orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

作法を知れば固定電話は怖くない

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固定電話=怖い

固定電話を取るのが怖い、と言う人が増えているそうですね。

 

nlab.itmedia.co.jp

固定電話での電話応対に極度の恐怖やストレスを感じる「固定電話恐怖症」について、2月5日に朝の情報バラエティ番組「スッキリ」で取り上げられ、ネット上でも話題となっています。

 

何の因果か、私は過去、固定電話を取ったりかけたりする仕事に就いていて、おそらく何万コール電話を取り続けていたので何の恐怖もありません。むしろ普通に人と話すより電話で話した方がスムーズなくらいです。

特に若い人中心に、固定電話に恐怖感が生まれているようですが、これは原因は明らかです。どうやって取ればいいか教えてないからです。教えていないのにいきなりやれと言われてもできるはずがありません。

・・・が、私が新人のとき(二十数年前?)は「いきなり取れ」と言われ、バクバクしながら取って、習うより体で慣れろ的な方法で会得していったので今の常識とはかけ離れているのですが。

 

 

固定電話はこうやって取ろう

 

かけるとき編

社外に電話するとします。

できれば、電話する前には、紙とペンがあるとなお良いです。電話は記録ができないので電話中に準備するのは慌てます。パソコンのメモ帳で代用する人もいますが、受話器で片手がふさがるとなかなかうまいこと行きませんので注意です。

まず第一声は、「お世話になっております。株式会社××の〇〇です。」です。これはもう固定で鉄板です。風が吹いても雨が降ってもこれにしてください。お世話になっていようがいまいが関係ありません。言っとけばいいのです。また、自分を名乗らないのも最悪。いきなり要件から入る人はもう電話をいきなり切られても文句は言えません。

まず自分を名乗ること。よろしいでしょうか。

次に、相手を呼び出すときです。「××部の〇〇様におつなぎいただけますでしょうか。」もしくは「××部の〇〇様いらっしゃいますでしょうか。」です。ちゃんと部署名まで付けてください。鈴木さんや田中さんや佐藤さんはたいてい同じ会社に何人もいますから、部署名は必須です。同じ部署にも同姓がいらっしゃるかもしれませんのでファーストネームまで控えておくとよいでしょう。

もし、この段階で不在だった場合、相手から「あいにく、今、会議中でして・・」「外出して戻りません」なんて伝えられます。その場合、「承知しました。それではまたかけなおします。」も良いでしょう。また、「それではメールにて連絡を取ってみます。」という返しでも良いです。または「いつごろいらっしゃるかわかりますか?」と予定を聴いてみてもいいですが、ちょっと押しの強い電話になりそうですね。

そして電話を切るときは、「それでは失礼いたします。」一択。それ以外は不要です。ガチャと切るのはナシ。大昔は相手が切るのを待ってから切る、なんて作法もありましたが、そこまですれば立派なマナースペシャリストだと思います。

さて、もし相手がいた場合です。相手が「はい、〇〇です」と出たら、次の一言。「お世話になっております。株式会社××の〇〇です。」ともう一回名乗ってください。冗長ですが、人が変わるたびに名乗りましょう。

その後です。「お時間よろしかったでしょうか?」。これを言ってください。電話というのは相手の行動を途中で止めているかもしれません。電話が最近問題視されているのは、作業の手を止めるということです。私は電話だろうが何だろうが、今やっていることの優先度が高い場合は居留守を使うのですが。出てくれた相手に対して、忙しいかどうかの確認は必ず行ってください。

電話できるタイミングであれば、次は「・・・の件でお電話いたしました。」と結論から入りましょう。たまにかかってくる営業電話で、これをやらずにいきなりマニュアルの文をつらつらと読み始める場合があるのですが迷惑です。何の電話かと。自分を名乗ったら、次は要件を伝えます。そして電話の内容に入ればよく、その場合は普通の会話と変わりません。

電話中は、紙にメモを取ることが一番有用です。不思議なほど電話したことってすぐ忘れます。

切るときについては前段でお話しした通りです。

・・・と、簡単に書いてみたんですが、かなりのフローチャートになっているんだなということに気が付かされます。

 

かかってきたとき編

はい、では次に、かかってきたときです。

「お待たせいたしました。株式会社〇〇です」で一択です。

お待たせしようがしてまいが、関係ありません。0.1秒で取ってもこれで大丈夫です。あと、ゆっくり話した方がいいですね。というのは相手もドキドキしているからです。0.1秒で取って早口で出られると、あわあわしちゃいます。

で、前節「かけるとき編」のように電話が来ればいいのですが、たまにいきなり要件を話し出したり自分を名乗らなかったりする人がいます。

「恐れ入りますが、会社名とお名前を頂きたいのですがよろしいでしょうか。」

もし、これに答えられない場合は、そもそも電話をかけてくるに値しない人なので、なんやかんやと理由をつけて切ってしまえばいいと思います。最近の若い人は社外からかかってきた電話に、何でそんな電話に対応してるんだ、切ってしまえ、と指導された人もいるかと思います。かかってきた電話を全て杓子定規に対応する必要はないと思います。きちんとマナーに沿った対応をした電話だけ、フローに沿って対応すべきです。

さて、相手が誰だかわかり、話したい相手が自分じゃなかったとします。その場合にリアルタイムで電話しながら「いますので転送します」と言ったらいけません。なぜなら、転送する相手が忙しいかもしれないですし、電話相手に対して出たくないかもしれません。「それでは、確認いたします。」と言って保留にしましょう。

もし、相手が電話に出たいのであれば、そのまま転送して、電話に出てもらえば終わりです。出たくない場合や不在の場合は、「恐れ入りますが、〇〇は終日外出しております」などとお伝えするのみです。

切り方は、かけるときと同じですね。

相手が話したい人が、自分だったときは、「はい、私が〇〇です。」と名乗り、その後は普通に電話すればいいでしょう。

 

 

電話だからと言って、全ての行動に対して優先しない

今はコミュニケーションツールとして、メール、チャット、課題管理ツールなどたくさんのメディアがある中で、なぜ電話なのか。電話でしか伝わらない情報、例えば語気や言葉遣い、声の大きさや音程など、優れたポイントもあります。だからと言って、電話が来たら全ての仕事に対して優先度が高いものではありません。したがって、誰かと重要な会話をしているときに電話が来たら、「今は手が離せません」と言って一度切ることが非常に重要だと思います。また、職場にかかってくる電話について、「経験の浅い人が電話番をするのがおかしい」という人をたまに見かけますが、これはおかしい。要職にいる人は重要度・優先度の高い仕事をしている可能性が高いので、その手を電話で煩わせれば組織の生産性がぐっと下がるのが自明です。

電話がかかってくることは昔よりは減っていることもあり、経験のない若手にこそ電話の経験を積ませ、前項でお伝えしたようなロジックを肌でおぼえるようにしないといけないのではと思います。このロジック、意外に複雑で暗黙の了解が多いです。

恐怖感があるのは、何も知らずに対応しなければいけないので、想定外のことが多く発生することが想定されるからです。

年齢が高いほうが電話に慣れているのは間違いないので、いきなり「経験だ!」と言って若い方に電話番をやらせるのではなく、きちんと作法を教えていくべきではないでしょうか。「それぐらい当たり前だ」という当たり前は、世代によって全然違うことを強調しておきたいです。