orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

情報処理は、いかに通知を管理するかに尽きる

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コンピューターの世界が、「情報処理」という言葉にはじめて紐づいたのは、社会人になる少し前、情報処理技術者試験の存在を知ってからでした。

コンピューターの世界なんて雰囲気だろう、と思っていたのですが、基本情報処理記述者試験の勉強をしてみて、ああこの世界は、整理整頓されているな、と思ったものでした。

一般の人に自分の仕事を伝えるとき、「コンピューターの仕事です」「IT系です」なんて伝えると理解してもらえますが、情報処理です、というとピンと来ないと思います。それぐらい、情報処理っていう言葉はフワッとしていて、業界の中に居ても「情報処理しといて」とは言いません。

まあでも、やってることは情報処理なんだろうな、と。情報を処理してるんです。その道具としてコンピューターを利用しているのであり、主役はあくまでも情報。そしてその処理。処理は英語でプロセスと言いますが、このプロセスこそが普段の仕事で向き合うものです。

SIerの人ならわかると思いますが、システム化するための要件定義は、顧客の業務プロセスを理解することと一致します。この業務、自分たちの専門であるコンピューターのこととは全く関係なく、そして業務プロセスにずっと付き合っていると、だんだん顧客の仕事にどんどん詳しくなっていきます。業務プロセスに秀でることは、それをどうデジタル化していくかという最近流行のDXに欠かせない知識となっています。

さて、この情報を処理するということについて、特にコンピューターを扱う人の専売特許じゃなくて、もう誰でも情報を処理しています。スマホにLINEやらメールやら何やらいろんなアプリが入っていて、そこに溜まる情報を処理していますよね。

LINEの通知をほったらかしにして、いつまでも対応しないでおいたら、「あいつはいい加減な奴だ」ということになりかねませんよね。

個人にスマホを強制的に一台持たされている世の中においては、全員が情報処理を毎日行っているといっても過言ではありません。

そのためのソフトウェアやハードウェアを作るのがIT業界というだけで、利用者という意味であれば裾野は相当広いです。一方で、IT業界はこの情報を処理するということをコンピューターによって超高速に行うことを得意にしていて、いろんな業界に対して存在感を表現しているという現状です。

 

この、情報を処理する、ということを考えた時に、「さあメールみるぞ!」「さあSlack見るぞ!」「さあBackLog見るぞ!」なんて対応、していますか?

主体的に情報を見ていく、なんて実は現代人はしていないと思うのです。

通知されたら、対応する。

それが本質ではないでしょうか。

あらかじめ、自分が絶対に対応しなければいけない、と言う条件を発見しておく。

この条件作成こそ、情報処理の大部分を占めているのではないか、と思うのです。

通知づくり、こそ、人間の情報処理能力を決定づける。

メールにしたって届くもの全部を通知していたら、処理しなくていいものまで通知され、本当に処理しなければいけない通知が埋もれてしまう。

LINEやチャットも何でもかんでも通知にしていると、必要な人の問いかけを無視してしまうかもしれない。

名前だけ貸しているプロジェクトについて、課題管理で全部通知を受け取っていたら、メインのプロジェクトの通知が見えなくなる。

何であの人は、あんなに情報を処理するのが速いんだろう。もしそういう感想を誰かに持っているとしたら、それは情報処理能力、といった抽象的な表現ではなく、めちゃくちゃ通知を使いこなして、対応しなければいけないものを通知することをかなりの精度でプログラミングしていると思うのです。

これは、本番システムの運用の場面でも同様で、毎日細かくシステムを確認するのではなく、通知をくまなく漏れなく確認し無視しないことが重要です。そして、無駄な通知は極力出ないように調整していくのです。

 

情報処理というと、そこに情報があって、能動的に処理することを言いそうですが、実際の現場はそれ自体はほとんど自動化し、その結果の通知を処理しているんだよ、というお話でした。そういえば二十年くらい前は、大企業のお偉いさんには「秘書」「秘書室」なる部署があって、届く郵便文書や決裁書類、その日のスケジュールなどを組織で管理していたそうです。昔はほんと人力でやっていました。今はコンピュータで自動化する。これが情報を処理する、ということの現在の本質だと思います。