと願う。これは、1995年から2021年までより、もっと進んで欲しい。

掲示板の方がより普及が進んでいると思う。掲示板がありその中にスレッドがあるというフォームについてはたくさんの人がもう感覚的に分かったと思う。

なかなかインターネットの始まりから今までをリアルタイムに経験できているというのも今後は貴重になってくるような気がしていて、5Gや6Gといった未来に向けて考えても、このチャットや掲示板自体の哲学は、きっと電話が今でも残るように受け継がれていくと思っている。おそらくそれは、言語や文字の発明と同じように語られるべきだ。もっともっとコミュニケーションが進化し、パンデミックの世を乗り越えてほしいと強く、願う。