orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

紙文書管理における不正の数々を思い出す

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ハンコ利用が不経済・非効率の象徴みたいな話になっています。が、そもそも紙文書でのワークフロー自体が、一見ちゃんとしているけれども中身は嘘だらけ、のような日本にありがちな現象を助長しているように大昔から思っていました。

過去の職場で見た、実際の紙文書管理における不正の手口を思い出してみます。

 

 

押印した表紙だけ残して中身をすり替える

本番作業を行う時は作業手順書を作成すること。

これを担保するために、作業手順書は上席の押印が必要でした。

上席も、重要な作業については全ページチェックし、問題があれば押印しません。そうやって正しいプロセスで仕事が流れればいいのですが、こういうことをする人がいました。

①作業者が手順書を作成する。
②上席が作業手順書の表紙に押印する。
③作業者が作業中に、作業手順書の中に不備があることを気づく。
④作業手順書の中身を修正し、差し替える。
⑤作業を完了させ上席に問題なしと報告する。

結局、作業自体は問題なく完了しているので上席は、手順がいつの間にか変わったことに気が付けません。

印鑑が内容の正当性を証明することはできないのは明らかだな、と思います。

 

机の上に放置された印鑑を拝借する

さすがに大っぴらにやる人はいなかったですが。

ワークフローの中で複数の人に印鑑を頂く必要があったのですが、その中の一人が外出中。外出前に、「もし必要になったら、ここに隠しておくから押しといて」って言われたことがあります。

私自身は決してやりませんでしたね、知らない間に自分の印鑑が使われるなんて怖すぎる。

同僚の間で話題となっていたのが、そもそも印鑑がシャチハタだったので、どこかの文房具屋で買って来ればどの人の印鑑も押せるんじゃない?って冗談です。でもやろうと思えばできるよね、ってみんな思ってました。

 

代印に次ぐ代印

上席が不在の際は、別の役席が代理で押印できることになっていましたが、ひどいときには一人で数か所の印鑑をいっぺんに押してました。

全部代印かよ、と思ってハンコリレーを終わらせたことがありました。

属人化しないためには大切ですが、不備とはこういった、必要な人がそこにいないときに起こりがちだとも思いました。

 

あとから押す

超忙しかった時で、申請の不備で、作業終了して手順書の表紙を見たら、全部の印鑑が押されていなかったときがありました。

後から上席に平謝りして、あとから押してもらいましたが、こんなことがまかり通ったらいけないよなと思いました。

印鑑を押してしまうと、後から押したのやらちゃんと押されていたのやらわからないので、時間の経緯がわからないのは短所ですね。

あと、デート印という、日付の入った印鑑もあったんですが、日付自体も手動で改ざんできるので、意味なし。

 

見ないで押す

わざと、申請書や手順書をスタックしまくって、数十ある文書をいきなり上席に押すと、「なんでこんなにいっぺんに持ってくんねん」と不満げに、内容を見ずにバシバシ上席が押してました。

ひどい時には印鑑を渡され、押せ、と。

まあ、印鑑くれるならありがたいと思ってましたけど、このプロセス不要では?と今では思います。

 

作業手順書への書込みは、最後にまとめて

作業手順書のフォーマットも、コマンド一つやったら、チェックを書込み、そしてその作業時刻と作業者も書き込むみたいな、厳密なルールがありました。

でも実際、現場でやられていたのは、作業手順書をPCで開いて、そのコマンドをコピーしメモ帳に張り付け。コピペでコマンド実行。

そして、作業が全部最後まで終わったら、紙の手順書を持ってきて、ペンでチェック項目にチェック、チェック、チェック。古いルールは生き残ったまま、現場はデジタル対応。つじつまを合わせるために、あたかも紙の手順書を使ったかのように見せかける。

意味ないと思うんですが、未だにこういう現場はあるんだろうなという推測です。

 

 

・・・ということで、紙文書管理は、不経済とか非効率とか言う前に、不正がはびこる原因となると思います。

監査のときは、「手順書はどこかに残して、監査可能になってる?」って良く聴かれるのですが、不正ができる状況で残したってしょうがないだろうって、逆ギレ(笑)しています。

必要な監査証拠は、画面ショットなどエビデンスを取ることで対応可能です。

あくまでもルールは、品質向上のためにあるものであり、不正検知の観点を入れたいのであれば、第三者が改ざんできない仕組みを入れる必要があります。

現場の性質により対策をすればいいのですが、今どき紙文書管理や印鑑でのワークフローは、時代遅れもはなはだしいなと思いますね。