orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT業界は女性が敬遠するから男性が多い、は誤解だと思う理由

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IT業界はとにかく男性が多い。二十数年前に新卒で飛び込んでからこの傾向はずっと変わりません。

イベント(今ではなかなか開かれませんが)でも登壇者は男性ばかりで、そもそも出席者も9割が男性だった記憶です。

そりゃおかしい、という声も出始めています。

 

www.businessinsider.jp

マーケティングや広告に関する国際カンファレンス「ad:tech tokyo(アドテック東京)2020」を主催する、コムエクスポジアム・ジャパン社長の古市優子さんは、2019年のアドテック東京で初めて「女性登壇者比率3割」を掲げました。

それまでは女性登壇者比率を高める意識は社内で共有していましたが、具体的は数値目標は掲げておらず、2018年の比率は6%。

「女性登壇者比率3割」を初めて推進した時の風当たりの強さを「イベント登壇男女比率への違和感がないことに感じる激しい違和感」と題してnoteに記し、大きな反響を呼びました。

 

私はIT業界が女性に敬遠されている、とばかり思っていたのですが最近は少し考え方を変えています。

IT業界はそれだけでは成立しません。主戦とするB2Bではユーザー企業のIT化、システム化の依頼を受け仕事が発生します。ユーザー企業との会話は欠かせないのですが、そこで登場するユーザー企業のメンバーは、いたって男性です。

システム化の際に登場する人はたいていバックオフィス系の人で、業務に精通し決定権を持っています。会社のプロセスがどうあるべきかを定義し組織に対して強制する権力を持っています。こういった人たちが女性であった記憶がありません。

一方で女性はどこにいるのかというと、いわゆるフロントです。営業、広報やコールセンター、お客様苦情受付など、企業と顧客の関係で前の方にいるケースが多い。もし対応しきれない場合に後ろに男性が控えていてフォローする。

某保険のコマーシャルを見ていても、窓口は若い女性で、責任者と呼ばれる人は50代の男性俳優だったりしませんか?

こういった社会の構造上にITが現れた時に、要件定義など上流にて会話を重ねようとすると、必ず相手が男性なのは、別にIT業界=女性が敬遠、ではなく社会構造の縮図のように思うのです。ITはバックオフィスそのものであり、男性が集う構図は単に男女比率の問題ではない、ということです。

だから、ITのイベントに登壇するのは男性ばかり。社会構造が根底にあるならば、単に女性比率を上げたとしてもフロントスピーカーを女性に変えるばかりでそれは政治におけるウグイス嬢のような役割にしかならないのだろうな、と思いました。

そうなると、やはり管理職ゾーンに女性を増やしていく必要があるのですが、その場合に女性は社会的に、子育てや家庭の運営にかなりの責任を持たされています。これは、仕事に集中する男性に比べて大きなハンデとも言え、どうするのがいいのかは壮大な課題です。社会における企業の在り方まで変えないと、IT業界の男女比率も変わっていかない。おそらく育児休暇や企業内保育、不妊治療の強化のような施策だけで何とかなる問題ではないのです。肝心の社会の仕組み自体が何も変わってない。少なくともIT業界の男女比率だけ考えても二十年間変化がないのですから。

国会中継を見ても、内閣の顔ぶれを見ても、同じですね。

遠い昔、小学生や中学生の時代を思い出しても男女間の学力格差は全くありませんでした。そこから何らかの仕組みを経て大きく男女の役割が変容するのを肌で感じています。男女間の能力に格差はないことと前提として、このいびつな世の中を少しでも健全な状態に変えて行かないといけません。